2020.05.22

CARS

最新のオシャレ系コンパクトSUV 3台乗り比べ コンパクト・カーでSUVは最強か!?

コンパクトSUVの最新モデルの中からイケてる3台、マツダCX-30、フォルクスワーゲンTクロス、DS3クロスバックをピックアップ。自動車の中心に立ちつつあるSUVはコンパクト・カーの世界でも主役になれるのか。

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選んだ3台とその特徴は?

新井 セグメント、いわゆるボディ・サイズという観点から見て自動車舞台のセンターに立ったコンパクトと、ボディ形状別の区分において今や自動車の中心になりつつあるSUVを組み合わせた、ある意味で現在の自動車ヒエラルキーの中で最強のカテゴリーかもしれません。

齋藤 取り上げたのはマツダCX-30、フォルクスワーゲン(以下VW) Tクロス、DS3クロスバックの3 台。いずれもニューモデルだよね?

新井 2019年に登場した新しいコンパクトSUVの中でもとくに注目度の高いモデルを集めました。ただし、3台は横並びというわけではなく、CX-30はVWゴルフなどが属するいわゆるCセグメント、TクロスとDS3クロスバックはVWポロやプジョー208と同じBセグメントに属するといったように、セグメントが若干異なります。

マツダCX-30 XD・Lパッケージ
マツダCX-30 XD・Lパッケージ

フォルクスワーゲンTクロス1st
フォルクスワーゲンTクロス1st

DS 3クロスバック・グラン・シック
DS 3クロスバック・グラン・シック

上田 CX-30はマツダ3の、Tクロスはポロ、DS3のSUV版と言えば理解しやすいでしょう。

新井 コンパクト・カーとSUVって相性がすごくいいと思うんです。同じボディ・サイズのハッチバックよりも室内や荷室を広く取れるので室内が狭いというコンパクトの弱みを解消しやすいから。

齋藤 全高に余裕があるということが寸法取りにおいてすべてをラクにしているよね。

上田 SUVボディなら1つ上のクラスのハッチバックやセダンに近いことができます。

齋藤 スタイリングが良くて、前後の席に人が無理なく座れて、荷室容量も大きい。さらにハッチバックやセダンに遜色ないオンロード性能を有し、エンジン性能を使い切れるだけの高速巡航対応能力がある脚を持ちながらも円満な乗り心地を確保している。またサイズも程々で手に余らない上に、ハッチバックやセダンでは難しいような悪路にも行ける。といったように、コンパクトSUV はこのクラスが中心になりつつあることが納得できる商品になっている。

上田 今、一番美味しいカテゴリーかもしれませんね。


CX-30はお買い得

新井 まずはマツダCX-30から話をしていきましょう。このクルマはCX-5とCX-3の間に入るブランニュー・モデルです。

齋藤 〝5〟と〝3〟の間なのに何で〝30 〟なの?

新井 本来ならマツダ3のSUV版なのでCX-3を名乗りたいところですが、すでに使用済みのため、使えなかった……。

マツダ3のSUV版となるCX-30。プラットフォームをはじめ、走りにかかわる部位の多くをマツダ3と共有する。ボディの抑揚を積極的に用いたスタイリングはシンプルで美しい。2.0ℓ直4、1.8ℓ直4ディーゼル・ターボのほかに、世界初となる圧縮着火技術を取り入れた2.0ℓ直4のスカイアクティブXも選べる。駆動方式はFFと電子制御のアクティブ・オンデマンド式4WDの2タイプ。ディーゼル以外にはMTも用意される。
マツダ3のSUV版となるCX-30

齋藤 街の中だけで乗るとちょっとバネが硬いかなと思うけど、たとえばアウトバーンでもきちんと使える脚を持っていることは高速巡航をしてみるとわかる。

新井 ただ、クルマがドンピシャとハマる速度域が日本で使うにはちょっと高過ぎる気がします。

齋藤 昔の欧州車みたいなものよ。

上田 こういう走り味が好みの人は、「日本車でもこれだけ優秀なのができるんだ」と気に入るでしょうね。

齋藤 CX-30はひと昔前の クルマを作っている。とりあえず、能力も品質も高くて技術的にも最も進んでいると認識されているドイツ車に対抗できるものを本気で作ろうとしている。もちろん、まだまだ及ばないところも多々あるよ。でもそういう気概で作っているのって今や日本ではマツダとスズキくらいだからね。

