昨年4月に購入してから、はや1年と4カ月が経過し、ついに79号車に初の車検時期がやってきた。初年度登録から13年の間に9万2000kmの距離を走ってきた個体である。長期テスト車として日常走行はもちろん、サーキットでもいたって元気な走りを見せてはいるものの、それなりに経年劣化による問題箇所も出てくるに違いないと、戦々恐々、ポルシェ・センター小石川に持ち込んだ。で、結果はといえば、やっぱりいくつか問題が出てきた。
その深刻な話に入る前に、こちらから気になる点として見てもらったのが左ヘッドライト。実は数週間前から方向指示器が突如点灯しなくなったかと思ったら復帰したり、不整路を走るとライトがチカチカと点いたり消えたりする不具合が発生していた。これについては、すぐに原因が判明。ヘッドライト・ユニットがきちんとロックされておらず、ガタついた状態になっていたのだ。ロックして解決。むろん無料。
それでホッとしたのも束の間、検査の結果、ほかにいろいろとお金がかかる問題が浮上したのである。まずはエンジン関係。イグニッションコイルのひとつにクラックが見つかった。となると、これはプラグも含めて6気筒すべて交換する必要がある。
通常、約6万kmで交換するそうだから、やむを得ないところか。プラグが1本4500円、コイルがひとつ1万2000円。すべて6つずつ必要になり、さらに工賃の1万2000円も加えると、これだけで11万円以上もかかることになった。
さらにもうひとつ車検必須項目で問題が見つかった。左右のフロント・シャフト・ブーツに亀裂が入り、中のグリースが漏れ出していたのだ。これは79号車が4WD車であるがゆえに発生した問題だと言っていい。すなわち、駆動輪と操舵輪が重なっているためにフロントのブーツにはリア以上に大きな負担がかかる。経年劣化は避けられず、数万kmごとの交換はやむを得ないところだ。
問題はこのパーツ代が馬鹿にならないことで、左右のドライブ・シャフトの内側と外側にブーツがついているわけだから、ブーツもグリースもパーツはすべて4つ必要になる。そのパーツ代だけで、ざっと8万5000円。さらに工賃の4万4000円を加えて13万円近くもかかることになってしまったのである。
そのほか、オイル交換(8.7リッター入っておりオイル代だけで2万7000円、フィルターなどのパーツ代と工賃を合わせると計約4万7000円)、ブレーキ・フルード交換(工賃込み約1万9000円)、エア・クリーナー交換(工賃込み約1万2000円)など、通常の点検項目は当然のことながらすべてやってもらった。こういうルーティーンな交換項目の費用だけでかなりの額になる。ざっと10万円くらいだろうか。
さらに細かな修理項目として、外れかかっていたリアのマッド・ガードの再取り付けに3000円、給油口のロックの修理に140円かかっているが、これは大した出費ではない。しかし、そもそもの基本料金としての車検整備費用一式が5万1840円、スチーム洗浄が1万2960円、機器による検査代金が1万6848円、車検代行料が1万5552円となっている。
その結果、重量税などの法定車検費用7万2630円を除いた車検整備費用はなんと45万7723円にもなったのである。果たして、ポルシェ911に乗るための出費としてこれが高いのか安いのか、判断は難しい。しかし、整備後の走りが見違えるほど良くなったので、まずは良しとするほかない。
■79号車/ポルシェ911カレラ4S(996型)
PORSCHE 911 CARRERA 4S
購入価格(新車時) 340万円(1244万2500円)
導入時期 2017年4月
走行距離(購入後) 9万2081km(9696km)
文=村上 政(ENGINE編集長) 写真=柏田 芳敬
(ENGINE 2018年11月号)
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