2025.10.18

CARS

ポルシェ2年連続の販売鈍化!? 回復の鍵は内燃エンジン搭載車の継続と単価のアップか

新しい718ケイマン&ボクスターは最上位モデルだけが内燃エンジン搭載か?

全ての画像を見る
ポルシェの2025年1〜9月の販売台数は、グローバルで21万2509台だった。前年比で7%減少した2024年同期より、さらに6%のマイナスだ。

ポルシェの危機、ふたたび


内訳を見ると、北米と新興市場などでは微増ながら、中国が26%、ドイツ本国が16%のダウン。ドイツを除く欧州も微減となった。ちなみに、日本は5.8%のプラスだが、この9月単月では42.4%も減少している。

advertisement






中国での減少は、高級車需要の減速と競争の激化が、欧州は経済成長の鈍化や、EUのサイバーセキュリティに関する法規対応で718系とマカンの内燃エンジン・モデルの供給が遅れたことに理由があるとしている。



なお、2024年の販売減は供給力不足によるもので、パナメーラ/マカン/タイカン/911の在庫を売り切って、これから増加に転じる段階にあるとされていた。



モデル別の内訳では、電動化モデルすなわち純電気自動車とプラグイン・ハイブリッド車の比率増加を謳っているが、これは主に、ベスト・セラーであるマカンの完全電動化によるもの。

その新車効果もあって、マカンの販売台数の55%以上を純電動モデルが占めたものの、EU圏以外では内燃エンジン搭載モデルの駆け込み需要が大きく、結果として18%増のセールスとなっているので、今後の見通しが明るいとは言い難い。



というのも、タイカンは10%、カイエンは22%、それぞれ減少しており、電動化モデルの需要が純粋に高まっているとも思えないからだ。そこでポルシェは、マカンに相当する内燃エンジン車とハイブリッドの新型車を、新たに計画していることを公表している。



いっぽうスポーツカー系では、911が5%、先述したサイバーセキュリティ対応が必要となった718系が15%の減少。現行718系は2025年内に生産を終了するが、完全電動化するとされてきた次期モデルにも内燃エンジンを搭載した仕様を用意することを発表しており、純電動の新型発表後も現行の内燃エンジン搭載車を併売するカイエンともども、ここでも世界的なBEVシフトの遅れへの対応を余儀なくされているのが事実だ。



それでも販売・マーケティング担当のマティアス・ベッカー取締役は「現在の地政学的、そして経済的な状況を踏まえれば想定内」とし、さらに「最近では、IAA(ドイツ国際モーターショー)で911ターボSを発表しました。新たなフラッグシップの需要は非常に強いものがあります」と前向きなコメントを述べている。

さらにポルシェは、“エクスクルーシブ・マヌファクトゥーア”や“ゾンダーヴンシュ”といったパーソナライゼーションへの関心の高まりも、好材料と捉えている。販売台数が減っても単価が上がれば、財務上はさほど問題ではない、ということだろうか。

先日、製品戦略見直しと、アメリカの関税の影響を織り込み、業績予想の下方修正を行ったポルシェ。かつての経営危機から奇跡の回復を遂げ、スポーツカー専業からプレミアムブランドへと転身して成長を続けてきたが、この難局はどう乗り切るのだろうか。

文=関 耕一郎

(ENGINE Webオリジナル)
タグ:

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement

advertisement

PICK UP

advertisement