今やマツダの代名詞となった「魂動デザイン」と「SKYACTIVテクノロジー」を初めて採用した市販車として、2012年に初代デビューを果たしたマツダの大人気SUV、CX-5。2017年のフルモデルチェンジから早9年、ついにナンバー付きで姿を現した3代目となる新型モデルにいち早く試乗する機会を得た。横浜の街から、そのファースト・インプレッションをお届けする。

試乗前のプレゼンテーションで、主査の山口浩一郎氏は新型の開発方針を“「日々の使い勝手」を向上させ「SUVの王道を極める」こと”だと力を込めた。今回の新型は、走り、内外装、機能などすべての面で「使い勝手」が主眼に置かれている。
例えば、ホイールベースは115mmも延びた。うち70mm分はリアドアに充てられ、後席の居住性が大幅にアップ。荷室はフロア高が18mm下がり、奥行きは45mm拡がるなど、特に子育て世代のファミリーには嬉しい利便性の向上が図られた。
ADASや駐車支援機能も充実化。詳細は割愛するが、運転に自信の無い、あるいは小柄なドライバーでも、都市部で安心して運転できそうな機能の数々が加わった。さらにマツダが力を入れたのは、グーグル製車載OSの初搭載。物理スイッチを大幅に減らし、音声認識を中心とした操作体系にしていきたいという。

パワートレインは、従来の2.5リッター直4自然吸気×6速ATに、マイルド・ハイブリッドを組み合わせて制御を見直した改良版の一種類のみ。グレードは、内外装の仕上げや先進装備の搭載内容によって異なる3段構成だが、実際には上の2つから選ばれることが多いだろう。駆動方式はいずれのグレードにもFFと4WDが用意されるが、今回充てがわれたのは、中間グレード(G)の4WDと上位(L)のFFだ。果たして新型はどんな進化を遂げたのか? まずはGの4WDに乗り込んだ。
キープ・コンセプトの外観とは対照的に、ひと目で「新世代」を感じるのは内装だ。

メーター・クラスターはフル液晶化され、物理スイッチ式のエアコンやオーディオの操作パネルが廃止される代わりに、ダッシュボード中央には大型の液晶ディスプレイが備わった。残された物理スイッチは使用頻度の高いハザード・ランプと前後のデフロスター、電子パーキング・ブレーキのみという大胆ぶりである。
左右のドア・トリムまで一直線に、帯状につながるアクセント・カラーは、英字に切り替わったホーン・パッドの「MAZDA」エンブレムも相まって水平基調を強く意識させるもの。全体的な室内の質感はクラス以上の仕上がりに見える一方で、天面のハードな樹脂パネルは価格帯相応な素材感で、従来型のソフトパッド仕上げには一歩譲るという印象を受けた。
王道を狙った操作感
横浜の街へ繰り出した。走り出してすぐに気がついたのは、操作系がどれも軽めなことだ。ステアリング・ホイールの操舵力のみならず、ブレーキやアクセレレーターに求められる踏力も、従来型、あるいは最近のマツダ車全般に抱く、重めでスポーティなイメージとは明らかに異なるのである。後から開発陣に聞けば、「人馬一体」な走りに必要なフィードバックを残せる最小限の重さに設定したとのことで、「SUVの王道」を目指すための意図的なものだとか。
新型CX-5は狭い住宅街の走行や駐車時の切り返しなどを含む、低〜中速街乗り領域での取り回しを重視したセッティングだと言えるだろう。車体は一回り大きくなったけれど、取り回し性は良好だ。低速時には、車体の腹下の路面状況も透過して表示する新たな360°全周囲モニターなども活用することで、これまで以上の安心感をもたらしてくれる。

走りは従来型ではやや硬めでスポーティな味付けだったが、新型は、ひとことで言えばゆったりとして落ち着いた乗り味だ。最近のマツダ車としては珍しく当たりの柔らかい足回りや、ロング・ホイールベース化による効果もあるのだろう。実際のサイズ以上に大きなクルマを運転している気分になる。
静粛性の高さもその印象に貢献している。市街地から高速まで一貫して、NVH(ノイズ/バイブレーション/ハーシュネス)の絶対値が低く抑えられているだけでなく、速度域や路面状況の違いによる入力の変化が穏やかなことも、新型ならではの魅力だと思った。