2025.10.13

CARS

車重1277kgは、まるでコンパクトハッチのような軽さ! 750Sほか3台のマクラーレンに一気乗り!!

サーキット級のパフォーマンスを公道でも楽しめるマクラーレンのスーパースポーツ、750S。車両価格は4170万円。

全ての画像を見る

750Sで狭い峠道を

試乗会の拠点となったのは新幹線駅からほど近いホテルインディゴ軽井沢。午前10時に到着すると、駐車場には750Sクーペ&スパイダー、アルトゥーラ・クーペ&スパイダー、そしてGTSの5台がすでに待機していた。圧巻の光景である。

advertisement




我々が最初に乗ったのは750Sクーペ。今回の試乗車の中でも、F1直系の技術を取り入れた、まさにマクラーレンのど真ん中に位置するスポーツカーだ。全高は1196mmと低いが、全幅が2161mmと他社のスポーツカーと比べてもかなり大きく、どっしりと路面に張り付いているかのような印象を受ける。その圧倒的な存在感に気圧されながら、まずは副編サトウの運転で出発した。

一般道から高速の入り口へと向かう途中、副編サトウがつぶやいた。

「マクラーレンはこの抑制の利いた、控えめなエンジン音がいいんですよ。イギリス的なアンダーステイトメントというか、上品な感じが軽井沢の街によく合っています」



なるほど、と心の中で頷きながら、助手席で気楽なドライブをしばし楽しむ。思ったより視界が広いうえ、着座姿勢が低いわりには乗り心地も快適だ。運転を交代したのは高速を降りてから。さすがサーキット志向のクルマだけあって、ステアリングやアクセル、ブレーキ・ペダルが重い。だがそんな違和感にもすぐに慣れ……、と調子をこいて運転していたら、いつの間にか急カープが延々と続く、片道一車線の狭い峠道に迷い込んでいた。こんな幅広のクルマで大丈夫か、と一瞬、不安になったが、自分の拙いステアリング操作でも、1277kgの車体(先代の720Sより30kg軽い)は意のままにスイスイと曲がる。このクルマの高性能を思わぬ形で体験しながら、峠道を無事に引き返したのである。

McLaren ARTURA/マクラーレン初の量産型ハイブリッド・モデルのアルトゥーラは、3.0リッター V6ガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせ、最高出力680ps、最大トルク720Nmを発揮。0-100km /hは3.0秒と猛烈な加速を実現した。車両価格はアルトゥーラ・クーペ(右)が3300万円、アルトゥーラ・スパイダーが3650万円。今回、試乗した車両には、マクラーレンのビスポーク・プログラム、MSOによる様々な特別仕様が施されている。

ホテルでの昼食後、次に試乗したのはアルトゥーラ・クーペ。マクラーレン初の量産型ハイブリッド・モデルである。電動化に対応した新開発のカーボンモノコック、MCLAを採用しており、重量も1395kgとハイブリッド車にしては異例の軽さだ。残念ながら時間の制約があり一般道しか走ることができなかったが、その楽しさは十分に実感できた。とりわけ気持ちよかったのはドライブ・モードをコンフォートにして走った時。低速で街中を流している分には穏やかなEV走行だったのが、直線で加速するとV6エンジンが介入し、いつの間にかスポーティな走りに切り替わっていた。電気と内燃機関のいいとこ取り、といったところだろうか。



そして最後がGTS。重量は1483kgとこれまでの2台より重いが、GTカーとしてはかなり軽量な部類に入る。実用性と快適性を重視したクルマなだけに、先のアルトゥーラよりも足回りは柔らかめ、シートのクッション性も高い。高速を降りて一般道でホテルまで帰る途中、激しい雨に降られたが、トラクションコントロールやESCが細かく作動し、濡れた路面でも不安は感じない。スポーツカーらしい俊敏さもあり、このまま東京まで走って帰りたいと思うほど心地のよい運転体験となった。

個人的にはエンジンとモーターの協調性が絶妙だったアルトゥーラを最も気に入ったが、いずれのクルマも、その軽さがクルマの扱いやすさ、走りの楽しさにつながっていることを実感できた一日だった。まさにマクラーレンにとっては、軽さこそが最大の武器、なのである。

文=永野正雄(ENGINE編集部) 写真=マクラーレン・オートモーティブ

(ENGINE2025年11月号)

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement

advertisement

PICK UP

advertisement