2020.02.14

LIFESTYLE

展望リビングから宝塚の絶景を見渡す! 傾斜地に建つアッと驚くアイデア住宅

眼下に宝塚の絶景を望むリビングからの眺めが凄い!

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雑誌『エンジン』の人気企画「マイカー&マイハウス クルマと暮らす理想の住まいを求めて」。今回は、大阪湾を見渡す宝塚の山の上にある家。土地は安いが建築費がかさむ傾斜地。代表作となるような家にしてほしいという施主の希望を受けて、建築家はアッと驚くアイディアで絶景住宅を完成させた。デザイン・プロデューサーのジョースズキ氏がリポートする。

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いくら景色が良くても傾斜地を好んで買う人は少数

ここは宝塚市の山の中腹に建つNさん(47歳)たちの家。リビング・ダイニングに設けられた大きな窓から、宝塚の町が見渡せる。さらに数キロ先には伊丹空港や大阪湾が。天気が良ければ、大阪の高層ビルまで見通すことも可能だ。夕暮れ時や夜景も、相当魅力的に違いない。これだけ眺めが良いのは、山のかなり高い位置にあるから。N邸より上には数えるほどしか家が無い。しかも建物の配置を、庭側の視界が広くとれるよう工夫されている。お陰で、家の隅に作られることが多いキッチンも、N邸では特等席だ。

敷地内に3つの小屋が建っているように見えるNさんのお宅。眺望確保のため、建物の高さは3mの制限が。左手の小屋は倉庫。中央の小屋が玄関で、中で右の小屋につながっている。

そもそもNさんは、ここより1キロほど下の住宅街に住んでいた。そして散歩の途中で、売りに出ていたこの土地を見つけたのである。

「いくら景色が良くても、傾斜地を好んで買う人は少数です。たしかに同じ面積だと平地よりも安いですが、家を建てれば、余計に費用がかかります。そもそもハウスメーカーの家だと建ちませんから、建築家に頼まないといけません。その点、古くからの友人が建築家だったので、可能だったんです」

この家を設計したのは、大学時代のサークルの仲のよい後輩である、ジオ-グラフィック・デザイン・ラボを主宰する建築家の前田茂樹さん。当時から「家を建てる時は頼むよ」と約束する関係だった。そんな前田さんは、世界的に知られる建築家のパリの事務所に10年間勤務した後に帰国し、大阪で自身の事務所を構えていた。厳しい条件の傾斜地だが、気骨のある建築家はトライしたがることを知っているNさんは、前田さんに土地を見せて聞いてみた。「この場所で設計したいか?」

もちろん前田さんの答えはイエスだ。しかし、Nさんの要望は少し変わっていた。前田さんの「代表作」を作ることが、最大の要件だったのだ。子供が遊び回れ、収納が多いといった、生活で必要な要件もクリアしないといけない。会社員なので、当然予算は限られる。だが、住んでいる家があるので、急いで建てる必要は無い。「どこかで見たような、普通の住みやすい家」の提案は却下し、時間をかけてでも「名建築」が出来上がることを求めたのだ。

玄関は、パーキング脇のブリッジを渡ってたどり着く。門扉は設けなかったが、間違って入ってくる人は今のところ皆無だとか。

こうして完成したのが、敷地内に3軒の小屋が建っているように見える、ユニークな構成の家である。複雑な間取りのため平面図だけでは分かりにくいが、上の写真のパーキング脇に建つ、窓がある小屋は独立した倉庫だ。そしてブリッジを渡った先の左手にある小屋が玄関で、3階に相当する。ここから2階のリビング・ダイニングに降りる構造だ。さらに、そこから上下階に延びる階段があり、上った先にある3階の子供部屋は、ブリッジ右手の小屋にあたる。一方、リビングから階段を下りれば主寝室や水回りのある1階がある。この1階部分は、斜面の土砂を支えるためにRC構造とした。上部は屋外用ソファーを置いたテラスになっている。玄関から家の端にたどり着くまでの距離が長いうえ、何度も階段を上り下りするので、面積以上に広さを感じるものだ。そして、なんだか楽しい。こうした間取りとなったのは、山の上に古くから住んでいる住人の眺望を妨げないためでもある。高さ3mの制限があるのだ。

パーキングには、ルノー・ルーテシア・スポルト16V(2001年型)と、ルノー・カングー(2006年型)が並んでいる。家があるのは、駅から遠い山の上。クルマが無いとアクセスは不便だ。Nさんは職場まで、ルーテシアで片道1時間の自動車通勤をしている。帰宅時に、走りのよいクルマで山を上がってくるのは、なんとも爽快だ。奥様の普段の足としているカングーは、道具を積んでの家族キャンプでも活躍している。実は、熱心なルノー党ではない。カングーは、以前の家のパーキングのサイズから選んだ。

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