2026.05.26

CARS

「GT XX」ゆずりのスタイリングとなった新しい「メルセデスAMG GTクーペ」は最高出力1169馬力!

新しい「AMG GT」は、外観だけでスリー・ポインテッド・スターがいくつあるの?

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メルセデス・ベンツが「メルセデスAMG GT4ドア・クーペ」の新型を発表。完全な純電気自動車として、新たな歴史を歩み始めた。

以前の「AMG GT」のエンジン音も再現!?


スタイリングは、コンセプト・モデルの「GT XX」から発展したものであることを明確に物語る。フロント・エンドのパナメリカーナ・グリルや、リフトバック形状のフォルム、丸型の6連テールライトなど「GT XX」の特徴的な要素は、新型GT 4ドアにも受け継がれた。車体サイズは5094×1959×1411mm、ホイールベースは3040mmで、先代より40mm以上低い車高が目立つ。



いっぽう、ヘッドライトやフロント両端のダクトなどは、より洗練された形状に。また、前後とも、ライトにスリー・ポインテッド・スター型の発光部を設けるのは、最近のメルセデス各車に通じるギミックだ。



パワートレインも「GT XX」同様、メルセデス傘下のエンジニアリング企業である英国のYASAが開発した、アキシャル・フラックス・モーター(AFM)を採用した。ディスクモーターとも呼ばれるように、一般的な筒型モーターより軸方向の寸法を大幅に縮め、軽量化することが可能だが、出力/トルク密度も高いとされる。



フロントのAFMは厚み9cm、リアは2基でそれぞれ8cmという、3つのモーターを用いるレイアウトで、バッテリー残量80%でのローンチ・コントロール使用時には、上位グレードの「GT 63」の最高出力/最大トルクが1169ps/2000Nm、下位の「GT 55」でも816ps/1800Nmを発生する。継続的に使えるパワーは、それぞれ721ps/510psだ。0-100km/h加速は「GT 63」が2.1秒、「GT 55」が2.5秒、最高速度はどちらも300km/hに到達する。



最大で1万3000rpmを超えるリアのAFMは、メインとなる駆動モーター。コンパクトな1段プラネタリー・ギアボックスと組み合わせ、冷却オイル・ポンプや吸入フィルターを備えるポンプ制御ユニットも合わせてドライブユニットを構成。モーターごとに1基ずつ設置される水冷式のインバーターは、高い電流/電圧と高温に耐え、放熱性にも優れたSiCを用いる。

フロントAFMは最高回転数が1万5000rpm超で、パーキング・ロックを統合した歯車式トランスミッションを備え、リアと同様にポンプ制御ユニットやSiCインバーターとユニットを成す。こちらは、必要に応じて駆動するブースター・モーターで、未使用時にはエネルギー・ロスを減らすため、接続を断絶するディスコネクト・ユニットも装備する。

F1のテクノロジーを応用し自社開発したAMGハイパフォーマンス・バッテリーは、直径26mm/高さ105mmのセル2660個を18のモジュールに分け、新開発のレーザー溶接アルミハウジングに収納して、導電性や熱伝導性を高めた。各セルは、非導電性オイルがベースのクーラントで適温に保たれ、充電時間短縮や長寿命化も図られる。



セル自体は、巻き上げ工法のフルタブ構造。コアが両極全面に接することで内部抵抗が低減し、充電と放電の効率が向上するという。正極はニッケル・コバルト・マンガン・アルミ、負極はシリコン含有と、特別開発した素材によりエネルギー密度と寿命も改善している。

急速充電は600kWに対応し、10〜80%チャージは最速11分、10分では約460km走行分の電力を補充できる。満充電での航続距離は「GT 63」が596〜696km、「GT 55」が597〜700kmだ。また、インフラがプアなエリアでは、システムを800Vから400Vに切り替えて対応することもできる。



AMGアクティブ・ライド・コントロール・エア・サスペンションや、セミアクティブのロール制御、後輪操舵は標準装備。ブレーキはフロントにカーボン・セラミック、リアにスチールを用い、制動性能と重量配分を最適化している。

ヴェンチュリ効果を生むフロア下の可動エレメントや、リアのスポイラーとディフューザーといったアクティブ・エアロも充実。「SL」や2ドアの「GT」に用いるフロント・グリル内のエアロ・キネティクス・エア・パネルは、「GT 4ドア・クーペ」初導入のデバイスだ。



インテリアは、10.2インチのメーター・パネルと14インチのマルチメディア画面がシームレスに連なり、助手席前にも14インチのディスプレイを設置。ステアリング・ホイール上のボタン付きダイヤルでは、メルセデスAMG初のエコ・モードを含む7つの走行モードが選択できる。

センター・コンソールには、AMGレース・エンジニア・コントロール・ユニットと呼ばれる3つのダイヤルを、ドライバー側へ傾けて設置。スロットル操作に対するモーターのレスポンス、ハンドリング関連のアジリティ、そしてトラクションを個別にセッティングできる。

「AMG GT R」を再現したエンジン音など1600以上のサウンドを、リアルタイムでミキシングするシステムも搭載。走行状況にマッチした、しかしまさしくAMGらしい音環境を作り出す。





フロント・シートは新開発で、横方向のサポート性に優れた形状。オプションで、ヘッドレスト一体型のAMGパフォーマンス・シートも選択できる。リアは独立2座が標準仕様だが、3座ベンチも設定されている。

頭上を覆うのは、1ピースのガラス・ルーフ。外側は赤外線反射、内側は低放射のコーティングにより、車内の温度変化を低減し、快適性と省エネ性に寄与する。また、夜間にAMGのエンブレムとレーシーなストライプを投影する、イルミネーションを仕込むこともできる。





ラゲッジ・スペースは、フロントが41リットル、リアが415リットル。前後合わせて、先代同等の容量を確保した。

生産はメルセデス・ベンツの独南部にあるジンデルフィンゲン工場で、2026年の夏頃から始まる。



電気自動車否定派の心すら動かしそうなパフォーマンスを誇るが、日本ではようやく400kW級充電器が、この夏頃に運用開始される程度。インフラの整備が、車両の進化に追いつくことを期待するばかりだ。

文=関 耕一郎 写真=メルセデス・ベンツ 編集=上田純一郎

(ENGINE Webオリジナル)

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