こんなことをいきなり書いたらメルセデスに怒られるかもしれないが、新型Bクラスは今のメルセデスのラインナップで見た目が一番地味なモデルだと思う。“AMGスタイリング・パッケージ”と呼ばれるスポーティなコスメが施されるオプションが装着されていればちょっと派手になりその感は薄れるのだが、今回借りたBクラスのように素のモデルだとかなり控え目。

短めの全長に高い車高を組み合わせたフォルムがずんぐりむっくりした感じに見えるからなのか理由は定かではないが、Bクラスと比べたら商用車から派生したミニバンのVクラスの方が華のあるデザインをしているように見える。
しかし良く考えてみたら、昔のメルセデスはどれもBクラスのように控えめなデザインが多かった。今でこそ前ページに出てくるGLEのように“映える”デザインが主流になっているが、編集部の長期リポート車であるW124型のEクラスをはじめ、その昔は機能をそのまま形にしたようなクルマが多い。そういう意味ではBクラスのスタイリングも同様で、ある意味、古き佳き昔のメルセデスの生き残りということができるかもしれない。そう思いながらBクラスをよく観察してみるといろいろと良く出来ていることに気付く。
全長と全幅はAクラスとほぼ同じにもかかわらず、Aクラスよりも14㎝ほど高い車高を活かし、室内は広々。広さはひとつ上のCクラスと同レベルで、頭上空間に余裕があり開放的なため、座ったときの快適さはCクラスを凌ぐと言っても過言ではない。
広いのは室内だけでなくラゲッジも同じ。5人乗車時の容量はAクラスの341ℓに対し、Bクラスは455ℓで100ℓ以上も大きい。Cクラス・ワゴンと比べても、たった35ℓ小さいだけなのだ。またシートが適度に高いため、乗り降りがしやすく、さらにアイポイントも上がるからボディの見切りもよく、より遠くまで見渡せるので運転もしやすい。といったように、Bクラスが機能的で高い利便性を持つ質実剛健なクルマであることがわかる。どうですか、とても魅力的に思えてきたでしょ?
Aクラスよりも車高が高く、また車両重量も80㎏ほど重くなるので、走りはあまり期待していなかったのだが、これがけっこうイケてる。スポーツ・モデルのように俊敏ではないが、速度を上げてコーナリングをすればそれなりにロールをするなど、ドライバーの入力に対する動きが素直で心地いい。
これって当たり前のような気がするけど、最近のクルマはなるべくクルマの動きを最小限にしようとするものが多く、素直に動かないクルマが少なくないのだ。乗り心地も、Aクラスはスポーティ・ハッチらしくちょっと硬めでパリッとしていたが、Bクラスは重くて重心が高くてクルマの挙動が大きくなるからなのか、Aクラスよりもしなやかでより足が動いている感じがする。
脚だけでなくパワートレインもいい。136ps/20.4kgmの1.33ℓ直4ターボに1440㎏の車重だから余裕綽々ではないものの、7段という多段な変速機のおかげでスペック以上の速さがある。小気味よく走らせるには常に3000rpmくらいまで回す必要が出てくるが、トルクと出力の出方のバランスがよく、高回転域まで気持ちよく吹け上がるので回すのが苦にならない。
というか、むしろ積極的にエンジン回転の上げ下げを楽しみたくなる種類のエンジン。ひと昔前の小排気量の欧州車みたいだ。単純に速く走りたい、もしくはただラクに運転したいなら、B180より出力が高く、1.5倍以上のトルクを発生するディーゼルの220dを選んだ方がいいだろう。しかし、運転の中に操る楽しさを求めるのなら、ガソリンのB180は悪くない選択だ。エンジン自体の出来もこの排気量の中ではトップ・クラスと言ってもいいだろう。
Bクラスを見て、触れて、そして走らせてみると、モデルによっては奇をてらったものもあったが、概ね実用的で実直なものが多かった80年代くらいのハッチバックの欧州車を思い出す。見た目はちょっと地味かもしれないが、新しいBクラスにはそんな古き佳き味わいがあった。

インパネはAクラスのイメージを色濃く残すものの、Bクラスの方が上下方向に余裕があることもあって、造形はけっこう異なっている。もちろん話題の"ハイ・メルセデス"も付く。革表皮のシートはウォールナットのトリムと64色の室内照明と合わせてセット・オプションとなる。


後席にはリクライニングやスライド機構は備わらない。背もたれのみ40:20:40で可倒できる。


文=新井 一樹(ENGINE編集部) 写真=篠原 晃一
メルセデス・ベンツB180/MERCEDES-BENZ B180
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