2020.05.14

CARS

【試乗記】アルピナB7に試乗 強面の最新BMW7シリーズをアルピナが料理したら!?

BMW アルピナ B7 LANGVERSION ALLRAD

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弛緩することがない

乗り心地も高い速度域でのそれは文句なしに素晴らしい。ところが、東京の都内で使う速度域やせいぜい首都高速での現実的な速さでは、こちらが勝手に期待したほどには柔らかくない。


荒さは微塵もないけれど、当たりの硬質感を意識させる。凝ったエアスプリングと可変ダンパーを使うにもかかわらず、その脚を完全に弛緩させることがない。どのドライビング・モードを使ってもだ。


もちろん、これは細かいことを言えばという前提での話で、乗り心地は良いのか悪いのかという乱暴な話であれば、躊躇なくそれは良い。どんなモードでどんな入力状況にあっても、終始、毅然としているということだ。柔らかいモードを選んだ途端に、デレっと甘くなることがないのである。


だからこそというべきなのか、ハンドリングはどんな状況にあっても素晴らしい。確実感と安心感に満ち満ちている。車両重量が2.2t近いことを思い出すと、驚異的ですらある。


身のこなし、脚捌きが見事。大きな慣性質量を持て余すそぶりを一切見せない。ステアリングの正確性もほれぼれとするほどだ。てっきり以前のようにアルピナはアクティブ・ステアリングを排除してあるのかと訝しく思った。


ところが、調べてみると、連続可変ギア比のフロント・ステアリングも、リア・アクスルのステア機構も、ベースの7シリーズ用をそのまま残してあるというではないか。リア・ステアの低速域での逆相制御も残してあるという。


それなのに、4輪アクティブ・ステアリングであることを悟らせない。それほどに自然なヨー変化に終始する。そこに心底驚いて、ああ、やっぱりアルピナだなぁと感じ入った。


ロングホイールベース仕様でも、アルピナにあっては、紛れもなくドライバーズ・カーなのだ。この決してぶれることのないアルピナの在りかたに、新しい7シリーズの決意に満ちた顔は、似つかわしいと思う。


■BMW アルピナ B7 Langversion Allrad


駆動方式 フロント縦置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 5268×1902×1491㎜
ホイールベース 3210㎜
トレッド 前/後 1622/1619㎜
車両重量 2175㎏
エンジン形式 V型8気筒DOHC 32V直噴ツインターボ過給
総排気量 4395cc
ボア×ストローク 89.0×88.3㎜
最高出力 608ps/5500-6500rpm
最大トルク 81.6kgm/2000-5000rpm
変速機 8段AT
サスペンション 前/後 ダブルウィッシュボーン式/マルチリンク式
ブレーキ 前後 通気冷却式ディスク
タイヤ 前/後 255/40ZR20/295/35ZR20(op.21in)
車両価格(税込) 2597万円〔テスト車:3075万7000円〕


文=齋藤浩之(ENGINE編集部) 写真=望月浩彦


(ENGINE2020年6月号)

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