旧車と絶版車が集う日本最大級のクラシックカー・イベントとして知られる“ノスタルジック2デイズ”は、国産旧車を中心として、スペシャル・ショップ、パーツ・メーカー、レストアシ・ョップなどがパシフィコ横浜に集結。その会場のいちばん奥でブースを展開していたのが、トヨタ・ガズー・レーシングの“GRヘリテージ・パーツ・プロジェクト”だ。
ハチロクのシリンダー・ブロック&ヘッド、スープラのインパネに続くのは何だ?
“ノスタルジック2デイズ”はクラシック・モーターショーというサブ・ネームもあり、筆者の中では長きにわたってキャブレター時代のクルマが主役の催しだと思ってきた。

ところが2026年2月21日〜22日までの会期で開催された今回は、これまでとは少し様相が違った。というのも、ハチロクを展示しているブースがとても多かったのだ。
筆者は1971年生まれで、1974年型のキャブレター仕様のアルファ・ロメオを足グルマにしているので、ハチロクはまだ比較的新しいクルマだと認識していた。しかし、いまやクラシック・カー文化の素晴らしさを伝える“ノスタルジック2デイズ”においては主役になりつつあり、実際にトヨタ・ガズー・レーシングのブースでも、ピカピカにフルレストアされたAE86型「スプリンター・トレノ」が展示されていた。

“AE86”という車両型式から“ハチロク”の名で広く知られている「トヨタ・カローラ・レビン」および「スプリンター・トレノ」。約40年前の1983〜1987年に生産されていた、軽量かつシンプルな装備の後輪駆動車で、チューニングしやすいという素性のよさや、しげの秀一氏による大ヒット漫画『頭文字』の影響もあり、近年もさらに数多くのファンを獲得。

こうした熱心なハチロク・オーナーが実践するフルレストアや、長期維持を支えている要素のひとつがリプロダクション・パーツで、トヨタ・ガズー・レーシングも“GRヘリテージ・パーツ・プロジェクト”を展開。ハチロク用の復刻部品を提供している。
ウレシイことに、さまざまなパーツが純正品として再販されており、オンラインで購入することもできる。

“ノスタルジック2デイズ2026”におけるトヨタ・ガズー・レーシングのブースは、まさにGRヘリテージ・パーツ・プロジェクトの内容を伝える出展になっており、ハチロクをはじめとする旧車の復刻カタログなども販売されていた。

実車展示の目玉は、各種GRヘリテージ・パーツと、来たる2026年5月に発売される予定のAE86用4A-GEエンジンのシリンダー・ヘッド/シリンダー・ブロックを駆使し、GR Garage 水戸けやき台の匠の技でフルレストアされたAE86型スプリンター・トレノで、日本のファンはもちろん、海外からの来場者も注目。来場者と説明員の間では英語が飛び交っていた。
長く、よりよい状態のハチロクにこれからも乗り続けてほしいという想いでトヨタ・ガズー・レーシングが復刻したこのシリンダー・ヘッドとシリンダー・ブロックは、往時の基本的な設計やスペックはそのままに、最新のシミュレーション技術や工法、材料を取り入れて現代化したものだ。

シリンダー・ヘッドは、燃焼室への切削加工の追加、吸気ポートの塗型処理、カム・キャップのノック・ピンを全カ所に追加。復刻するにあたり、AE86型用オリジナル、AE92型後期用、AE101型用5バルブという3つの選択肢があったが、AE92型後期用をベースとし、さまざまなイベント会場でヒアリングしたユーザーからの要望をもとに、吸排気ポートの一部肉厚化を実践している。
シリンダー・ブロックは、材料の鋳鉄を当時と比べてより高剛性のものとし、シリンダー内壁を現代のホーニング加工で処理。クランク・キャップの構造も変更している。そして、AE86型の後継モデルであるAE92型のようなFF車にも搭載できるよう、横置き設置用のボスとリブも追加している。

ブース内にはA80型「スープラ」も展示されていたが、このプロジェクト史上最大サイズとなるインストゥルメント・パネル本体(右ハンドル用)の再販企画が現在進行中とのことで、公式サイトを確認したところ、2026年発売予定品目の中に含まれていた。
トヨタだからこそ展開できる“GRヘリテージ・パーツ・プロジェクト”は、これからも熱きオーナーたちの期待に応え続けてくれるだろう。
文と写真=高桑秀典
(ENGINE Webオリジナル)