2025.12.29

CARS

サイクル・フェンダーがカッコイイ! ルノー流レコード・ブレーカーは100年前も今も過激だ!【一充電で1000km走破!】限界に挑んだ「フィラント・ルコール2025」

どうせデンキ自動車に乗るなら、これくらいぶっ飛んでいたほうが楽しいかも!

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レトロモービル2025で発表された実験車、「ルノー・フィラント・ルコール2025」が、BEVの電費記録を樹立した。一充電で1008kmを、10時間以内に走り切ったという驚異的なものだ。

アタッカーはあのルノー・スポール開発でお馴染みのひと


「ルノー・フィラント・ルコール2025」に搭載されるバッテリーは「セニックEテック・エレクトリック」と同サイズの87kWhながら、車両重量はわずか1000kg。それを達成するために、さまざまな先進技術が投入された。



車体をはじめとするコンポーネントにはカーボンやアルミ、アルミ合金を3Dプリント成型したスカルマロイといった軽量素材を使用。部材の形状も、適切にマテリアルを割り当てられるよう最適化した。また、バイワイヤ作動としたステアリング・ホイールやブレーキも、重量削減に貢献している。



まるで航空機を思わせるエクステリアは、過去のルノーの記録挑戦車も想起させる。



シルエットは1926年に24時間の平均速度173.649km/hをマークした「40CV」に似ている。



かつてルノーが1956年にボンネビルで308.85km/hを叩き出した「エトワール・フィラント(流星)」も徹底して空力に特化したスタイリングだった。



 「ルノー・フィラント・ルコール2025」も空力性能の高さを予感させたが、発表時の車両を風洞にかけたところ、Cd値は0.40止まり。0.30程度を目指していただけに、改善の余地が多数ありで、設計を変更。

車体の中央セクションはほぼそのままだが、四輪を覆うカウルはボディから独立した、サイクル・フェンダー的なスタイルとなった。専用開発のミシュラン・タイヤも、転がり抵抗軽減とともに空力向上に寄与しているという。



そして、改良された「ルノー・フィラント・ルコール2025」は2025念12月18日、モロッコのUTACテスト・トラックへ持ち込まれた。10月にフランスで実施されるはずだったテストは悪天候でキャンセルされ、舞台を変えての仕切り直しとなったのである。

無風のドライコンディションで、気温は4度から、午後の早いうちには13度まで上昇した。4kmのコースを、10時間で239ラップする予定でテストは始まった。



ドライバーは3人。何度も来日し、メディアにも登場しており有名な開発ドライバーのロラン・ウルゴンがまずドライブし、続いてシャシー制御システムエンジニアのコンスタンス・レロ-レイゼル、シャシー・チューニング・エンジニアのアルテュール・フェリエールが走らせた。



日の出とほぼ同時の朝8時にスタートし、日没までの9時間52分、ドライバー交代に要した7分を除いて走り続けた距離は、1008kmに達した。

平均速度は102km/h、電費は7.8kWh/100kmで、テスト終了時のバッテリー残量は11%。電池切れまで走り続ければ、100km/h以上であと120km程度は追加できたはずだ。

このクルマはあくまでも実験用のスペシャル・メイドだが、エネルギー効率向上策やバイワイヤ制御などの技術は、市販車への応用が見込まれている。



欧州主導の電気自動車シフトは減速を余儀なくされたが、基礎技術の蓄積は必ずや生きることだろう。

文=関 耕一郎

(ENGINE Webオリジナル)
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