2025.10.26

CARS

最強の“W210”を憶えていますか?【わずか世界限定200台&日本上陸60台】メルセデス・ベンツ・ミュージアムに登場した「E60 AMG」

W124型の500E/E500はメジャーだけど、これを知っている人は少ないはず!

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独メルセデス・ベンツ・ミュージアムの、“ヤングタイマー”にスポット・ライトを当てた特別展に、W210世代の「E 60」が登場した。世界限定200台、日本へは60台が正規輸入されたのみの超レア車だ。

当時でも約2000万円! はたして今はいくらに?


およそ20万マルクという本国での新車価格は、当時のレートだと1500万円近い。通常のメルセデス・ベンツEクラスのV8搭載モデルである「E430」(10万4995マルク=約745万円)のほぼ2倍で、その頃もっとも高価なメルセデスだったV12ロング・ボディのW140型「S600L」(21万220マルク=約1493万円)と同等だったという。

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ちなみに当時のAMGジャパンでは1980万円の値付けだが、同時期の「E55」は1450万円だから、「E60」がいかに高額で特別なクルマだったかうかがえる。



エンジンはM119型V8の5956cc版で、最高出力/最大トルクは381ps/580Nmを発生。つまり、先代となるEクラスのW124に設定された「E60」のエンジンを、4973cc版のW210型「E50」に換装して、34ps/100Nmアップした仕様ということになる。



形式上は、14万8350マルク(約1053万円)の「E50」に、およそ5万マルク(約355万円)の“コード957”ことAMGテクノロジー・パッケージをオプションで追加したもの。そのため、200台とされる生産台数もじつは正確な記録ではなく、「E60」は「E50」の2960台の一部という扱いでしかカウントされていない。



パフォーマンスは、0-100km/h加速が5.9秒で、「E50」から0.3秒の向上。最高速度は250km/hリミッターを備えていたが、速度計には280km/hまで刻まれている。今でこそ見慣れた数字だが、1996年の発表当時のセダンでは驚くべき性能だった。

メルセデス・ベンツからアファルターバッハへ送られたボディ・シェルには、6リットルV8をはじめ、トランスミッションや駆動系、ファイナル・レシオ2.82のアクスル、スポーツ・サスペンションやスポーツ・エグゾーストなど、AMG開発のコンポーネンツがほぼ手作業で組み付けられた。ブレーキはフロントがAMG製、リアはV12を積むR 129型「SL600」から流用している。



外観は、控えめなボディ・キットと18インチ・ホイールが、単なるEクラスではないことを主張。ブラックのエンブレムも、通常モデルとの識別点だ。1997年には、F1のメディカル・カーとして使われ、その姿を世界中のクルマ好きに印象付けた。



インテリアには、高性能セダンにふさわしい俊敏なハンドリングを味わえる、390mmに小径化されたステアリング・ホイールが組み合わせられたが、レザーとウッドによる仕上げは豪華。ウッド・パネルやアルカンターラとレザーのトリムも、高級感や職人技を感じさせる仕上がりだ。





シフト・レバーやカーペット、車名が刻まれたシル・プレートなどは専用品。センター・コンソールのフラップには、AMGの創設者であるハンス・ヴェルナー・アウフレヒトのサインが記された。



1990〜2000年代の“ヤングタイマー”の中でも、ずば抜けて特別な存在である「E60 AMG」。独シュトゥットガルトのメルセデス・ベンツ・ミュージアムで、2026年4月12日まで展示される予定だ。

文=関 耕一郎

(ENGINE Webオリジナル)

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