外国人旅行者の溢れる箱根のリゾートホテルのエントランスに、ボルボV60クロスカントリー(以下CC)が滑り込んで来た。元になったV60もスタイリッシュで美しく、こういった場所によく似合う。けれどワイルドで、ヘビーデューティな味わいのV60CCも悪くない。いや、むしろ似合っているかもな、と思い直した。普通のV60ならここが目的地で、たぶんのんびりして旅は終わる。でもV60CCならここを起点にさらに道なき道を走り抜け、心強い相棒として、まだ見ぬ世界に連れて行ってくれそうだからだ。
V60CCは、V60をベースに前後サスペンションの部品の多くを兄貴分のV90CCから受け継ぎ、最低地上高を210㎜まで引き上げ、装いをよりアクティブなものとしたクロスオーバー・ヴィークルだ。これまでV60シリーズで4輪駆動を選ぶとなると、T8かT6のツイン・エンジンAWDの前後非連結式の4WDしか選べなかったが、V60CCならば2ℓガソリン・ターボとオンデマンド型の4WDの組み合わせがある。パワーユニットは同じ2ℓとはいえ、318ps+モーターか253ps+モーターに対して254psとまったく異なるから単純な比較はできないが、V60T8&T6ツイン・エンジンAWD比でV60CCは、270万円から100万円ほど求めやすい価格設定になっている。
まるで初夏のような陽気の箱根をV60CCで走り出してみると、とかくスポーティな印象の強かった記憶の中のV60とは、明らかに違っていた。ステアリング・フィールは軽やかでゆったりしているし、乗り心地は大陸的で穏やかなV90を思い起こさせるが、かといってV90ほどのあたりの柔らかさはない。目地段差が連続するようなところを走ると、ややバネ下の重量がかさむのか、バタつきを感じることもあった。とはいえV60CCは総じてV90とV60のちょうど中間の、まさに両者のいいとこ取りなクルマだと思った。Uターンするついでにちょっとだけ、と思って分け入った荒れた林道では、オフロード・モードを選んでいれば深い轍やスタックしそうな柔らかな土などものともせず、ぐいぐいとかき分けて走り続けてくれた。
翌日、箱根は季節外れの大雪に見舞われた。道が寸断され、あちこちで移動が大変だったと人づてに聞いた。でも、もし僕があのホテルでV60CCと長逗留していたら……?きっと嬉々としてスノー・ロードへと向かったに違いない。V60CCは、おそらくそういう時にこそ、真に頼れる存在であるからだ。
文=上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=山田真人
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