2020.08.10

CARS

亡き親友の英国製スポーツカー 一緒に乗ったときのことは今でも忘れない

ジャガーEタイプ・ロードスター

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これまで出会ったクルマの中で、もっとも印象に残っている1台は何か? クルマが私たちの人生にもたらしてくれたものについて考える企画「わが人生のクルマのクルマ」。ENGINE編集部員の荒井寿彦が選んだのは、「ジャガーEタイプ」。学生時代、街で見かけて衝撃を受けたスポーツカー、ジャガーEタイプに憧れている。友人が所有するEタイプのステアリングを握った日の出来事が忘れられない。

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Nのジャガー

学生時代、東京・墨田区のガソリン・スタンドでアルバイトをしていた。冬になると、軽トラックの荷台に灯油の入った一斗缶を並べて、近所の工場や住宅に配達をした。下町の狭い路地を日に何度も走り回った。

ある日、四方を壁に囲まれた見通しの悪い交差点に差し掛かると、左から鼻先を突っ込んできたクルマがあった。軽トラックのなかで行き過ぎるのを待った。低くて尖った鼻はゆっくりと交差点に入ってくる。スポーツカーだ。前輪が出てきた。でも、ドライバーはなかなか出てこない。スルスルと果てしなくノーズが続く。なんて長い鼻なんだ! と驚いているとドライバー、後輪、そしてリア・エンドがほぼ同時に交差点を抜けていった。オープンカーだった。しばらく動き出すのを忘れたぐらい呆気に取られた。新しい国産車に乗り換えたお客さんが給油に来ると、その度に目を輝かせていた私だが、衝撃の次元が違った。

ジャガーEタイプに初めて遭遇した日のショックは、いまでも色あせない。

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