高い質感を持つ室内。ドイツのプレミアム・ブランドと比べても全く見劣りしない。インパネのデザインはマツダ3に似ているが、細部の意匠が異なる。

室内はマツダ3よりも頭上空間に余裕があり開放的。ひとつクラスが下の2台に対して極端に広いわけではないが、長さと幅のどちらにおいても余裕がある。




上田 少なくともマツダは伍するものを作れるところには到達したと言っていいでしょう。

齋藤 このあと大事なのは、「この先何をしたいのか?」ってこと。

上田 そこが一番難しい。

齋藤 でも、高い水準に立ってみないと、その先にどういう世界が広がっているのかというのは絶対に見えない。レベルの低いものばっかり作っている人にいきなりいいものは絶対に作れないんだよ。もちろんレベルの高いものを作れても、お客さんが買う気にならなかったら売れないんだけどね。

新井 そこなんですよ。日本で数を売りたいなら、もう少し速度レンジを下げるとか、日本の使い方に歩み寄って欲しいな、と。なんでそう思うかというと、ドイツ車はこのクラスでも走りと乗り心地を両立し始めていて、今マツダが到達したところよりもさらに1歩も1歩半も先に行っている感じがするからです。

1.8ℓのディーゼル・ターボは中回転域でグッとトルクが盛り上がる特性。

荷室容量は430ℓ。高さがあり使いやすい形状を持つ。

齋藤 CX-30に足りないのは乗り心地だよね。少なくともAクラスなんかには明確に負けている。マツダがDS3みたいなちょっとフワフワとした柔らかい乗り心地を目指す必要はないけれど、少なくともメルセデスはもっと上手にできている。マツダはどういう基本設計をしなくてはいけないかというのはほぼ掴みつつある。だから、これからはどうチューニングして、市場の要求とどう擦り合わせることを研鑽していかないと。端からやる気もないメーカーには言うつもりはないけど、マツダはそれをやろうとしている。だからあえて言うんだよ。

上田 がんばれ、マツダ!

齋藤 今回借りたのはディーゼルのヨンクだったけど、2ℓのガソリンで良ければ4WDでも260万円程度で買える。

上田 メチャクチャ安い。

齋藤 最先端のところにいる電子制御のアクティブ・オンデマンドの4 WDで、高い高速巡航性能を持っていて、実用性もあって、質感も高くて、見方によるけどスタイリッシュでということを考えるとこの値段は高くない。マツダの値段設定は随分上がったけど、このクルマに限ってはすごくがんばっている。


Tクロスは85点主義!?

新井 続いてTクロスです。僕は好感度が高かったな。

上田 僕は逆でした。

新井 値段差は若干あるけど、ポロは要らないと思わせる出来でしたね。

齋藤 どのくらい値段が違うの?

新井 今回乗ったTクロスは299万9千円。装備の近いポロのハイラインと比べると約24万円高です。

MQBプラットフォームを用いたポロ・サイズのSUV。ホイールベースはポロと同じ2550㎜だが、ボディ・サイズはひと回り大きい。ポロと同じ1.0ℓ直3直噴ターボを積むものの、約100㎏重くなる車両重量を考慮し、21ps/2.5kgmの出力向上が図られている。現在は"1st""1stプラス"と呼ばれる初回導入記念特別仕様車のみ。1stが16インチ・タイヤを装着するのに対し、プラスは18インチとなるほか、装備や装飾が異なる。
MQBプラットフォームを用いたポロ・サイズのSUV

齋藤 先代のポロは良いもの感があったけど、今の世代のポロはもっと儲けるために抜けるところは抜きましょうというのがあちらこちらに見える。ドイツ車だから、VWだから買うというものではなくなった。そこへいくと、今回乗ったTクロスの方が、パッケージングがすごく実直だったり、走ってもドイツ車らしい感じがある。ポロより重いバネ下を持っているのにそれを持て余さないで支えきるだけの容量が脚にはあって、乗り心地もちゃんとしてということを考えると、ドイツ車としての有り難味もあって、これぞVWという感じはポロよりも圧倒的に感じる。20数万円の差ならTクロスを買う価値は十分にあると思う。

高価な素材は用いていないが、デザインのおかげで安っぽさは感じない。スイッチの配置もわかりやすく、使い勝手の良さは3台の中で一番。

高さを活かした室内はゴルフを不要と思わせるほどの広さと開放感を有している。大きめのサイズを持つシートはドイツ車らしい硬めの掛け心地。



新井 トヨタの80点主義に対して、Tクロスは85点のクルマって感じでした。突出したところはないけど、劣っているところもない。すべての品質が高レベルにまとまっています。

