ホンダの北米法人であるアメリカン・ホンダが、2026年モデルとしての発売が予定されるプレリュードについて、興味深い情報を公開した。
ここまでやるなら“タイプR”の名もぜひ!
まずはサスペンションについて。グランド・ツーリング・スポーツ・クーペを標榜するモデルだが、サスペンションやワイドな前後トレッド、ブレンボ製フロント・ブレーキは、ピュア・スポーツハッチであるシビック・タイプRと基本を共通するものになるというのだ。


中でも、2015年のFK2や2017年のFK8、そして現行FL5へと受け継がれるフロントのデュアルアクシス・ストラットが、タイプRではないモデルに搭載されるのは、これがはじめてのこととなる。
このサスペンション形式は、トルクステアを大幅に低減できるのがメリット。歴代シビック・タイプRが、ニュルブルクリンクFF最速ラップタイムを記録する上で大きな役割を果たした、とホンダでは説明している。
もちろん、単なる流用ではなく、プレリュードに合わせたチューニングを実施。コンセプトどおり、スポーティながら快適なグランド・ツーリングの実現が図られる。

また、歴代初の電動化パワートレインは、超スムーズでレスポンスに優れ、かつパワフルな、ホンダ独自の2モーター式ハイブリッド・システム。これは、2025年の北米COTYを獲得したシビック・ハイブリッドにも搭載されたメカニズムだが、プレリュードへの採用が既に公表されている新技術のS+シフトと組み合わされるのはこれが最初のケースとなる。
S+シフトは、2020年にフィットで導入された、加速時に車速とエンジン・サウンドを連動させるリニア・シフト・コントロールの発展型。制御範囲を減速時にも拡大し、擬似エンジン音をスピーカーから発するアクティブ・サウンド・コントロール・システムも活用することで、モーターを駆使した燃費効率に優れる運転状況を維持しつつ、エンジン車のような駆動レスポンスや変速、ドライブ・フィールをもたらすのが狙いだ。

結果として6代目プレリュードは、この上ないダイナミクスやファン・トゥ・ドライブと、日常使いでの快適性を併せ持つGTになるであろうと、ホンダは予見している。
スポーティながら快適に使えるというのは、かつてプレリュードに代表された“デートカー”というジャンルの性格そのもの。カッコよくて、走りが楽しくて、それでいてカップルが心地よいドライブを楽しめるクルマが、21世紀の若者や、20世紀に若者だったひとびとの心を掴むさまを目にするのが、オールド・タイプのクルマ好きとしては楽しみでならない。

その先に、かつてのタイプSや、噂されるタイプRのようなさらに走りを磨いたモデルが登場すれば、いうことはないのだが。
文=関 耕一郎
(ENGINE Webオリジナル)