2021.06.18

CARS

【試乗記】グッドニュース!! レクサス初の電気自動車、 UX300eがカタログ・モデルになった!

レクサス初の電気自動車、UX300eは当初135台の限定販売だったが、量産の準備が整い、カタログモデルとして通常の販売が開始された。早速、取材車の準備ができたというので、その走りを味わってみた。


最大走行可能距離は367km


お笑いタレントのたむらけんじさんが購入権利の抽選に当選して購入。あやうく電欠になりかけたなどの話題がネットニュースを賑わせているレクサスUX300eだが、2020年度こそ135台限定販売だったものの、2021年4月以降販売分は商談を開始したというアナウンスがあり、晴れてカタログモデルとなったので購入制限はなくなった。


レクサス初の電気自動車である同車は既存のUX200/250hがベース。つまりプラットフォームは、すでに概要が発表されている電気自動車専用のe-TNGAではなく、ガソリン車/ハイブリッドカー用のプラットフォームを電気自動車向けに仕立てたものであり、駆動用バッテリーの搭載性は専用プラットフォームほどには高くない。ちなみに、同じCセグメントで電気自動車専用プラットフォームを使っていないフォルクスワーゲンeゴルフは工夫して詰め込んでもバッテリー容量は35.8kWhだが、UX300eは54.4kWhなので、それなりに頑張っているといえる。ちなみに、専用プラットフォームを用いているフォルクスワーゲンの電気自動車ID3は77kWhという大容量を実現している。WLTCモードでの一充電最大走行可能距離は367kmで電費は140Wh/km。家庭用のAC200V普通充電(16A)で空から満タンまでに要する時間は約14時間、チャデモの急速充電で一般的な50kW タイプでは約50分で75%ほどとなっている。


インパネはメーターの表示やシフト・セレクターなどが異なる以外、基本的にはガソリン車やハイブリッド・モデルと同じ。

バッテリーはすべて床下に収まるため、室内の広さへの影響はかなり抑えられているが、後席は座面と床が若干高くなっているように感じる。エンジンの排熱が期待できない電気自動車は寒さに弱いが、前席および後席外側2座席分のシート・ヒーターとステアリング・ヒーターを標準装備にすることで、万全を期している。


モーターは203ps、300Nmで重たいバッテリーによって1800kgに達するボディをゼロ発進から100km/hまで7.5秒で加速させる。テスラや欧州のハイパフォーマンス電気自動車ほど驚速ではないものの、実用車としては十分であり、体感的にも速い。


電気モーターはゼロ回転から最大トルクを発生するのが特徴であり、発進時から力強い加速が味わえるが、制御を緻密に行わないとトルクが強すぎて不快になりかねない。そこでレクサスはアクセル操作に対して高応答・高精度なレスポンスを実現しながら、過度なピッチングを抑えるAPC(アクセレレーション・ピッチ・コントロール)を採用している。たしかに、電気自動車らしいトルキーな加速感がありながら、乗員の頭が不要に揺さぶられるようなことがなく、力強さのなかにも優しさがあった。エンジン音のない電気自動車はロードノイズや風切り音が目立ってしまうことが多いが、そこも抜かりなく対策されていて静粛性の高さはピカイチ。APCとともに上質な乗り味を提供している。




シャシーにも優位性がある


電気モーターによるスムーズで力強い走りだけがUX300eの魅力ではない。エンジン車やハイブリッドカーではなし得ないシャシー性能のポテンシャルを上手に引き出しているのだ。UX200に比べると約300kg重くなるが、重量増のほとんどを占めるバッテリーは床下配置で前後アクスルの内側にある。すなわち低重心であり、ヨー慣性モーメントが小さくなるので旋回性能が高くなる。さらに、エンジンのようにソフトなマウントを採用する必要がないので、重量物の揺動によるダイナミクス性能への悪影響がほとんどないのも電気自動車のシャシー性能を引き上げる要因だ。これらは他の電気自動車にも共通するが、UX300eでは重心位置がドライバーのヒップポイントと近く、それゆえ一体感が高いという。その、どっしりとした安定感とエンジン車などではあり得ない旋回性能の高さが融合したハンドリングは見事で、タイトコーナーが連続する場面などではリアルスポーツのように楽しめる。バッテリー搭載にあたって強化されるフロアによりボディ剛性は高く、ねじれや振動を抑えるパフォーマンス・ダンパー、ステアリングまわりの剛性を高めるブレース、専用ショックアブソーバーなどとともに電気自動車のポテンシャルをきっちりと引き出している。マツダMX-30EVは、電動化によってさらに高度になったGベクタリングコントロールの効果もあってハンドリングはさらに引き上げられているが、そういった制御がなくてもこれぐらいはいけるという好例でもある。



■レクサスUX300eバージョンL

駆動方式 フロント横置きモーター前輪駆動
全長×全幅×全高 4495×1840×1540mm
ホイールベース 2640mm
トレッド 前/後 1550/1550mm
車両重量(前後重量配分) 1800kg(前950kg:後850kg)
モーター形式 永久磁石式交流同期モーター
モーター最高出力 203ps/―rpm
モーター最大トルク 300Nm/―rpm
変速機 1段固定
電池総電力量 54.4kWh
一充電走行距離(WLTC/JC08) 367km /408km
サスペンション形式 前/後 ストラット式/マルチリンク式
ブレーキ 前後 通気冷却式ディスク
タイヤ 前後 225/50R18 95V
車両価格(税込) 635万円


文=石井昌道 写真=レクサス、ENGINE編集部


(ENGINE2021年6月号)

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