齋藤 85点主義だと感じさせられるのはこのクラスでは立派だと思う。日本のクルマって昔は80点主義と言っていたかもしれないけど、今はもう70点だろ。赤点のクルマすら平気で出している。

新井 僕は85点主義って悪い意味で使ってないですよ。学生のときを思い出してください。平均点を80点から85点に上げるのがどれだけ大変だったか。

1.0ℓでも力不足はまったく感じない。

5名乗車時の荷室容量は385ℓ。ポロよりも34ℓ、さらにゴルフよりも5ℓ大きい。このボディ・サイズを考えれば優秀だ。

齋藤 今回の3台の中でフロント・シートが一番大きいなど「ああドイツ車っぽいな」というところがあって、後ろの席に座っても広々とまではいかないけど窮屈な姿勢を取らされたりはしない。荷室もまあまあ使える容量が確保されている。動力性能も「1ℓターボでちゃんと走るの?」と思う人がいるかもしれないけど必要十分以上にちゃんと走る。身軽で軽快感もある一方で、足腰はドイツ車だなと思うビシッとしたところもある。やることきっちりやってある実用車だと思ったな。味わい深いところはないけど……。ま、このクラスにそれを求めるのは酷だろ。


DS3はジャージじゃ乗れない

新井 それを求めたのがDSです。

上田 ドイツ車と真逆のクルマですよね。個性的だったり、カッコよかったり、ブランドだったりで選ぶものだったじゃないですか。それが久々に帰ってきた感じがしました。

齋藤 ところがDS3クロスバックは値段がもうBセグメントじゃない。 400万円というのはアウディQ2 と同じ。ドイツ・ブレミアム御三家と同じ価格設定なんだよ。

DS7クロスバックからブランドの方向性を図っているDS。このDS3クロスバックはその第2弾。Bセグメント・サイズのSUVはDSとしては初めてとなる。最大の特徴であるデザインは二度見してしまうほど個性的。CMPと呼ばれるBセグメントより小さいクルマ専用の新しいプラットフォームの採用により、走りは驚くほど上質で高級感がある。現在は1.2ℓ直3ターボのみだが、2020年中にモーター駆動のみの電動モデルが加わる予定。
DS7クロスバックからブランドの方向性を図っているDS

上田 だから良くて当たり前なんですけど、本来、輸入車ってそういうものだったじゃないですか。

齋藤 DS3クロスバックのスゴイところはアウトバーンを前提にしていないこと。CX-30やTクロスと比べると設定速度域が明らかに低い。

新井 最近のPSAは130㎞/h、つまりフランスの高速道路であるオートルートの制限速度に合わせたセッティングになっていることが多いですね。

視認性や使い勝手よりデザインを優先したインパネ。外観に負けず劣らず個性的だ。装飾には時計やファッションで用いる技法を取り入れている

最上級のグラン・シックは革表皮が標準。

後席は必要十分な広さを持つものの、ちょっと閉鎖的だ。


上田 僕は路面のいいところでは、不足なかったですよ。

齋藤 CX-30やTクロスと比べると明らかに脚が柔らかい。

新井 最近、PSAのクルマが日本で人気があるのは脚の設定にもあると思うんです。130㎞/hまででいいクルマを作るというPSAの考え方が上限120㎞/hという日本の使い方に合っている。

齋藤 PSAのクルマは日本で買える輸入車の中で一番脚が柔らかい。とくに乗り心地に特化すると言っているシトロエンとプレミアム・ブランドを目指すと公言しているDSの新しいクルマはとくにね。DS3クロスバックはさすが新しいプラットフォームだけあって、Bセグメントなのにあんなに大きな 18インチの重いタイヤを履いていても脚まわりの容量は足りているし、乗り心地もいい。「超高速域まで使えるCX-30やTクロスとDSのどっちが普段使う上で有り難いものですか?」と冷静に考えたら、答えはDSだよ。

上田 3台の中で僕が目から鱗だと思ったのはDS3クロスバックです。

齋藤 高級感はある。

上田 特徴的でもあります。

クラス・トップと賞される1.2ℓ直3ターボは8段という多段ATの助力も得て、惚れ惚れとする出来栄えを有する。

5名乗車時の荷室は350ℓ。Tクロスより小さいが、不足を感じることはないだろう。

齋藤 乗り心地の質感ということで言えば、Tクロス違って、上のセグメントとガチンコで勝負できるものになっている。ただ、高級品を買うというスタンスがないと「何これ!?」ってなるんじゃないかな。今、PSAはオペルを傘下に収めてFCAとも合併し、ひとつの傘の下にいくつものブランドが共存することになった。そういった状況ではブランドの独自性が大事になる。それを具現化している最たる例がDSだよね。進むべき道を見つけて、確実な一歩を記したという感じがする。

