2025.08.01

CARS

400万円台で乗れるアルファ・ロメオ「ジュニア」に試乗 BセグメントSUVで「らしさ」はあるか?

アルファ・ロメオ・ジュニアの価格は420万円~で、プレミアムは468万円。

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近年、販売台数で低空飛行が続くアルファ・ロメオの切り札として、その躍進が期待されるジュニアがいよいよ日本にやってきた。まずは先に上陸を果たしたマイルド・ハイブリッド・モデルに試乗した。

アルファ初のBセグメントSUV

ジュリエッタの終焉およびジュリアの値上げにより途絶えていた、庶民派アルフィスタ待望の500万円を切るアルファ・ロメオが帰ってきた。その名はジュニア。「イタリアを出て行った会社のイタリアで作っていないクルマの車名に伝統の地名を掲げることは許しません」(意訳ありw)ということで、発表された直後にミラノから改名を余儀なくされたアルファ初のBセグメントSUVだ。

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ステランティスに属するほかのBセグメント・モデル同様、プラットフォームなど機能面の多くに旧PSAが構築した技術を採用している。つまり、プジョー2008やシトロエンC3の兄弟車というわけ。ボディサイズや登場時期から考えると、一番近い関係にあるのはフィアット600だろう。

パワートレインは1.2リッター直3ターボに48Vの電気モーターを組み合わせたマイルド・ハイブリッドと1モーターのEVの2タイプで、どちらも前輪駆動となる。この設定はフィアット600と同じだ。



中身の独自性はちょっと薄めだが、内外装のオリジナリティは全開。新しいデザインを採り入れたアルファ・ロメオのアイデンティティである盾型のフロント・グリルと、そこから外へ流れるように配された3連のデイタイム・ライトを備えたフロントまわり、抑揚の効いたボディ・サイド、スパッと切り落とされたコーダトロンカのリア・ビューなど、外観はアルファらしいスポーティで精悍なイメージに溢れている。

形状の複雑さや素材はひとクラス上以上のクオリティ。シートはグレードによって形状や表皮の素材が異なる。プレミアムはファブリックと人工皮革を組み合わせた表皮で、掛け心地がちょっと硬めだった。

室内の広さはBセグメントとしては標準的なもの。価格は420万円~で、プレミアムは468万円。

内装も、往年のアルファを彷彿させる丸型2眼式メーターを模した液晶メーターをはじめ、凝ったデザインや上質なソフトパッドを多用するなど、手間とお金が掛かったプレミアム・ブランドに相応しい出来栄え。「しっかりアルファ・ロメオになってるじゃん」と思わず声を掛けたくなる魅力的な仕上がりを持つ。

完成度は高い

試乗したのはイブリダ・プレミアムと呼ばれるMHEV。イブリダなんて面白い名前と思ったら、ハイブリッドを表すイタリア語だった。ちなみにEVにはエレットリカというやはりイタリア語の名称が与えられている。イブリダは初回限定の最上位グレードを含めた3グレード構成で、プレミアムはちょうど真ん中。なお、グレード間で走りに関わる部位の違いはタイヤサイズくらいしかない。

走りは、加減速、旋回、乗り心地ともに兄弟車同様にPSA風味を色濃く残す。ただし、サスペンションの設定は硬め。もちろんその分だけ乗り心地は犠牲になるが、フィアット600と比べると旋回時の動きがよりシャープになるので、アルファらしいと言えばアルファらしいかも。ステアリングの応答は最近のアルファとしてはマイルドなので、初アルファの人でも安心して運転できるはずだ。

駆動用モーターは22ps/51Nm程度だが、とくに発進時にいい仕事をする。蹴り出しが素早くそして滑らか。大幅改良が加えられた136ps/230Nmの1.2リッターターボ+デュアルクラッチ式6段MTとの連携もよく、街中で小気味良く加速していく。このあたりは同じパワートレインの600と同様だ。

アルフィスタが気にする「らしさ」があるかどうかは置いておいて、オシャレなBセグメントSUVとしての完成度がかなり高いのは間違いない。



文=新井一樹(ENGINE編集部) 写真=望月浩彦

(ENGINE2025年9・10月号)

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