2021.08.28

CARS

憧れのクルマをもう一度! マツダ・サバンナRX-7とポルシェ928に乗るインテリア・スタイリスト 窪川勝哉さん

両親が営むドライブインに訪れるクルマを見て育ち、気づけば、クルマ大好き少年となっていた窪川勝哉さん。少年時代に憧れた2台の愛車とともに登場いただいた。

オリジナルカラーのサバンナ

クルマ好きなら誰もが知っている、格納式ヘッドライトを採用する2台の愛車を披露してくれたのは、インテリア・スタイリストの窪川勝哉さん。1台は1983年式のマツダ・サバンナRX-7SEリミテッド、そしてもう1台は1981年式のポルシェ928。サバンナはハバナブラウン×アンティーク・ゴールドというSEリミテッドに設定されていたオリジナル・カラーだそうだ。

「こうして2台を並べてみると、サバンナも存在感があるなあ。もともと明るい色のクルマが好きだったのに、こんな渋いツートーン・カラーを選ぶようになるなんて。928のグリーンも落ち着いた色だし。あ、年とったのかな(笑)」

この撮影中、歩行者やトラックの運転手が“もしかしてサバンナ?”などと声をかけてきた。

「サバンナに乗っていると、かなり声をかけられます。対して928は、そうでもない。ポルシェではあるけれど、一般的には知名度が低いから。サバンナのほうが断然多い。やはり国産の名車だから、当時を知らなくても、記憶に残っているんでしょうね」

写真は少年時代のもの。ナンバープレートの数字にもちょっとした意味がある。「ふつうは“7”とか“928”にするところかもしれませんが、ちょっと気恥ずかしくって……」。サバンナの“9325”は、昔の実家のサバンナのナンバー、と同じ数字を選んだのだそう。

クルマ大好き少年

窪川さんが根っからのクルマ好きになったのは、両親からの影響が多大にあるという。

「山梨の実家がドライブインを経営していて、毎日毎日、いろいろなクルマが駐車場に現れる。食事をしたクルマのディーラーの方なんかがカタログなどを置いていってくれる。そういう環境で育ったからクルマが大好きにならないわけがない(笑)」

サバンナとの出会いは、窪川少年が5歳のときだった。

「父は家族が快適に移動できるよう、ハイエースなどの実用車に乗っていました。あるとき、母がクルマを買うというので、カタログを見ながら選ばせてもらったんです。いま考えると、5歳の子供によく選ばせたな、と思いますけれど」

そこで選んだのが、マッハ・グリーンの初代サバンナRX-7だった。

「母がサバンナをOKしてくれたのは、当時としては珍しいオートマの設定があったから。それからも、母は僕が選んだクルマを買って乗ってくれていました。子供のころから、丸目のクルマが好き。それは今でも変わらない。クルマに限らず、現代にはなくなってしまった、ちょっと古いモノ特有のデザインに惹かれるんですよ。大人になってから、いろいろなクルマに乗りましたけど、40を過ぎたころから、サバンナにもう一度乗りたいと思ってきて。探しまくりました。家にあったマッハ・グリーンもよかったですが、このSEリミテッドに設定された限定色がどうも気になってきて。中古車サイトにはぜんぜんなくて、見つけたら大阪にまで実車を見にいったり、都内で見かけたら、オーナーが現れるまでずっと待ってみたり」

フェラーリ365GT4、ランボルギーニ・カウンタック、ランボルギーニ・ミウラなど、1970年代のスーパーカーの多くが格納式ヘッドライトを採用した。同じ格納式でも、収納するスタイルが違う。サバンナはヘッドライトが下向きに収まるリトラクタブル、そして928はヘッドライトが上向きに収まるポップアップ式となっている。

このSEリミテッドは、屋根のパネルを外すことができる。

コクピットは飛行機のキャノピー風のコクピット。インストルメントパネル内は視認性に優れたアナログ式のタコメーターを中心に配置されている。

搭載されたエンジンは12A型ロータリー。昭和53年の排出ガス規制をクリアした。

数年越しで、ようやく見つけたのは、走行7万km、フルオリジナルのベスト・コンディションの個体だった。いざ買うという段になって、実家の母に連絡したのだそうだ。

「それは喜ぶだろうなあ、と思って。サバンナを買おうと思っている、と電話したら、“ロータリーエンジンをちゃんと見てくれる工場が近所にあるのか?”などと、具体的なツッコミを入れられてしまいました」

