2026.10.01

LIFESTYLE

スピルバーグ最新作『ディスクロージャー・デイ』が思い起こさせる1977年の傑作SF

地方局の気象予報士をしているマーガレットを演じるのは『プラダを着た悪魔』のエミリー役でも知られるエミリー・ブラント。(C)Universal Studios. All Rights Reserved.

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今なお映画界の第一線を走り続けるスティーヴン・スピルバーグ。全米興行収入1位を記録した最新作は、1977年に製作されたスピルバーグの初期の傑作SFを彷彿とさせるものだった。

94歳の巨匠、ジョン・ウィリアムズも参加

1971年の『激突』で注目を集めて以来、半世紀以上におよぶ輝かしいキャリアを築き上げてきたスティーヴン・スピルバーグ。『ジョーズ』、『インディ・ジョーンズ』シリーズ、『E.T.』、『ジュラシック・パーク』、『シンドラーのリスト』など、彼の作品とともに人生を歩んできた映画ファンは世界中に多いことだろう。そんなスピルバーグの最新のヒット作が『ディスクロージャー・デイ』。実はこの作品、1977年につくられた『未知との遭遇』を彷彿とさせる内容なのだ。



カンザスシティのテレビ局で気象予報士として働くマーガレット。生放送中に突然、謎の言葉を話し始めた彼女は、自分に他人の思考や感情を読み取る力が備わっていることを知る。一方、サイバーセキュリティの専門家ダニエルは、政府が長年にわたり隠し続けてきた地球外生命体に関する機密情報を世界に公表しようとしていた。なにかに導かれるように出会ったふたりは、秘密組織に追われながら、人類の歴史を根本から覆す秘密を明らかにしようと奔走する。

先ほど『未知との遭遇』を彷彿とさせる……と書いたが、人類と地球外生命体のコンタクトを描いた作品であることだけが、その理由ではない。『未知との遭遇』の主人公たちのように、ごく普通の生活を送っていた赤の他人の男女が、ある異変をきっかけに出会い、不思議な力に導かれるように“真実”の核心へと近づいていく。そして彼らの前に立ちはだかるのは、巨大な力を持った謎の組織。そうした物語の組み立てやテンポはもちろん、光と闇を効果的に使った演出、さらには御年94歳となるジョン・ウィリアムズの音楽までもが、今や古典となったあの懐かしい作品をとことん思い起こさせるのである(今回、劇中に“YOU ARE NOT ALONE”という文言が登場するが、それも『未知との遭遇』の全米公開時の宣伝コピーに似ている)。



もちろん本作は『未知との遭遇』の続編ではないし、単体で見てもスリリングな娯楽作品として十分に楽しめる内容だ。また前の作品が、人類と地球外生命体の“コンタクト”に重きを置いた作品だったとすれば、本作はその“真実”を、いかに世界に知らせるか、という一歩進んだ物語として描かれている。そういった違いはもちろんあるものの、私のように子供の頃『未知との遭遇』に熱狂した世代にとっては、やはり懐かしさで胸がいっぱいになる作品でもあるのだ。

■『ディスクロージャー・デイ』 政府の機密情報を暴こうとするサイバーセキュリティの専門家、ダニエルに抜擢されたのはイギリス出身の演技派、ジョシュ・オコーナー。地球外生命体に関する情報を秘匿する謎の組織のリーダーを、『英国王のスピーチ』でアカデミー賞を受賞したコリン・ファースが演じている。本作の撮影監督、ヤヌス・カミンスキーがスピルバーグと組むのはこれが21作目。主人公の2人が絶体絶命の窮地に追い込まれる列車のアクション・シーンは、3週間にわたって準備とリハーサルを重ね、実写とVFXを融合した迫力ある映像を生み出した。また音楽を、映画の仕事から引退していたジョン・ウィリアムズが手掛けたのも大きな話題である。スピルバーグとの仕事は『未知との遭遇』を含めてこれが30作品目となる。145分。10月1日(木)全国公開 配給:東宝東和 (C)Universal Studios. All Rights Reserved.

文=永野正雄(ENGINE編集部)

(ENGINE2026年11月号)

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