2026.02.13

LIFESTYLE

伝説のスターアーティストの作品が集結 国立新美術館で開幕する『テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート』が必見の理由

「テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた 90s 英国アート」は2026年2月11日(水・祝)~5月11日(月)まで国立新美術館(東京都港区六本木7-22-2)で開催 トレイシー・エミン《モニュメント・バレー(壮大なスケール)》1995-97年、テート美術館蔵 Photo: Tate (C) Tracey Emin

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既存の枠組みを超えた革新的な作品で、世界的な注目を集めた90年代イギリスの若きアーティストたち。その軌跡をたどる展覧会が2026年2月に始まる。

人生の大半をフランスかぶれとして過ごしてきた自分だが、ある時期、正確には1990年代の10年間はイギリスにも相当かぶれていた。ジョン・ガリアーノやアレキサンダー・マックイーンなどイギリス出身のデザイナーの活躍に心ときめいていたし、「Mr.ビーン」や「テレタビーズ」など英国発のテレビ番組にも夢中だった。

ザ・ストーン・ローゼズやハッピー・マンデーズなどお気に入りバンドの出身地でマンチェスターを、坊主姿のユアン・マクレガーがとにかくかっこいい映画『トレインスポッティング』の舞台としてエディンバラを知り、イギリスの地理にも詳しくなれた。当時のイギリスはどこもかしこも刺激的で、キラキラしていた。

ダミアン・ハースト《後天的な回避不能》1991年、テート美術館蔵 Photographed by Prudence Cuming Associates (C) Damien Hirst and Science Ltd. All rights reserved, DACS/Artimage 2025

そんな文化が花開くイギリスは、もちろんアートシーンも尖っていた。従来の価値観とは異なる視点を持ち、ときにはショッキングな作品で注目を集めた若手アーティストたちを、批評家は「ヤング・ブリティッシュ・アーティスト」、略して「YBA」と名付けた。オフィス空間を思わせる密閉された空間のなかに、吸殻や灰皿を置くことで、避けられない死について問いかける《後天的な回避不能》を制作したのはYBAを代表する、いまや大御所のダミアン・ハースト。ほかにも当時の恋人との旅行時の写真を作品にした《モニュメント・バレー(壮大なスケール)》を制作したトレイシー・エミンもYBAの一人として知られる。彼らの刺激的な作品は、常に議論の的となっていたのだ。

ジュリアン・オピー《ゲイリー、ポップスター》1998-99年、テート美術館蔵 (C) Julian Opie

まもなく国立新美術館で開幕する『テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた90s英国アート』は、YBAだけでなく、同時代のアーティスト約60組の約100点の作品で構成される大規模な展覧会だ。

ブラーのアルバムジャケットを手掛けたジュリアン・オピーや、イギリス人以外で初めて、そして写真を表現手段とするアーティストとしては初めてターナー賞を受賞したヴォルフガング・ティルマンス、黒人女性アーティストのルベイナ・ヒミドもこの時代のイギリスを象徴するアーティストたち。さまざまな視点から90年代英国アートを振り返る試みは、当時のイギリスを知る人には懐かしく、知らない人にはとてつもなく刺激的に感じるはずだ。この展覧会を見たら、久々にイギリスにかぶれてしまいそう、そんな予感でいまからワクワクしている。

「テート美術館 ― YBA & BEYOND 世界を変えた 90s 英国アート」は2026年2月11日(水・祝)~5月11日(月)まで国立新美術館(東京都港区六本木7-22-2)で開催 ハローダイヤル Tel.050-5541-8600
※2026年6月3日(水)~9月6日(日)に京都市京セラ美術館でも開催

文=浦島茂世(美術ライター)

(ENGINE2026年2・3月号)

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