新井 この先に明るい未来が有りそうな気がしますよね。

齋藤 このセグメントでこれだけ独自性を持っていて、乗り心地の上質感でも訴求できているのは見事だと思う。ドイツ系のメーカーはまだこのサイズではできてないからね。

上田 今のところ、唯一無二です。

齋藤 逆に、この乗り心地がなくて見た目だけだったら400万円の説得力はなかったと思うよ。

上田 久々に欲しくなりました。

新井 ただ、僕はDSと一緒には暮らせないかも……。



齋藤  外観? その辺のスーパーで買ったジャージで乗れるクルマじゃないよね。それなりにファッション・コーディネイトを考えないと乗れないクルマですよ。

上田 そういう意味ではメルセデスやBMWよりも敷居が高いです。

齋藤 800万円、1000万円のクルマに乗っているような人が買うかもしれないという想定が入っているのは、この中ではDS3クロスバックだけだよね。

新井 最初にSUVとコンパクトは相性がいいと言いましたが、とくにスタイリングや室内の仕立て、走りの質感を落とさずに、ボディ・サイズだけを小さくしたいダウンサイジン・ユーザーには最適だと思います。とくにDS3クロスバックは。

齋藤 Tクロスだってできることはゴルフと変わらないからね。

新井 ハッチバックなどと同じ価値が得られるのに全長が20も30㎝も短くて済む。世の中の流れ的にダウンサイジングする人は関係ないかもしれないけど、本当にクルマのサイズを小さくしたいと思っている人はSUVのコンパクトを買えば満足できるはずです。

齋藤 地上高が高くて、段差のあるところで扱いやすいのも魅力だ。

上田 コンパクト・カーもSUVが席巻するかもしれませんね。 

■フォルクスワーゲンTクロス1st

駆動方式 フロント横置きエンジン前輪駆動
全長×全幅×全高 4115×1760×1580㎜
ホイールベース 2550㎜
トレッド 前/後 1535/1515㎜
車両重量(前後重量) 1270㎏(前770㎏:後500㎏)
エンジン形式 直列3気筒DOHC12V直噴ターボ
総排気量 999cc
ボア×ストローク 74.5×76.4㎜
最高出力 116ps/5000-5500rpm
最大トルク 20.4kgm/2000-3500rpm
変速機 デュアルクラッチ式7段自動MT
サスペンション形式 前/後 ストラット式/トーションビーム式
ブレーキ 前/後 通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ 前/後 205/60R16 92H
車両価格(税込) 299万9000万円

■DS 3クロスバック・グラン・シック
    
駆動方式 フロント横置きエンジン前輪駆動
全長×全幅×全高 4120×1790×1550㎜
ホイールベース 2560㎜
トレッド 前/後 1540/1550㎜
車両重量(前後重量) 1280㎏(前790㎏:後490㎏)
エンジン形式 直列3気筒DOHC12V直噴ターボ
総排気量 1199cc
ボア×ストローク 75.0×90.5㎜
最高出力 130ps/5500rpm
最大トルク 23.5kgm/1750rpm
変速機 8段AT
サスペンション形式 前/後 ストラット式/トーションビーム式
ブレーキ 前/後 通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ 前/後 215/55R18 99V
車両価格(税込) 411万5000万円

■マツダCX-30・XD・Lパッケージ

駆動方式 フロント横置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 4395×1795×1540㎜
ホイールベース 2655㎜
トレッド 前/後 1565/1555㎜
車両重量(前後重量) 1530㎏(前940㎏:後590㎏)
エンジン形式 直列4気筒DOHC16V直噴ディーゼル・ターボ
総排気量 1756cc
ボア×ストローク 79.0×89.6㎜
最高出力 116ps/4000rpm
最大トルク 27.5kgm/1600-2600rpm
変速機 6段AT
サスペンション形式 前/後 ストラット式/トーションビーム式
ブレーキ 前/後 通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ 前/後 215/55R18 95H
車両価格(税込) 330万5500万円

話す人=齋藤浩之+新井一樹(まとめ)+上田純一郎(すべてENGINE編集部) 写真=望月浩彦

(ENGINE2020年6月号)

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