独自路線を貫いて大きな成功を収め、成長したホンダ。 しかし、近年はやることなすこと輝きに乏しい印象も。 ついに重い腰を上げた本田技研は、いま何を考えているのだろうか。
さる2月、ホンダの社内体制に関する興味深い発表があった。それを新聞やWEB等の見出しを拾って書いてみれば「四輪の開発機能を本社に統合、研究所を大幅縮小」ということになる。
我々との接点があるホンダ、すなわち本田技研工業株式会社は、端的に言えば車両の開発機能を有していない。開発部門は技研が100%出資する株式会社本田技術研究所という別会社となる。
技研はさしずめ施主の立場で研究所に開発を委託、出来上がった図面を基にこれまた子会社のホンダエンジニアリングに生産管理させ、技研は出来上がった商品を卸すという複雑なプロセスを採っている。
今から半世紀以上前、経営状況に左右されにくい自由闊達な開発環境を確保する目的で生まれたこの分業体制を「らしさ」に活かしながら、ホンダは数々のユニークな商品を生み出してきた。当然、その中には皆さんが親しんできたものもゴマンとある。
が、近年、その事業体制が機能しづらくなってきたことは数字が物語っていた。最初に異変が表れたのは二輪の側だ。急激な高齢化による国内市場の需要低下や海外での中国メーカーの台頭、欧州メーカーの復興も相まって、アジア圏を中心とした数的競争と、先進国を対象とした高付加価値商品の競争とを並行して進める必要に迫られたのが21世紀からの話だ。
魅力的な商品企画と開発や生産の速度向上が同時に迫られた中で、分業化による瞬発力の鈍さや情報伝達のタイムラグなどがウィークポイントとして表面化した。それを是正するべく2010年代、ホンダは二輪の開発・生産・販売の全領域に改革の手を加えた。
国内では販売網の刷新やヤマハとの協業などが大きなニュースとして挙げられる。その仕上げとして2019年には研究所の二輪開発体制を技研の二輪事業本部に統合、現在はASEAN市場でのシェア拡大に加えて15%前後の営業利益率を確保するなど、ホンダの屋台骨を支える存在として復活している。
恐らく八郷社長はこの成功例を四輪にも当てはめる心づもりはあっただろう。それは過去の発言やインタビュー等の機会からも推しはかられることだった。
が、環境変化により事態が急を要することになった感も否めない。激化する販売競争に加えてCASE絡みで研究開発費の莫大な増加を余儀なくされる中、昨年度の四輪部門の営業利益率は1.9%と、その窮地は強烈な数字となって表れた。
そして新型コロナ・ウイルス感染症禍真っ只中の4月1日、研究所の四輪商品開発機能は、ホンダエンジニアリングの生産機能、そして技研の購買本部なども含めて四輪事業本部に統合された。研究所は先進技術領域の研究開発に集中する体制となる。
主目的は当然業務の高効率化、R&Dの密度向上だが、自動車開発のタクトからみれば、我々の目にみえる商品にいきなりその変化が現れることはない。が、誰がためにと思うようなご都合主義的商品は、明らかに削られていくことになるだろう。
文=渡辺敏史 写真=株式会社アフロ、本田技研工業株式会社
(ENGINE2020年6月号)
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