2025.08.26

CARS

日本のバイクが原点!?  新型テメラリオ、ヘキサゴンが描いた次世代スーパーカーの造形美

ポルトガル・エストリル・サーキットで行われた国際試乗会で、ついにテメラリオのステアリングを握った。会場では幹部陣にも取材。特に、デザイン責任者ミティア・ボルケルト氏によるワークショップでは、テメラリオに込められた造形哲学に迫ることができた。

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リア・セクションのデザインソースは日本のオートバイ!?

引き締まったリア・オーバーハング、高く配置されたエキゾースト・パイプ、そして露出したリア・タイヤ。テメラリオのリア・セクションには、ひと目で「何か違う」と感じさせる造形美が宿っている。

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その背景には、ボルケルト氏が長年敬愛してきた、日本製スーパースポーツ・バイクの影響が色濃く反映されている。

マスキングテープで描くのは、ミティア・ボルケルトさんお得意の手法

プレゼンテーションの途中で彼に「なぜバイクから着想を得たのか?」と尋ねると、ボルケルト氏は少し笑いながら、こう答えてくれた。

「もちろんイタリアのバイクも素晴らしいですが、私は日本のスーパースポーツ、特にMotoGPマシンや市販レーサーのデザインにずっと魅了されてきました。極限までそぎ落とされた造形、最小限のカウリング、そして何より“走るために存在する”という機能美に強く惹かれてきたんです」

なかでもボルケルト氏が注目するのは、「高回転で発熱するエンジンから熱をどう逃がすか」「空気をどう流すか」といった設計思想そのもの。視覚的な印象ではなく、機能を突き詰めた結果としての形が、彼の創作意欲をかき立てるのだという。

「そうしたバイクの思考法。つまり熱を抜く、エンジンを見せる、空気を導くなどの要素が、テメラリオのリア・デザインにも深く息づいています」





実際、テメラリオのリア周りには、そうしたバイク的文法が見て取れる。たとえば、上方にマウントされたエキゾースト・パイプは、排気効率を高めると同時に、まるでレーシングマシンのような速さと軽さを視覚的に伝える役割を果たしている。リア・タイヤはボディラインからわずかにはみ出し、その動的な存在感を際立たせる。

さらに象徴的なのは、V8エンジンをあえて外部から視認できるように設計されたリア・エンドだ。エンジンカバー越しに見えるそのメカニズムは、まさにボルケルト氏が語るように「感情を呼び起こす彫刻」として配置されている。

「私は、エンジンは単なる機械部品ではなく、感情を揺さぶる存在であるべきだと思っています」

美しさと機能、そして情熱。そのすべてを凝縮したリアセクションの造形は、テメラリオの設計思想を象徴する彫刻作品そのものだ。



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