2026.04.27

CARS

【ニューモデル発表】これが「S」系譜の最新版 アストンマーティンの高性能モデルに新たな歴史が加わる

1953年に登場したDB3 S以来、アストンマーティンには数々の「S」が存在した。近年ではV12ヴァンテージSやラピードSが記憶に新しいが、ここに新たなモデルも加わった。

荒れた路面で良く走れるクルマ

「2024年後半にCEOに就任したエイドリアン・ホールマークは“パフォーマンス志向のブランドへ進化させる”という明確なビジョンを持っていた」。

本国から来日したプロダクト責任者のニール・ヒューズ氏。アストンマーティンに在籍してもうすぐ11年になる。

そう話すのはプロダクト責任者のニール・ヒューズ氏。その展望を2025年から順次かたちにしたのがヴァンテージS、DBX S、DB12 Sだ。今回、その中からヴァンテージSとDBX Sのジャパンプレミアおよび商品説明が行われた。

ヴァンテージSは、新設計のリアリップスポイラーやボンネットのエアダクト、手作業で仕上げられる赤いピンストライプが、控えめながら意志の強いスポーツカーらしい表情を手にした。

ヴァンテージSのハイライトは、F1セーフティカーやGT3/GT4レースカーからの知見を取り入れつつ、公道で使えるレベルに仕上げている点だ。エンジンやトランスミッションなどのキャリブレーションを見直したことで、出力は665psから680psへ向上。シャシーも改良され、大きなボディモーションや路面入力への対応力を高めながら、コントロール性を重視したセッティングが施されたという。



「英国で開発していますが、この国の道路はとても荒れています。つまり、荒れた路面で良く走れるクルマは、どこでも良く走れるということです」と、職人気質漂うヒューズ氏からのシニカルなジョークに会場は和やかな空気に包まれた。

「S」は見た目やデザインにも特徴がある。アンダースポイラーやサイドスカートの赤いピンストライプは、塗り分けの境目に段差が見られないほど美しく仕上げられている。インテリアは、レザーとアルカンターラを組み合わせたシートや、S専用のトリムパターンを採用した。

一方のDBX Sは、DBX707とは異なるハニカムグリルや新しいフロントスプリッター、23インチのマグネシウムホイールなどで存在感を強調。Sシリーズらしい精悍なキャラクターをそれぞれのボディで表現している。

一方のDBX Sは、DBX707のさらに上位に位置づけられ、727psの最高出力を発揮。これにはなんと、ヴァルハラ用のターボチャージャーを採用することでより多くの空気を取り込み、高回転域で劇的にパワーが立ち上がる特性を実現したという。また、グリル形状の変更やDBXとしては初となるマグネシウムホイールの採用により、1輪あたり5kgの削減に成功。



プレゼンテーションの最後に、どのような顧客を想定したモデルかを尋ねると、「自分自身をより強く表現したい方に向けたクルマです。ですが、過度に自己主張しすぎることはなく、ドライビングへの関心が高いことを自然に示したい人たちのためのクルマだと思います」と、ヒューズ氏は答えてくれた。

つまり「S」とは、単なる高出力モデルではない。アストンマーティンらしい美意識を保ちながら、ドライビングの純度を高めた一台ということだ。派手さではなく、静かな自信で速さを語る。それがアストンマーティンの流儀なのである。

文=佐藤玄(ENGINE編集部) 写真=アストンマーティン

(ENGINE2026年5月号)

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