2019.11.02

CARS

納得のフィニッシュ! 大井貴之のメディア対抗ロードスター4時間耐久レース参戦記

ロードスター誕生30周年となる今年は、このレースの30周年の年でもある。ところが、その記念の大会に、昨年優勝の我がチームが与えられたハンディはピットストップ4分。それでも、めげることなく全力を振り絞って走りました。

毎年、この時期になると大昔の記憶が蘇る。きっかけは、毎年9月の恒例行事となったメディア対抗ロードスター4時間耐久レース。今年は記念すべき第30回。すなわち、第1回が開催されてから30年目に突入したということになる。筆者はこの第1回大会を今は無きビデオマガジン、「ベストモータリング」の正岡編集長、同僚の田部靖彦、そして筆者という100%編集部チームで制した初代チャンピオンなのだ。


■動画でもどうぞ!

第30回記念大会の今回、主催者により各チームにお揃いのテントが用意された。感謝。


今より30歳も若い大井貴之は29歳、独身。あの頃の彼女は……という想い出話はさておき、編集者やカメラマンなど自動車メディアに関わるみんなでレースを楽しもう! という斬新な企画。しかし、用意されたクルマは、バケット・シートとロール・バー、4点式シートベルトという安全装備こそ付いていたが、それ以外はタイヤもブレーキパッドも標準のまま。筑波サーキットを全開で5ラップもしようものならブレーキはフェードし、エンジン・オイルの温度もレッドゾーンまで上昇するようなクルマが普通だった時代に、どノーマル・カーで4時間耐久レースというのは無謀とも思える話だった。


しかし結果は、ロードスターが持つ「走る」「曲がる」「止まる」の絶妙なバランスが輝くレースとなった。パワーステアリングどころかABSなど設定自体がなかったから、ドライビングはそれなりに難しかった。しかし、その難しさこそが腕の見せ所。上手く走らせた気持ち良さは格別。それこそがスポーツカーの楽しさだということが実感できた。意味があって、しかも楽しい! だからこそ30回を迎えているのだ。


2009年からエンジン・チームで走らせてもらっている筆者は、もう20回以上このレースに参戦。初代NA型から現行ND型まですべてのモデルで優勝を果たした唯一のドライバー、というのはちょっと自慢。そして今年。今まで、ミレニアム大会など節目のレースで優勝してきた筆者的には、是非とも勝ちたい第30回、令和元年の記念大会なのだが、何と去年のレースでポールtoフィニッシュ! お陰さまで4分ストップというハンディキャップを背負ってのエントリーとなった次第である。


昨年に続きポールを狙って、エースの大井貴之選手が予選アタックしたが……。


痛恨の1ヘア突っ込み過ぎ!

4分も背負うとさすがに勝負権は無い。ここは一発予選だけでもキメてやろう! と連続ポールポジション獲得を狙っていた。今年の強敵はロードスターのワンメイク・レース
でチャンピオンを獲得し、現在いろいろなカテゴリーで活躍しているキラキラの若手ドライバー、堤優威選手。そして86ワンメイク・レースのチャンピオンを獲得しGAZOOレーシングの一員に抜擢された佐々木雅弘選手が、MORIZO選手(トヨタの社長ね)と共に参戦。相手にとって不足は無い。


コースインは、事前に行われたラジコンカーによる耐久レースの結果順。クリアラップを狙うには先頭でコースインするのが有利なのだが、このレースをサボったエンジン・チームは18番目。ポールポジションを狙うには計測1ラップ目が勝負。それを逃したらタイヤの特性的な問題でコンマ3秒を失うことになる。ここは多くのチームがアタックを終えたタイミングでコースインするのが得策と考えていた。しかし、準備が遅れたチームが多かったのか、ピットロードに誘導された時点で2番目。


突然手に入ったラッキーなポジション。活かすしかない! と先頭でアタックに入ったが、第1ヘアピンで痛恨の突っ込み過ぎ(涙)。その時点ではトップタイムだったのだが、まさに筆者がイメージしていた予選後半のタイミングでアタックを掛けたレブスピード・チームの堤選手にあっさりポールの座を奪われてしまった。まだまだ修業が足りない。



