ルノーは自社のヘリテージであるクルマやアイテムなどを公開する新たなエキシビジョン・センターを、2027年のオープンに向け準備中だ。
ルノーの歴史のすべてが集結する!
この施設に展示されるのは、歴代のクルマやアートワーク、アーカイブ文書たち。VR技術も駆使し、ツアーや企画展示などを通じて、125年を超えるルノーの歴史に触れ、没入することができるという。

ロケーションは、パリから40km離れた郊外のフラン。1952年にオープンし、これまで1800万台以上の車両を生産してきたが、2021年からはリサイクル施設のリファクトリーへの転換を進めてきた工場の敷地内だ。

1950年代のルノー・ドーフィンをはじめ、1970〜80年代のルノー5(サンク)、ルノー4(キャトル)、4世代にわたるクリオ(日本名ルーテシア)、そしてBEVのゾエと、まさしく同社の屋台骨のクルマたちが生産されてきたフランは、ルノーの歴史を振り返る場にふさわしいと言えるだろう。

フランスの建築家、ベルナール・ゼルフュスが描いたフラン工場の直交するラインに、調和を見せる近代的な建屋は、2020年のドバイ国際博覧会でフランス館を手がけたジェイコブ・セルニキエの作品だ。2800平米のイベント・スペースを、業務や会談、収納などのためのエリアが囲む設計で、レストア工房や部品類のストレージ・エリアも設けられている。

圧巻なのは、数百台の車両がラックに収まるコレクション・エリア。まるでミニカーを飾るかのように実車を収めた巨大な棚は、イベント・スペース内からだけではなく、屋外のファサードの側からも目にすることができる。
1898年にはじまったブランドの歩みを物語るのは、並べると2400mを超える量の文書だけではない。ポスターやデザイン画、ミニカーやペダル・カーのような玩具、カップやメダル、そして数々の書籍も揃い、来館者へ公開される。


とはいえ、やはり気になるのは展示車両だろう。ルイ・ルノーが最初に作ったタイプAにはじまり、戦前型モデルやF1マシン、アルピーヌ、そしてコンセプト・カーまでを網羅するというコレクションは、今なお増え続けている。
そこで、展示に先駆けてルノーでは、収蔵品の確認を実施。重複している車両を、年末にアールキュリアルのオークションへ出品するというので、こちらも見逃せない。
また、現代アートを長く収集し、芸術の保護や支援を目的とした基金も設立したルノー。その数百点にも及ぶコレクションもまた、新たな展示施設の見どころとなるだろう。

2年後の開館が楽しみなルノーのミュージアム。その頃には円安が多少なりとも緩和されて、今より気軽にフランスへ旅行できるようになっていることを願うばかりだ。
文=関 耕一郎
(ENGINE Webオリジナル)