デザイン、メカニズム、歴史と伝統、かかわった人々の想い……。腕時計はそれらを語り、時に誇るに値する魅力的な機械だ。みずからの手で触れて操作し、質感や動きを確かめるのは愉しい。見つめ、見つめられる特別な存在でもある。自動車もしかりで、だから私たちはトケイとクルマの両方をこよなく愛する。“ENGINE Magazine × Watch × Car”の世界観をお楽しみください。
今回はシャネルのJ12からマットカラーが印象的な2本を紹介する。美しいクルマは速い。そして美しい時計は、速いクルマを巧みに操縦する腕に似合う。
シャネル J12 キャリバー 12.1【写真右】

2000年から用いられてきたブラックとホワイトに並び、新たに「J12」を象徴する色として加わったブルーは、2025年の限定モデルでベールを脱いだカラー。約5年をかけて開発された「黒に近い青、あるいは青に近い黒」とされるこの唯一無二の高耐性マットブルーセラミックが最新作にも登場。
自動巻きムーブメントはケニッシ製キャリバー 12.1でCOSC認定クロノメーター。パワーリザーブ約70時間。ケース直径38mm、200m防水。142万4500円。
シャネル J12 GOLDEN BLACK キャリバー 12.1【写真左】
マット仕上げのブラックセラミックがベゼルやダイアルを彩るゴールドカラーと絶妙なコントラストを成し、アイコニックな「J12」に新たなイメージを創出する最新作。ムーブメントのキャリバー 12.1は、シャネルが資本参加するスイスのムーブメント会社のケニッシ製で、ローターにイエローゴールドプレート仕上げを施す特別仕様だ。
自動巻き、COSC認定クロノメーター。パワーリザーブ約70時間。ケース直径42mm、200m防水。数量限定。202万4000円。
伝説のF1マシンを思い出す|数藤 健
“Watches and Wonders Geneva”のシャネル・ブースで“J12 GOLDEN BLACK”と対面。すぐに想起したのが、1970~80年代のチーム・ロータスF1だ。ブラック×ゴールドのいわゆる“JPSカラー”をまとい、マリオ・アンドレッティ、エマーソン・フィッティパルディがワールドチャンピオンを獲得。若かりし頃のアイルトン・セナやナイジェル・マンセルも駆って名を上げたマシンだ。伝説の名車とゆかりはないが、美しく精悍なこのブラック・ウォッチに惹かれるクルマ好きモータースポーツ好きは多いだろう。一方のブルーのモデルに目を移すと、リジェやティレルのマシンを思い出す。どちらの時計もステアリングを握る腕に映え気分が揚がること請け合い!
ブルーは服装を選ばない|本間恵子
ブラックセラミックがツヤツヤに輝いていた「J12」が、マット仕上げになった。すると、それだけで色気のようなものがほんのりにじみ出るようになった。深いブルーの新作もシックなマット仕上げ。こういうのがシャネルのマジックなんだなあと思う。ストイックにまとめたように見えながら、地味にならずに知性や色気もしっかり醸し出すなんて、なかなかできることじゃない。特にブルーは、こだわりにこだわり抜いて開発に5年を要した色であるため、身に着けてみるとデニムにもスーツにもよく似合う。セラミックは焼成や色の発現などいろいろと難しいハイテクな素材なのだが、難易度の高いことをさらっとやってのけるシャネルは、やはりカッコいい。
文=ENGINE編集部 写真=奥山栄一 スタイリング=川田真梨子 撮影協力=Le Garage
問い合わせ=シャネル(カスタマー ケア センター) Tel. 0120-525-519
(ENGINE2026年8月号)