2025.11.22

CARS

26歳で最愛のクルマに出会い、そのまま維持し続けている 新車で手に入れた2代目マツダ・サバンナRX-7で今も毎日通勤

藤枝雅美さんは、26歳の時、サファイアブルーのサバンナRX-7(FC)を購入した。総額約320万円。20代のサラリーマンにとっては、相当張り込んだ買い物だった。

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今や重要文化財

藤枝氏は、第一にFCのカタチに惚れたわけだが、1980年代はドラテク全盛期。クルマの速さもさることながら、ドラテクもモテの重要項目で、男なら誰もが運転がうまくなりたいと願っていた。

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藤枝氏はカリーナやハチロク時代、日光いろは坂で腕を磨き、FCに乗り換えてからは、一歩進んでジムカーナやサーキットを走った。80年代のエリートコースだが、新婚家庭にはモータースポーツの経済的負担は重く、ドラテクに関しては徐々に「同乗者(奥様)が酔わない、スムーズな運転」の方に向かったという。スバラシイ。

シートはレカロが備わる。

ロータリー・エンジンは耐久性が弱いが、その点も対策に抜かりはない。20年前に続いて、昨年、軽自動車が買えるくらいの費用をかけ、2度目のエンジンオーバーホール+タービンオーバーホール等々を実施済みだ。

13Bターボは二度オーバーホールが施されている。それにしても小さい。

それにしても、37年間、一台のクルマを愛し続けるのはなぜなのか。

「愛ですね(笑)。いや、単に私が一途なタイプというのもあります。本当にこれ以上のクルマに出会わないんですよ」(藤枝氏)

26歳で最愛のクルマに出会い、そのまま維持し続ける。なんてシアワセなカーライフだろう。

「通勤用に使っているので、以前はよく同僚に『いい加減、買い換えたら?』みたいなことを言われたんですよ。でも最近は、みんな、宝物みたいに接してくれるようになりました」(藤枝氏)

長年一途な愛を貫いているうちに、時代が一回転し、37年前のデートカーが、重要文化財に指定されたようなものか。



藤枝氏「このクルマに乗っていると、すごく注目されますし、しょっちゅう声を掛けられるんです。油断できません」

私「スター気分ですね」

藤枝氏「いやいや、スターはクルマであって、私じゃありませんから」

とは言うものの、クルマ好きは、自分よりも愛車を誉められたほうがうれしいし、スターに乗ればスター気分だ。しかも国産旧車は、誰もが知っていて、誰にもやっかまれず、誰からも愛される国民的スター。スターで今でもデートできるなんて、シアワセすぎるじゃありませんか。

60代となった今、藤枝さんが今後の課題と感じているのは、いずれこのクルマを誰に引き継ぐか。息子さんは関心がないので、自分と同じくらい大事にしてくれる人に譲れるかどうか心配とのこと。

文=清水草一 写真=茂呂幸正

(ENGINE2025年11月号)

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