ノスタルジック2デイズ2026の会場を歩いているときに、ふと目に入ったのがこの1980年代に活躍したレーシング・カー“トミカ・スカイライン・ターボ”をほうふつとさせるR30「スカイライン」だ。
イメージは火を吹いて走るあのレーシング・マシン!
2026年の東京オートサロンにも展示したとのことだったが、オートサロンでは担当エリア違いで見られなかっただけに、グッと胸に刺さったので取材してしまった1台である。

このモデルのベースとなっているのは6代目「日産スカイライン」のR30型。皆さんご存知のR32「スカイラインGT-R」の2世代前のモデル。ハコスカ→ケンメリ→ジャパン→ニューマン(R30)→セブンス→R32という流れである。ぎりぎりケンメリまでは日産の市販車にはDOHCのスポーツ・エンジンであるS20型が存在したが、ジャパンでは消滅。代わりといってはなんだがターボ・エンジンが登場した。しかしターボはあとからチューニングで取り付けることが可能ということもあり、日産ファンはDOHCエンジンに飢えていた。

1981年8月、ジャパンがフルモデルチェンジしニューマンが登場。発表からわずか2カ月後となる10月にFJ20EというDOHCエンジンを搭載したRSというグレードを設定。83年2月にはFJ20にターボチャージャーを追加したFJ20ETが搭載される。さらに84年2月にはターボ・エンジンにインタークーラーを追加。同年8月には制御系EGIからECCSに変更しドライバビリティを向上した仕様が登場している。

日産は1972年に「スカイラインGT-R」でのレース参戦を最後に「スカイライン」によるレース活動は中止していたが、1982年にこのDR30型「スカイライン(ドライバーは長谷見昌弘)」を使ってのスーパーシルエットというレースに復帰することになる。DR30型「スカイライン」を使って、と書いたが、スーパーシルエットはパイプ・フレームを使ったマシンで中身は完全に別物。エンジンもFJではなくLZ20Bという別モノであった。唯一「スカイライン」から受け継いでいるのはその名の通り“シルエット”だけだ。

スーパーシルエットには同じ日産車として星野一義がドライブするシルビアや柳田春人がドライブするブルーバードが参戦。長谷見のスカイラインと合わせて日産ターボ軍団と呼ばれた。さらにBMW M1やサバンナRX-7、セリカなども参戦していたがもっとも人気が高く、そして記憶に残っているマシンが「スカイライン」だろう。

さて、展示車に話を戻そう。この「スカイライン」は日産愛知自動車学校大学校の生徒が作ったモデルだ。クルマの説明は同校カーボディマスター科の生徒である伊藤大空さんがしてくれた。
「いくつかのベース車の候補があったのですが、そのなかでこのクルマをベースにしようと決まったときに、このクルマならやっぱりスーパーシルエットでしょってことになったのです。ベース車は4ドアだったのですが、学生のなかでリーダーを務めた人がかなり強く『スーパーシルエットをやりたい』とプレゼンして決まりました。製作期間は2カ月半くらいで結構早く仕上げました」

「一番苦労したのは、ボディのフェンダーを出した部分で、なかなか左右でそろった面を出せなかったことです。ボディで変更されている部分はすべてFRPで作っているので、合わない部分は作り直しになりました。ナンバーが取得できる仕様なのですが、書類がないのでナンバーが取れないんです」
では、これで完成形なのか? それとももっとやりたいことがあるのか?
「これで完成形です。内装はノーマルで、そこに手を付ける予定はありません」

「エンジンなども特にこれ以上のことをする予定はありません」

「ただ、私が個人的にやり残したと感じるのは、ボンネット内側の処理なんです。こうしていろいろ見てもらうときにボンネットを開けると、裏側が美しくないので、そこがちょっと不満です」

よくよく考えてみれば彼らはカーボディマスター科で、インテリアやメカニズムは専門外。すでにマイスターとして極める方向が定まっているのかもしれない。
文と写真=諸星陽一
(ENGINE Webオリジナル)