これまで出会ったクルマの中で、もっとも印象に残っている1台は何か? クルマが私たちの人生にもたらしてくれたものについて考える企画「わが人生のクルマのクルマ」。自動車ジャーナリストの河村康彦さんが選んだのは、「1979年式KP61型トヨタ・スターレットS」。小遣いはすべてガゾリン代。夜な夜な走り回った。
とにかく走り回った
「河村家のクルマ」という条件で 親の資金援助を受けて購入した FR最後のスターレット、KP61型。 このクルマで得た運転技術は、 今の仕事の礎になった。
「心に残る自分のクルマ」であれば、思い当たるモデルが何台もある。手放してから軽く20年以上の月日が流れてもドア・ラッチの解除感やエンジンの始動音が鮮明に蘇る「964型911カレラ4」はその筆頭格だし、余りの爽快さに手放すに忍びなくなり、結局ボディを好みの色に塗り替えてまで7万km以上を付き合う事になった「NA型ロードスター」も忘れられない1台だ。 「カローラのエンジン位置が変わっただけで、こんな痛快なスポーツカーが出来ちゃうの!」と驚かされたのは「初代MR2」で、フランクフルト空港近くの月極め地下駐車場に置き去りにして、ニュルの北コースやアウトバーンでそのポテンシャルをフルに発揮させることが出来た「ルポGTI」と共に過ごした時も最高に楽しかった。何でもかんでも私物を置き去りに出来たこともあって、このモデルを所有していた期間に“ドイツ在住疑似体験”が行えたことも大いなる副産物だった。
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