2020.08.07

CARS

1リッターでたったの44馬力! 全長は3.4m全幅1.5mのフィアット・パンダが自動車ジャーナリストの大谷達也さんのクルマ選びの原点

大谷達也さんとマイカーのVWアップ!

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これまで出会ったクルマの中で、もっとも印象に残っている1台は何か? クルマが私たちの人生にもたらしてくれたものについて考える企画「わが人生のクルマのクルマ」。自動車ジャーナリストの大谷達也さんが選んだのは、「フィアット・パンダ・セレクタ」。20代最後の年に乗ることになった フィアット・パンダが自分の価値観を大きく変え、 その後の愛車選びに影響を与えた1台だったと、大谷達也は振り返る。

たったの44馬力!

本当に、このクルマにはいろいろなことを教えてもらいました。1991年型のフィアット・パンダ・セレクタ。 排気量1リッターのキャブレター・エンジンは最高出力がたったの44ps!全長は3.4m、全幅にいたっては1.5mしかありません。排気量を除けば、スペック面では軽自動車にさえ太刀打ちできないのに、このパンダほど私のクルマ選びに大きな影響を与えた自動車はほかになかったと断言できます。

機能本位でありながら随所にアソビ心とオシャレ心が感じられたパンダのインテリア。いなか育ちだった私が着るものにちょっとだけ気を遣うようになったのも、このパンダのおかげだった。パタンと手で折り畳むダブル・キャンバス・トッ プ付き。エアコンはなく、助手席側のダッシュ ボードの下に"クーラー" がぶら下がっていて、このフューズがなにかの拍子によく飛んで大 汗をかいたものだった。


もっとも、パンダは自分で買ったわけではありません。29歳まで電機メーカーに勤務していた私が一念発起して転職した自動車雑誌の編集部で、業務として乗るために任された初めてのクルマがパンダでした。


初代パンダが世に出たのは1979年なので、このときデビューからすでに10年以上が経過していたことになります。したがって、いくら大規模なマイナーチェンジが途中で入ったとはいえ、メカニズムの古くささは隠せません。しかもギアボックスは電磁パウダー・クラッチ式のCVT。このクラッチとエンジンのマッチングがいまいちで、スムーズに加速するのは苦手だったし、そもそもパワー不足で交差点での発進では軽自動車にもおいていかれる始末。もちろん高速道路で追い越し車線に出るなんて夢のまた夢でした。おまけに信頼性は低いし、一部の人には箸にも棒にもかからないクルマだったと思います。

でも、このフィアット・パンダに私は心底惚れちゃったのです。

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