そして決勝レース。2番手からスタートしたエンジン号はスタート直後の混乱を避けるため、すぐにピットインし、4分のハンディキャップを消化。再びコースインすると、当然のことながらビリ。さあ、ここからが勝負! と言いたいところだが、トップを捉えるには1.3秒以上速いラップタイムで周回しなければならない計算。天候が安定しセーフティカーも入らないレースとなると、ミラクルな挽回は望めない。高温、高湿の影響で想像以上に燃費が悪く、チェッカーが近くなるとガス欠によるストップ車両が続出。そのお陰で10位までポジションを上げることが出来たが、それが精一杯。


時々刻々と変わる状況への対処が勝敗を分ける耐久レースでは、作戦室が最も重要だ。
猛暑のため例年になく燃費が悪かった今年のレースでは、我慢の走りが求められた。
給油は20ℓを1回のみ。満タン40ℓとの計60ℓで1周2045メートルを約180 周する。
最後のドライバー交代で鎌田選手から大井選手へ。この時、燃料はすでに厳しい状況だった。


今年の表彰式は、その他大勢としてお祝いさせていただきました。それでも楽しいロードスターの耐久レース。今、マツダ車を持っていれば参加出来るお手軽な耐久レース「マツ耐」があちこちのサーキットで開催されているので、ぜひとも一度挑戦してみては如何でしょう。



■チーム監督・渡邉大祐
稀にみる猛暑でクルマにもドライバーにも忍耐のレースとなった中、昨年優勝のハンディ4分停車を課せられた我がチーム。せめて予選のポールだけでも……が、2位。後は粛々とレースをこなす作戦? チェッカーを受ければ、きっと良い事が! 結果、驚くほど周りのクルマがガス欠で止まり、10位。得るものが多いレースだった。


■第1ドライバー・村上 政
今年はハンディが厳しく、はじめから勝負圏外にいた。だからこそ試せたことや、その結果、見えてきたことが沢山あって、得るものの多いレースだった。たとえば、ヘアピンでも2速を使わないのはもちろんだが、私以外のチームのみんなは最終コーナーを5速のまま走っていた。それでもタイムを落とさない走り。勉強になりました。


■第2、第4ドライバー・鎌田卓麻
毎年恒例のこのレース。去年は雨の中アクセル全開で走れて楽しかったけど、今年は4分停止のハンディがあるので厳しい戦いでした。それにしても35度を超える猛暑の中、常に水温が100度以上になっているにも拘わらず、最後までノートラブルで走り切ったロードスターは本当に素晴らしい! 今年も楽しいレースができました。


■第3ドライバー・国沢光宏
当然ながら毎年一生懸命走っているのですが、今回は燃費を稼ぐべくいろんなことを試してみました! 恐らくチームの皆さん同じだったと思う。終わってみたらTOPから3ラップ+15秒遅れ。ハンディ4分+ピットイン&アウトに掛かる4ラップ半分を考えたら上々のリザルトだったと思います! しかも来年はペナ無しですからね!


■第5ドライバー・大井貴之
予選ではキラキラの若手にポールの座を明け渡し、決勝では4分というハンディキャップを撥ね除けることが出来ず、ごくごく普通の結果に終わってしまった今年の4耐。決勝では強烈なエコラン担当となったが、エンジンをブン回して抜いて行ったマシンがガス欠して停まっている姿を見るのは快感。来年までに性格直します。


文=大井貴之 写真=神村 聖


2台のマツダ・ロードスターに乗る。これぞ日本のスポーツカー!


スバルBRZに大井&鎌田の両選手が試乗! ニッポンのFRスポーツカーは楽しいぞ!!


試乗記ポルシェ911♯01 編集部で2005年式「ポルシェ911カレラ4S」を買う。


無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。

無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。

いますぐ登録

タグ:

advertisement

PICK UP



RELATED

advertisement