2002年の3月2日にはじまった、日本におけるBMW傘下の新たな「ミニ」の歴史。クラシックなイシゴニスの時代とは異なり、完全に新たなブランドを立ち上げるということで、全国のディーラーを赤と黄色の2台の「ミニ」が駆け回るキャラバンが行われたことを憶えているひともいるだろうか? あれからおよそ24年。2026年もこの記念すべき32(みに)の日に向けて、新たな1台が上陸した。
ミュンヘンでお披露目された実物そのものが来日!
東京スカイツリーを望む、 東武スカイツリーライン高架下の複合商業施設、東京ミズマチでお披露目されたのは、これまでの「ミニ」のイメージをいい意味で覆す、ワイルドかつ斬新な姿とカラーリングが施されていた。

これは オーストラリアのライフスタイル・ブランド「Deus Ex Machina(デウス・エクス・マキナ)」とのコラボレーションによって産まれたコンセプト・モデルだ。2025年に独ミュンヘンで行われたI.A.A.モビリティ・ショーで披露された実車そのもので、2月28日、3月1日の2日間限定で、東京ミズマチ内のデウス・エクス・マキナ浅草前にて展示される。

ミュンヘンで公開されたミニ&デウス・エクス・マキナのコラボ・モデルは実は2台あり、いずれも3ドアの「ジョン・クーパー・ワークス」をベースにしていたが、1台は内燃エンジン版の赤と白のラリー・カー風。もう1台はBEVのストリート・レーサー風で、今回上陸したのは後者。その名は「The Skeg(ザ・スケッグ)」という。

「ザ・スケッグ」はひとことでいえば異質でヤンチャだ。「ミニ」とファッション・ブランドとのコラボといえば、同じく2025年のジャパン・モビリティ・ショーで世界初公開された、クールでシックな「ポール・スミス・エディション」がすぐ頭に浮かぶが、なんとも対象的。こちらはいわゆるストリート風というか、よりくだけていて、はじけたイメージがある。

今回のコンセプト・モデルの具体的な要素を見ていくと、まずフロント・グリルは閉じられBEVであることをアピールしつつも、下部に丸い7つの軽量化のための穴が空いている。アルミをイメージさせるボンネットや前後フェンダーと、各部のマット・ブラックの仕上げはモーターサイクル的な雰囲気だ。

サーフ・ボードの素材をイメージさせる半透明のルーフや超ワイドな前後のオーバー・フェンダーも装着されている。

車体は左右ドアのカラーリングが異なり、運転席側はイエローとブラックのストライプとしデンキ仕掛けであることを主張。いっぽう助手席側はゼッケン・サークルを配置しており、いわゆるカフェ・レーサー的だ。


インテリアに目を向ければ、軽量なバケット・シート内側の身体が触れる部分にウエット・スーツ素材を用いていたり、サーフィンを楽しんだ後、スーツを乾燥させることのできるラックなどがあったり、発想がとにかくユニーク。
ハンドメイドのカスタマイズ・モーターサイクル、サーフィンなど様々なカルチャーを取り入れたライフスタイル・ブランドである「デウス・エクス・マキナ」らしさが、今回来日したBEV版の「ザ・スケッグ」は、未上陸の内燃エンジン版よりも、より強く感じられるものになっているようだ。
そういえば前述の「ポール・スミス・エディション」も、当初クラシック・ミニをベースにしたコンセプトは定番のストライプでド派手に着飾っていた。その後、ブルーをイメージとした比較的シンプルな仕立てになって、台数限定で市販され、それが先日の世界初公開へと繋がった、という経緯がある。「ザ・スケッグ」も、ここまでのヤンチャさはさすがに薄れるかもしれないけれど、コンセプトのイメージをうまく受け継いで「デウス・エクス・マキナ」とコラボレートした市販モデルへと、繋がる可能性は高そうだ。

20年前に「デウス・エクス・マキナ」を立ち上げた設立メンバーのひとりであり、今回「ザ・スケッグ」とともに来日したグローバル・クリエイティブ・ディレクターのカービー・タックウェル氏は「ミニ」とのコラボレーションの企画がスタートした頃にその理由を尋ねられ、こう答えたと笑みを浮かべた。
「やってみたくないわけがないですよ。私たちがいわばデザイン・アイコンであるミニを再発明できるとしたら、そんな素晴らしいことはないです」
いっぽう新たに日本における「ミニ」の本部長となった向井健二氏も、このコラボレーションのように「多様化するライフスタイルのエッセンスをさらに加えていくことで、ミニ・ブランドはオンリーワンの存在として輝いていきます」と語った。

なお、東京ミズマチ内のデウス・エクス・マキナ浅草前では、2月28日、3月1日の「ザ・スケッグ」展示期間中、ここでしか手に入らないTシャツなども販売するという。コンセプト・カーがモーターショーなどの会場以外で姿を現すことはほどんどない。「ミニ」の誕生日を祝うこの新たなコラボレーション、見逃さない方がよさそうだ。
文と写真=上田純一郎(本誌) 写真=ミニ
(ENGINE Webオリジナル)