ルノーが新型クリオ、日本名ルーテシアを公開した。
ぐっとスポーティな印象に路線変更
通算6代目となるクリオは、これまでの柔らかかつふくよかな歴代のイメージを一新。

車体サイズは4116×1768×1451mmで、従来より67mm長く、39mm広く、11mm高い。ホイールベースは、8mm伸びた2591mm。長いボンネットや、スポイラーやスラントしたリア・ウインドウへシームレスにつながるルーフ・ラインにより、シルエットはクーペ・ライクだ。

フロントはルノーのエンブレムを思わせる菱形の開口が並ぶグリルから、ボンネットへ続くキャラクター・ラインが際立つ。デイタイム・ライトも、エンブレムをイメージさせる。

ヘッドライトは黒い切れ長のハウジングで囲み、スポーティな印象を強化している。ボディ・カラーは、アブソリュート・レッドとアブソリュート・グリーンの2色を新設定したほか、グレー系2色とホワイト、ブラック、ブルーの7色を展開する。

黒いホイール・アーチには、最大18インチのホイールが収まる。サイド・ウインドウは切れ上がり、リア・ドアはヒドゥン・ハンドルとすることで、2ドア風のビジュアルに仕立てた。

リア・フェンダーは、張り出した上部がリア・エンドへつながり、デッキ状の造形に。その下には、スポーツカーに着想を得たという4灯テールライトが据え付けられる。ウェザー・ストリップを目立たないよう設置したことも、洗練されたヴィジュアルに寄与している。

インテリアは、焼き色のついた金属のようなダッシュボードが目を引くが、これはトップ・グレードの“エスプリ・アルピーヌ”用のアイテム。その下の段はアルカンターラで覆われるが、その他のグレードもここは布地が張られ、助手席側には48色の発光が可能なアンビエント・ライトを組み込んだ。

ドアにも、斬新な見栄えのライトが設置されている。

2面の10.1インチ液晶画面はV字型に折れた配置で、ドライバーからの視認性や操作性を向上。最上位装備のコンパクトなステアリング・ホイールは、上位セグメントのモデルと同等のアイテムで、走行モードを選択するマルチセンスのボタンなどを配置する。また、ロック・トゥ・ロックを3.3から2.6へ減らし、より俊敏な走りを実現。

新デザインのシートには、リサイクル素材の表皮を使用した。

センター・コンソールは、タブレットのカバーのようなソフト素材のリッドを設定。前席にはUSB-Cを2口、後席には12Vソケットを取り付けた。

荷室容量はパワートレインの種類により変わるが、最大391リットル。開口部の地上高は、先代比で40mm低くなった。

パワートレインは4種類で、最大の売りはフルハイブリッドのE-テック160hp。直噴アトキンソン・サイクルの1.8リットル直列4気筒と2基のモーターに、冷却系を刷新した1.4kWhバッテリー、F1の技術を応用したクラッチ・レスのドグミッションを組み合わせ、純ガソリン・エンジン・モデルより最大40%の効率改善を実現。15ps低出力な従来の145hpより高効率化し、CO2排出量は89g/km、燃費は3.9リットル/100km(約25.6km/リットル)をマークする。

ルノー独自のトランスミッションは、エンジン用に4段、モーター用に2段のギアを有し、エンジンとモーターそれぞれ単体での走行と、ハイブリッド走行とで、合計15通りのギア選択を可能にする。電動走行は市街地走行の最大80%をカバーでき、高速道路での1000kmに及ぶ航続距離に貢献する。また、パワートレインの設定とステアリング・アシスト量をアジャストする走行モードは、4段階調整が可能だ。
このほか、ガソリン・エンジンは115psの1.2リットル3気筒で、MTと、シフトパドル付き6段デュアルクラッチ式自動MTを設定。さらに、“エコ-G”と呼ばれる仕様も準備中だ。これはガソリンとLPGのバイ・フューエルで、120psを発生する3気筒。トランスミッションはやはり6段のデュアルクラッチ式自動MTを使用する。
製造はトルコ北西部のブルサにある、現地のオヤック財閥との合弁で運営する工場で行われる。これまで1700万台あまりを世に送り出してきた歴代モデルのうち、500万台以上がこのオヤック・ルノー製だ。日々1000台以上のクリオを生産してきたトルコ工場生まれの新世代クリオは、欧州市場ではまもなく販売が開始される。

わかりやすくスポーティなルックスと、優れた燃費性能は、日本でも支持を集めそうな予感だ。
文=関 耕一郎
(ENGINE Webオリジナル)