ジャガーEペイスの最大の魅力は、そのボディ・ディメンションにあると思っている。全長4410mm、全幅1900mm、全高1650mm、ホイールベース2680mmだが、注目べきは全長と全幅。ライバルと目されるメルセデスGLAやボルボXC40と比べると、ひときわ全長が短く幅広い。そこでこの全幅:全長比を計算してみると0.43となり、実はコレ、ジャガーFタイプとまったく同じ値なのである。意図的にやっているのなら、スポーツカーとSUVのディメンションをこっそり似せるなんてニクい演出である。
だからといってFタイプのようなシビアなドライビングが求められるわけではなく、普段のアシとして十分な使い勝手や快適性を備えている。ハンドリングは初期の応答性が高いジャガーらしい味付け。でもよく考えてみたら、Eペイスはエンジンが横置きだった。縦置きレイアウトのような前後のロール・バランスが気持ちいい。そういえば、センター・コンソール周りの景色もまたFタイプにそっくりだった。やっぱり確信犯だ。

白いボディ色のドアを開けると鮮やかなバーガンディの本革内装が目に飛び込んできて、オオッと思う。こんな派手な組み合わせ、かつてのジャガーにはなかった。SUVモデルの導入を決断したジャガーはもはや英国趣味のご老人向けではない。ましてEペイスは若くてイキのいい都市生活者のためのベビー・ジャガーである。イヴォークと車台は共通ながら、ステアリングは重く、昔日のジャガー・サルーンの面影はない。
じつのところ筆者はかつてのジャガーのほうが好きなんである。けれど、世の中に合わせて変わっていかなければ未来はないこともまた自明であり、ゆえにジャガーは変わることを選んだ。頭では理解できる。20インチのピレリPゼロを履いたEペイスで西湘バイパスを走りながら、それにしたって乗り心地が硬すぎる……とつぶやく。早春の大磯の海がキラキラ輝いている。あ。かつてのジャガーだったら見えなかった新しい景色を私は見ている。SUVジャガーは見せてくれている。21世紀のジャガーは、過去ではなくて、いまを生きている。

〔読者コメント〕
●ジャガーは好きなブランドなので楽しみだったが、期待を裏切らない運動性能で好ましい。(栗原泰夫さん)
●加速性能も十二分ですが、特にスラロームでの身のこなしは流石ジャガー。SUVなのに安定感が非常に高い。(杉浦啓修さん)
●見た目はコンパクトなのにスタイリッシュでかっこよく、中は広くて乗り心地がよかった。(C.I.さん)
●まずルックスがかっこいい。SUVでないジャガーよりもかっこいいかもしれない。脚も素晴らしい。フルブレーキからでもまったくダイブせず、かつ固くもない。(小川憲一さん)
●乗り込んだ感じがFタイプ同様にスポーティ。都会には丁度よいサイズ感。(鈴琢磨さん)
●目線が高い以外はスポーツカー。(佐賀 勉さん)
●SUVとは思えないコーナリング性能。安定感がすばらしい。(K.O.さん)
●ハンドリングが機敏でSUVなのにキビキビ曲がる。(H.W.さん)
Fペイスの弟分であり、ジャガーとしてはXタイプ以来久々となる前輪駆動ベースの4WDモデル。レンジローバー・イヴォークなどとメカニズムを共有する。フロント・マスクやセンター・コンソールのデザインはスポーツカーのFタイプ譲り。試乗車は3種用意されるガソリン仕様の中で最もパワーのあるRダイナミックHSE。フロントに横置きされる2リッター直4ターボ・ユニットは最高出力300ps/5500rpm、最大トルク40.8kgm/1500-2000rpmを発揮。9段ATを介して4輪を駆動する。全長×全幅×全高=4410×1900×1650mm。ホイールベース=2680mm。車両重量=1930kg。車両価格=749万円。
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写真=柏田芳敬(メイン)/神村 聖(サブ)
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