「ロールス・ロイス・スペクター」が、改良を受けシリーズIIへ移行した。最高出力や航続距離を向上したほか、新たなマテリアルが多数導入されている。
より力強く、より豪華になったシリーズII
動力性能は、標準モデルの最高出力/最大トルクが601ps/1015Nm、さらに“ブラック・バッジ”になると最高出力が680psで、スピリテッド・モードでの最大トルクは1100Nmに達する。0-100km/hは、標準モデルが4.5秒、“ブラック・バッジ”が4.3秒と、いずれも2925kgもあるクルマとは思えない加速を見せる。

そのいっぽうで、112.4kWhに拡大したバッテリーは、標準モデルが582〜628km、“ブラック・バッジ”が578〜629kmと、航続距離を最大18%も延長。セルの再設計も行われ、充電時間は最大14%短縮したという。195kW急速充電では、28分で10〜80%をチャージ。22kWの交流普通充電であれば、0→100%は5時間半ほどで完了する。

エクステリアは、ソリッドの新色であるエセリアル・ブルーを追加した。ホイールは新デザインの鍛造23インチで、フル・ポリッシュと部分ポリッシュの2タイプを用意。手作業で、最大6時間をかけ仕上げられるという。

“ブラック・バッジ”は、アイスド・ブラック・エクステリア・ディテーリングと呼ばれる装飾を採用。ロールス・ロイスの象徴であるスピリット・オブ・エクスタシーをはじめ、ダブルRバッジの周囲やグリルのフレーム、ドア・ハンドルなど、通常はクロームを使う箇所がマット・ブラックで統一される。
7スポークの専用ホイールにも、アイスド・マット・ブラック仕様を設定。この仕上げのホイールは“ブラック・バッジ”では初採用だとか。黒く染まらない唯一の例外はグリルのベーンで、ロールス・ロイスのアイデンティティを保つのが狙いだ。

インテリアには、新たな素材を導入。たとえばデュアリティ・ツイルというレーヨン生地は、エンブレムのダブルRや、船舶用ロールの編み目などに着想を得た刺繍が施される。原料は竹で、これはヘンリー・ロイスが冬を過ごしたコート・ダジュールの竹林からの連想という側面もある。
カラーは、ライラック/チョコレート/ブラックに、グリーン系のセージを加えた。最大260万針の刺繍は、総延長16kmの糸を使い、最大25時間かけて完成する。刺繍糸は、50色以上から選択可能だ。
レザー部分には、0.8/1.0/1.2mmの穴を7万8138個も配したプレイスト・パーフォレーションを設定。月明かりに照らされた雲をイメージしたパターンで、イルミネーテッド・ドアを組み合わせると、幻想的なビジュアルを生む。

ウッド・パネルは、虎柄のストライプが目を引くブリンブルド・ウォルナットを導入。これは、焼却されるはずの胡桃の木と、製紙で発生するユーカリの残滓を圧縮し、ガラス粉末入りのラッカーを施した、サステナブルな素材だ。

8108個のピクセル状照明を埋め込んだイルミネーテッド・フェイシアは、ゆっくりと漂う霧を表現するように光が流れる。その横に並ぶアナログ時計は、精密な航空計器にインスパイアされたグラフィック。それを収めたケースには、無垢のステンレスから削り出し、下から光で照らされるスピリット・オブ・エクスタシーを据えた。


よりパワフルで、よりゴージャスに進化したスペクター。

それでも飽き足らないのであれば、これまでも紹介したようなビスポーク・オーダーで、予算の許す限りカスタマイズすることも可能だ。
文=関 耕一郎 写真=ロールス・ロイス 編集=上田純一郎
(ENGINE Webオリジナル)