サーキットで最速のラップタイムを刻むことを目指したセナ、オンロードでの最高の走りを追求したスピードテール。それに続くアルティメット・シリーズの第3のモデルとなる"エルヴァ"は、その中間に位置し、乗る者の五感に最高のエキサイトメントを提供するマクラーレン史上もっとも公道で速いモデルだ。
その名は1960年代ブルース・マクラーレンが自ら設計し、レース・シーンで活躍したM1Aの市販化版に由来する。当時、従業員が7人しかいなかったマクラーレンは市販車の製造をエルヴァ・カーズに依頼。そこで誕生したのがマクラーレン・エルヴァM1Aだったというわけだ。
現代のエルヴァは、すべてがビスポークでつくられたカーボン・ファイバー製のシャシーとボディを持つ。最新かつ独自の「ブラード・バウンダリー(溶け込むような)」デザインによるボディ造型は、まさに時代の最先端を行くハイパー・スポーツカーの走りを予感させるものだ。
F1ゆずりのエアロダイナミクスを取り入れたこのクルマにはウインド・スクリーンもない。フロント・ノーズから取り入れた空気をボンネットのアウトレットから吹き出させることで、エアロ・シェルを作り出しているという。その結果、車外環境との圧倒的な一体感を持ちながらも、コクピットは時速120kmでも普通に会話できるほど静かなのだとか。
リア・ミドシップに搭載される4リッターV8ツインターボは815psを発生、スペック上はセナより速いことになる。生産台数は249台、価格は142万5000ポンドから。
文=村上 政(ENGINE編集部) 写真=マクラーレン・オートモーティブ
(ENGINE2020年6月号)
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