日本が世界に誇る時計として知られるグランドセイコー。実はグランドセイコーは、もともとセイコーの中の1つのブランドだったが、2017年に「グランドセイコー」として独立したという経緯を持つ。今回は、グランドセイコーの特徴、歴史、モデルラインナップを紹介しよう。
2017年にセイコーから独立した高級時計「グランドセイコー」とは?
グランドセイコーは、「世界に通用する高精度で高品質な腕時計を作り出す」という決意のもとに1960年に誕生したブランドだ。2017年に「グランドセイコー」として独立するまでは、セイコーブランドとして販売されていた。

グランドセイコーが誕生した6年後の1966年、グランドセイコー独自の精度規格「グランドセイコー規格」を制定。この規格はスイス・クロノメーターの検査基準(日差+6秒〜-4秒)を超える基準の日差が+6〜-3秒/日(1969年に平均日差+5〜-3秒に改定)に設定された。この時から、グランドセイコーは高い精度を追求していたことがわかる。
1967年には、デザイン理念「グランドセイコースタイル」を採用した44GSが登場。この“グランドセイコースタイル”は現在のグランドセイコーにも受け継がれている。
1969年、機械式腕時計としての正確さを極限まで追い求め、月差の精度が±1分以内の「V.F.A.(Very Fine Adjusted)」を発売。
1998年には、精度の高みを目指し、1960年代のグランドセイコー規格よりも厳しい規格となる「新グランドセイコー規格」を制定した。この新たなグランドセイコー規格では、17日間にわたる6姿勢、3温度での検定を受けるという厳しい検査が導入されている。
グランドセイコー独自のムーブメント「スプリングドライブ」デビュー
2004年、グランドセイコーを代表するムーブメント「スプリングドライブ」を搭載した9R6シリーズを発売。スプリングドライブは、ゼンマイがほどける力を動力源として水晶振動子とICで正確に精度を制御する独自の機構を採用している。これにより平均月差±15秒(日差±1秒相当)という高い精度と72時間の持続時間を実現。また、文字通り“流れる”ような動きのスイープ運針もスプリングドライブの特徴となっている。

2017年、セイコーブランドから「グランドセイコー」として独立。新たなスタートを切った。
2020年、グランドセイコーの次世代を担う新たな9S(パワーリザーブ80時間の機械式)ムーブメントと、9R(パワーリザーブ5日のスプリングドライブ)ムーブメントが登場。また、特許を取得したトゥールビヨンも発表された。
時計界のアカデミー賞とも称されるGPHGを受賞した“白樺”は大谷翔平選手に贈呈された
2021年、グランドセイコーの代名詞ともいえる「白樺」(SLGH005)が2021年度ジュネーブ時計グランプリ(GPHG)「メンズウオッチ」部門賞を受賞。翌年(2022年)にプロ野球の大谷翔平選手に贈呈されたのもこの白樺だ。

2025年、グランドセイコーは日差や月差という尺度を超え、ゼンマイ駆動式の腕時計としては世界最高峰となる年差±20秒という高精度を実現した「スプリングドライブU.F.A.(Ultra Fine Accuracy)」を発表。腕時計業界の歴史に新たな1ページを刻んだ。
5つのコレクションから成り立つグランドセイコー
グランドセイコーは、5つのコレクションで成り立っている。各コレクションと主な特徴は次のとおりだ。
・マスターピースコレクション:極限まで高められた匠の技を結集してつくり出される珠玉の作品
・エボリューション9コレクション:グランドセイコーの独自のデザイン哲学「エボリューション9スタイル」に基づき、光と陰が織りなす日本の美意識を融合させたデザインが特徴のコレクション
・ヘリテージコレクション:バランスの取れた王道のデザインを採用しているコレクション。独自のデザイン文法である「グランドセイコースタイル」を確立した「44GS」を現代的に解釈したスタイルが魅力
・スポーツコレクション:クロノグラフ、GMT、ダイバーズウオッチなど豊かなラインナップが特徴のコレクション
・エレガンスコレクション:優れた実用性を備えながら着用時にオーナー美しさを演出するコレクション

どのコレクションであっても、グランドセイコーらしい落ち着きのある大人の上品さを感じることができる。いい時計を身に着けたいけど、目立ちたくないというときは、グランドセイコーを選んでみるとよいだろう。
文=齊藤優太(ENGINE編集部)
(ENGINE Webオリジナル)