2026.05.31

LIFESTYLE

セナ、プロスト、中嶋悟――あの時代の“目”が語るもの F1写真家・間瀬明の写真展、京都で開催中 

アイルトン・セナの目。本展ではドライバーの目を写した作品約28点を展示。

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1960年代からモータースポーツの写真を撮り続けてきた写真家、間瀬明氏。そのユニークな写真集をもとにした写真展が5月下旬より開催される。

よみがえるF1黄金時代

1987年から90年代前半にかけて日本で社会現象を巻き起こしたF1。当時、マクラーレン・ホンダのチームメイトだったアイルトン・セナとアラン・プロストの対決に胸を熱くしたエンジンの読者は多いことだろう。だが、そんなブームが起きる20年以上前から欧州に拠点を移し、F1をはじめとするモータースポーツをファインダーに収め続けた人物がいる。写真家の間瀬明さんだ。“F1の伝道師”とも呼ばれた間瀬さんは、惜しくも2022年に88歳で亡くなったが、その写真展が5月27日から6月7日まで、京都文化博物館で開催される。

サーキットの情景や走行シーンを捉えた約27点の作品もあわせて展示する。

 レース会場の空気感を捉えることにも定評があった間瀬氏。多くのレジェンドとも交流があった。

もともとフリーのカメラマンとしてエディトリアルやコマーシャルの撮影を行っていた間瀬さんが渡米したのは1962年。やがてモータースポーツの撮影を本格的に行うようになり、1972年にスイスに移住して、その地位を築き上げた。F1界の重鎮とも親しく、1976年に富士スピードウェイでF1を初開催する際には招致に尽力。また、HONDAの創業者である本田宗一郎氏が最も信頼を寄せた写真家としても知られている。

その生涯で70万点以上の作品を撮ったという間瀬さんだが、今回の写真展は、1989年に発表した『The EYES』という写真集の収録作品を中心に構成されている。この写真集の内容はかなり野心的で、ほぼすべての作品が、レーシングドライバーの目のあたりをアップで、それもモノクロで捉えているのである。ドライバーの多くがヘルメットを被ったままバイザーを上げていることから、マシンに乗って走り出す直前に撮影されたものなのだろう。



だがさらに凄いのは、被写体の顔ぶれだ。先のセナやプロストをはじめ、ネルソン・ピケやナイジェル・マンセル、ゲルハルト・ベルガー、ジャン・アレジ、中嶋悟といった、当時のF1人気を形づくったスター・ドライバーたちが次々に登場する。そんな彼らの目が語るのは、決意や覚悟であり、孤独や不安である。実際のレースを見せずに、ここまでの緊迫感を写し出す写真家の力量に、改めて驚かされる。

もちろん今の時代、こんな写真を撮り続けることのできるカメラマンはそういない。それはモータースポーツの世界に早くから飛び込み、ドライバーたちの信頼を勝ち得た、間瀬明という写真家だからこそ成し得たのだろう。

■『The EYES F1レースの伝道師 間瀬明の遺産「わたしは勝った夢をみた」写真展』は5月27日(水) ~6月7日(日)まで京都文化博物館 別館ホールで開催(京都市中京区高倉通り三条上る東片町623-1)6月3日(水)には片山右京氏をゲストに招いたトークイベントを開催

写真展のビジュアルを飾るのは、1994年のドイツGPで3位に入ったエリック・ベルナール。

文=永野正雄(ENGINE編集部)

(ENGINE2026年6月号)

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