フェラーリが「SC40」を公開した。「849テスタロッサ」をはじめ、往年の名作のネーミングやデザインに対し、次々とリ・クリエイトを行っている同社のフラヴィオ・マンツォーニ率いるデザイン・センターが新たなモチーフとしたのは、伝説的なスペチアーレの「F40」だ。
大胆な解釈に見えるが、よく見ればかなり似ている?
ベースとなったのは、120度V6ツイン・ターボPHEVシステムを積む「296GTB」だ。

パワートレインやシャシーを流用しつつ、F40をイメージしたシャープで角張ったラインと、ソフトで現代的な面を組み合わせたスタイリングを構成した。

固定式リア・スポイラーの両サイドに車名を型押しするのは、F40への明確なオマージュだ。

ボディ・カラーは専用開発の“SC40ホワイト”で、各部に黒いアクセントが入る。

印象的なのはフロント周りだろう。ノーズの両コーナーに配置されたヘッドライトの黒いハウジングは、エア・インテークと一体化され、バンパー下部まで続く。デイタイム・ライトの下にあるのはブレーキ・ダクトだ。

サイドは、クラシックなNACAダクトを再解釈したインタークーラー用のエア・インテークを配置。ノーズとリア・フェンダーに走る水平方向のラインともども、ブラックで彩られる。ドアやエンジン・フードなどの縦方向のラインが、垂直に近く切られているのも特徴的だ。専用ホイールはブラシ加工した金属地肌とブラックのスポークを組み合わせた。

リア・エンドも黒を主体に構成されるが、目を凝らすと、メッシュ越しに内部のメカニズムが見て取れる。テール・ライトは、296GTBとの関連性を示すもの。センター出しのチタン・エグゾーストには、カーボンのテール・パイプが設置されている。

エンジン・フードもF40同様に車体後半部が大きく開き、スモークのレキサン素材を用いたルーバーが中央に配置され、V6エンジンを外から見ることもできる。

フードの内側もまたF40を想起させるカーボン・ケブラーで全体が覆われている。また、ボディに塗られた“SC40ホワイト”は、光の当たり方によって、カーボン・ケブラーを思わせる色合いを発するという。

インテリアは、センター・コンソールやフロアなどにカーボン・ケブラーを使用。ステアリング・ホイールやシフト・パドル、ダッシュボードのトリムにも、黄色味がかったケブラー繊維が目につく。

赤いジャガード織のテクニカル・ファブリックが張られたシートは、ヘッドレストに跳ね馬、バックレストに車名ロゴが記される。

最近のマラネロのニュー・モデルは、往年の名車をモチーフに、大胆な現代解釈を行うのがトレンドかと思わせる。元ネタとなったモデルの熱狂的ファンには賛否あるだろうが、次世代デザインがよりよくなるための温故知新フェーズと思って見守ろうではないか。
文=関 耕一郎
(ENGINE Webオリジナル)