車両盗難の被害(認知件数)は、2003年の64,223件から減少傾向にあるものの、2024年には6,080件もの盗難被害が報告されている。車両盗難の被害に遭うクルマは、トヨタ ランドクルーザーやレクサス LXなど国産高級車が多い。このような車両盗難の被害をなくす方法はないのだろうか。今回は、車両盗難の実態や効果的な盗難対策、より厳重な車両盗難対策について解説する。
クルマの盗難は今も発生している
クルマの盗難は、今も発生しており、多くの方が被害に遭っている。警察が公開している情報によると、2024年(令和6年)中の車名別盗難台数の状況は以下のとおりだ。

1位:トヨタ ランドクルーザー(1064台)
2位:トヨタ プリウス(539台)
3位:トヨタ アルファード(488台)
4位:レクサス LX(230台)
5位:トヨタ ハイエース(170台)
6位:レクサス RX(165台)
7位:ダイハツ ハイゼット(103台)
8位:トヨタ クラウン(101台)
9位:スズキ キャリイ(96台)
10位:レクサス LS(76台)
盗難されるクルマのトップは、ランドクルーザーだ。また、ランドクルーザーはプリウスと比べると盗難台数が約2倍。このことからも、ランドクルーザーは盗まれやすいクルマと言えるだろう。

ちなみに、車両盗難被害に遭う場所の42.9%が一般住宅で発生している。また、駐車場における発生割合が多い。つまり、自宅の駐車場でクルマが盗まれる可能性が高いということだ。
車両盗難の主な手口は、物理的にドアロックを解除してクルマに進入したり、リレーアタックやCANインベーダーなどの機器を使用したりするほか、レッカーや牽引車でクルマを丸ごと盗むなど、さまざまな方法がある。
車両のセキュリティや盗難対策グッズだけでは効果はない?
クルマを盗まれないようにするためには、盗難セキュリティや盗難対策グッズを装備するのが効果的だと考える方もいるだろう。しかし、セキュリティや盗難対策グッズのいずれか1つを取り付けるだけでは、あっという間に盗まれてしまう可能性が高い。

よって、セキュリティと盗難対策グッズを組み合わせて使ったり、クルマのキーから発せられる電波を遮断するボックスにキーを保管したり、セキュリティロックナットなどを使ったりするなど、複数の盗難対策をしておくことが重要だ。
しかし、これだけでは、車両を丸ごと盗まれてしまう可能性がある。では、自宅にクルマを止めるときに盗まれないようにする方法はないのだろうか。その有効な方法が、ガレージの設置や既存のガレージのセキュリティ強化だ。
ガレージにクルマを止めているから安心というわけではない!
クルマをガレージに止めていても、そのガレージに人の進入を許してしまうとクルマが盗まれてしまう可能性がある。よって、ガレージにクルマを止める場合は、ガレージに人が立ち入らないよう対策しておく必要がある。

大切なクルマを窃盗犯から守る方法としては、セキュリティ対策がしっかりしているガレージを増設したり、既存のガレージのセキュリティを強化したり、シャッター付きガレージに変更したりするなどの対策が考えられる。
なお、シャッター付きガレージを増設したり、既存のガレージのセキュリティを強化したりするときは、ガレージ内に空気が籠もらないよう、換気システムの設置も忘れずにしておくことが大切だ。
優れた換気システムを設置していれば、ガレージ内に排気ガスが溜まったり、湿度が高いままになったりするのを避けることができる。よって、車両盗難対策のためシャッター付きガレージを作る場合は、優れた換気システムの導入も同時に行っておくことをおすすめする。
大切なクルマが盗まれないようにするために
大切なクルマが盗まれると、大きなショックを受けるだけでなく、金銭的な負担も強いられることもある。
このような悲しい思いをしないために、車両に装備されているセキュリティに加え、車両盗難を防ぐアイテムやシステムなどを組み合わせて取り付けておくとよいだろう。

ただし、盗難されやすいクルマ(特にランドクルーザー)の場合、窃盗犯とセキュリティシステムのいたちごっこになる可能性が高い。
よって、盗まれやすいクルマはガレージ内に保管しておくことをおすすめする。また、自宅ガレージに盗まれやすいクルマを保管するときは、ガレージそのもののセキュリティがしっかりしているか、人の立ち入りを制限できる構造となっているかなどを見直してみるとよいだろう。
愛車を盗難から守るためには、クルマそのもののセキュリティに加え、セキュリティ強化システムや盗難対策グッズを使用するだけでなく、クルマを止めておく環境の見直しも必要だ。
文=齊藤優太(ENGINE編集部)
(ENGINE Webオリジナル)