ポルシェへの嫉妬心

一方、サバンナに乗り始めて1年ほど経ってから、偶然出会ったのがポルシェ928だ。

「子供の頃は知らなかったけれど、後からサバンナが“プアマンズ・ポルシェ”などと言われていたことを知って。以来、ちょっとポルシェに対する嫉妬心があったのかもしれない。だいたい、まったく違うモノなんですけれど。まあ、ポルシェが蟹なら、サバンナはカニカマ(蟹風味カマボコ)かもしれない。今となっては、カニカマも、それはそれで美味しいじゃん!と思うんですが」

やはり911、ボクスターもいいけれど、窪川さんらしいポルシェといえば、928だった。

ちなみに928のナンバープレートは、モデルイヤーにあわせ“81”にしたそうだ。

スポーツカーというよりは、高級乗用車風のコクピット。

デビュー当初は4.5リッターのV8 SOHCを搭載していたが、年々進化を遂げ、最終的には5.4リッターのV8 DOHCを搭載した928GTSにまで発展した。

「928は初代で、半年前に購入しました。某ポルシェ・コレクターが長年所有していたというものだったそう。やっぱり、このモスグリーン・メタリックという色が気にいって。前オーナーの趣味で次代の928Sのフロントスポイラーがついていたり、ステアリング・ホイールもノン・オリジナル。それから、通称“テレホンダイヤル”と呼ばれるホイールもシルバーからシャンパンゴールドにペイントされていますね。でも、ホイールは雰囲気があっていて、むしろこっちのほうが車体にマッチしていい。ステアリング・ホイールを純正にしたいな、とは思いますが、基本的にはこのまま乗っていこうと思っています」

928というと、タイミングベルトやウォーターポンプなど、なにかしら故障が多そうなイメージがある。調子はどうかと訊いてみた。

「現在、走行7万キロで、こわいくらい問題ナシです! クルマにまつわる苦労話がみんなの大好物なのは知っているから、ご期待に沿えず、申し訳ないです(笑)」

くぼかわかつや。1974年山梨県生まれ。インテリアのみならずクラフトから家電までプロダクト全般に造詣が深いインテリア・スタイリスト。

ステアリング・ホイールを握る腕元には、バング&オルフセンの「ベオ・ウオッチ」。1993~1996年の3年間だけ製造された腕時計型リモコンだ。

日常の足と休日の愉しみ

じつは、窪川さんは現在4台持ち。都内の移動はメルセデス・ベンツのスマートとダイハツ・ミラのウォークスルーバンを使っている。

「スマートはかれこれ20年近く乗っていて、原チャリ感覚で乗っています。そしてミラは家具などの大きな荷物を運ぶ仕事用。日常の足はこの2台です。そして格納式ヘッドライトの2台は、休日に都内をドライブする。いずれも遠出するのは少々こわいし、がっつりと走りを楽しむようなクルマではないですから。その都度、どちらに乗るか迷っています。強いて言うなら、928はメルセデス・ベンツ製の3速ATなので、道路状況や時間帯に合わせて、気分で選んでいます」

ポルシェ928は1977~1995年に製造された。フェラーリやアストンマーティンなど、V12エンジンを搭載した高級スポーツカーの対抗馬として開発された。

撮影後、窪川さんの運転する928に同乗させてもらうこととなった。

「ね、乗ってみると、いたって普通でしょ。走って最高~! みたいなクルマではない。僕にとって、ちょっと古いクルマを持つことは、ヴィンテージのフラワーベースを買うような感覚なのかもしれない。花を生ける道具としてではなく、デザインそのものが美しいから買う。それを家の中でソファに座って、ニヤニヤしながら眺めていたい。同じように、サバンナと928は、見ているだけでワクワクする。そんなクルマなんです」

1978年に発売されたマツダ・サバンナRX-7。初代は1985年まで製造された。当時、大きな話題のひとつとなったのが、それまでの日本製スポーツカーの常識を大きく覆したガラスハッチ。発売当時の価格は169万円であった。

文=小林尚史(ENGINE編集部) 写真=岡村昌宏

(ENGINE2021年8月号)

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