過去13年間分の雑誌記事をWEBで再掲載している連載です。毎週水曜日12時更新。今回は番外編。2021年1月30日の土曜日に124型メルセデス・ベンツを愛する人たち4名とのツーリングのリポートです。春のドライブを楽しみながら、愛車の魅力を聞きました。
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2021年1月24日は日曜日だった。124型メルセデス・ベンツを愛する全国のみなさま、1月24日を“124の日”にしましょう! という気概を持って、同好の士とツーリングを企画したら、なんと東京に大雪の予報が出てしまった。やむなく、当日は中止。翌週の土曜日、1月30日にこぢんまりとしたプチ・ツーリングを行った。ちなみに、次に1月24日が日曜日になるのは、2027年である。
コロナ禍ということもあり、密は避けて44号車を含めて5台で伊豆を目指すことになった。朝8時。東名高速海老名SAに集まった4名に124型メルセデス・ベンツの魅力を聞いた。
シルバーに輝く1993年式の500Eに乗るのは村山達哉さん。「現代の車にはない直線的で伸びやかなデザインと、“最善か無か”の精神を至るところに感じる作り込みが好きです」
1992年式のセダン、300E-24に乗る池田達哉さんは、
「生産終了後、25年以上経っているいまでも毎日のように街中で元気な姿をみかけるクルマなんて、そうないです。メインテナンスさえ怠らなければ、自分の方が先に逝っちゃうんじゃないか? と思わせるタフな作りが素晴らしいです」
淡いブルーメタリックが新車のように輝く1994年式のE320ステーションワゴンから降りてきたのは、原田孝之さん。
「重厚感、安定感、安心感という三感王! 細部にわたり丁寧にクルマを長持ちさせるための細工がコスト度外視で施されています。リフトで上げて下から覗くとよくわかります」
1994年式のE400で参加したのは生田目修志さん。
「01年に4万4000kmの極上車を購入して20年。メンテすれば新車状態に戻るというメーカーの自信に満ちた設計。この確信がおカネをかけてもこのクルマに乗り続ける気持ちの源かもしれません」
みなさん、作りの良さと頑丈さを絶賛した。
一行は小田原厚木道路から135号へ出て熱海、伊東、川奈、伊豆高原へと海岸通りを進んだ。
それぞれのクルマの走りについてはどう思っているのか?
「トルクの太い5リッターV8をワイドレンジで穏やかな4段ATでクルージングしているときの気持ち良さったらないです」
とは、500Eの村山さん。
「高速道路を走ると車体が沈み込み、ステアリングも少し重くなる感じがするんです。この安定感が好きです」
と、E320ステーションワゴンの原田さんはドッシリとした走行感覚にしびれている。
取り回しの良さを絶賛するのは、300E-24 の池田さん。
「こんなに小回りが効くクルマはないでしょう。誰かが“史上最強のセダン”と言ったそうですけど、いまでもそうなんじゃないですか?」
ゴルフが趣味という生田目さんは、
「野太いトルクが沸きだす4.2リッターV8がいいですね。500Eより燃費もいいし。まったく疲れないし、買い替えたいクルマが見つかりません」
トラブルは? と聞くと、エンジンの熱害によってコントロール・ユニットが全滅したり(500E)、お約束のディストリビューター不調があったり(E400)、スロットル・アクシュエーターの故障でお伊勢参りの途中で動けなくなったり(E320ワゴン)、イグニッション・コイルがダメになったり(300E-24)と、それなりにご苦労があった。
コロナによりゆっくり話すことが出来ないのがもどかしいし、会話するときはマスク越しだ。でも、目でわかることもある。みなさん、トラブルがあっても124型メルセデス・ベンツが大好きなのだ。
伊豆高原からの帰路は伊豆スカイラインから箱根ターンパイクへ抜ける山岳コース。前を行くE320が綺麗にロールしてコーナーを抜けていく。飾り気はまったくないけれど、シンプルでいいデザインであることに改めて気が付いた。
44号車も伊豆箱根の峠道をイキイキと走っている。やはり、都内の片道10kmという通勤だけでなく、こうして長い距離をクルーズする方がこのクルマには合っている。
駿河湾を見下ろす駐車場に並んだ5台は夕陽を浴びて光っていた。丈夫で長持ち、家族みんなで乗れて、荷物も驚くほど積むことができるこの優れた実用車は、コロナ禍のような不安定な世の中で、ますます輝くように思えた。早くみんなで気兼ねなく走れますように。
文=荒井寿彦(ENGINE編集部) 写真=茂呂幸正
■44号車/メルセデス・ベンツ300TE(1992)
Mercedes-Benz 300TE(1992)
購入価格 168万円
導入時期 2008年9月
走行距離 30万9850km
(ENGINE2021年5月号)
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