2026.01.20

CARS

価格に見合う価値はあるか? BYDの新たなPHEV「シーライオン6」の驚くべきコストパフォーマンスに迫る

BYDが新たに日本に導入するPHEV「シーライオン6」に試乗。

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秀逸なエンジン

シーライオン6は先に発売されたBEV専用モデルのシーライオン7と同じ車名を冠するものの、両車はまったくの別モノ。6は2020年に中国でデビューした宋(ソン)プラスと呼ばれるモデルの最新版で、輸出先によってシーライオン6といった別の名称が与えられている。

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7やシール似のフロントマスクが与えられた外観は、ドイツのプレミアム系ブランドに勝るとも劣らぬ鋭いエッジのキャラクターラインを有するなど安普請な仕上げは一切ない。さらにその感を強くするのが内装。大型のサンルーフや電動調整だけでなくヒーターとベンチレーションも備えた人工皮革のスポーツシートといった装備だけでなく、表皮の素材も良いものを奢っていて、高級車もタジタジの高い質感を有している。

今回試乗したのは、先に納車が開始されるFFモデル。パワートレインは43.04%という世界トップレベルの熱効率を持つ98psの1.5リッター直4に198ps/300Nmの駆動用と充電用の2つのモーターを組み合わせる。変速機はなし。

エンジンは遅閉じ制御を用いたアトキンソン・サイクルを採用し、高効率化を図っている。高出力モデルの4WDは131ps/220Nmの1.5リッター直4ターボを搭載。自然吸気、ターボともにエンジンは日本向けにレギュラー仕様に変更している。

電池に余裕があるときはモーター主体で走り、70~120km/hの高速走行ではエンジンでも駆動する。この仕組みはホンダの2モーターHVに近い。電池はEVと同じブレードバッテリーをPHEV用に変更したもので、容量は18.3kWh。電池のみで航続距離はライバルの日本車とほぼ同レベルの100kmとなっている。

モーター主体の走りは当たり前だがEVのように滑らか。アクセレレーターの操作に対するトルクの出方がしっかりと制御されていて、ピーキーな特性は見られない。さらに特筆すべきはエンジンで、音と振動が小さい。駆動用モーターで走りつつ、充電用モーターで電気をつくるというシリーズHVとして機能しているときに起こりがちな、速度の上昇とエンジン回転の高まりがリンクしないという違和感が少ないのだ。

鋭いエッジのキャラクターラインがデザイン上のアクセントとなっている。

最新のPHEVらしい秀逸な振る舞いを見せるパワートレインに対して、ちょっと残念なのがシャシー。車体を上下に揺らしながら路面からの入力を上手にいなす乗り味はシトロエンみたいでなかなかいいのだが、ステアリングの入力に対するクルマの動きが緩慢。マレーシア・ブランドの中国生産タイヤの特性が良くないのか、荷重がしっかりと掛かっていないとクルマの反応が鈍い。

また、細かい路面からの入力がけっこう抑えきれていないなど、中国でのデビューからすでにフルモデルチェンジしてもいいくらいの年月が経っていることもあってか、全体的にひと世代前の印象がぬぐえなかったのだ。

クルマへの最終評価はタイヤを交換することでシャシーの印象が改善するかどうかで大きく変わってくるだろう。タイヤを交換したとしてもおつりが来るほど安いわけだし。

文=新井一樹(ENGINE編集部) 写真=茂呂幸正

■BYDシーライオン6
駆動方式 フロント横置きエンジン+2モーター前輪駆動
全長×全幅×全高 4775×1890×1670mm
ホイールベース 2765mm
トレッド(前/後) 1630/1630mm
車両重量(車検証記載重量) 1940kg(1110/830kg)
エンジン形式(モーター) 直列4気筒DOHC(交流同期式)
総排気量 1498cc
最高出力(駆動用モーター) 98ps/6000rpm(198ps)
最大トルク(駆動用モーター) 120Nm/400-4500rpm(300Nm)
トランスミッション 1段固定
バッテリー(容量) リン酸鉄リチウムイオン(18.3kWh)
サスペンション(前/後) ストラット/マルチリンク
ブレーキ(前/後) 通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ(前後) 235/50R19 99V
車両本体価格 398万2000円

(ENGINE2026年2・3月号)
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