2021.06.10

CARS

これぞ“ザ・実用車” 新しくなったフォルクスワーゲン・パサートに試乗

“ザ・実用車”といった真面目なつくりがウリのパサートが進化を遂げた。今回の変更内容もまた、細かいブラッシュアップが多数積み重ねられている。だからこそ、今もなお、多くの人から支持を受けているのだろう。


ドライブ・トレインを刷新

フォルクスワーゲンといえば真っ先にゴルフを思い浮かべる人も多いかと思うが、兄貴分たるパサートの存在も忘れてはならない。2021年、本国ドイツではゴルフ、ティグアンに次ぐ3番目の売り上げを記録し、日本でも常に5~10%のシェアを維持する売れ筋だからだ。そんな主力モデルのマイナーチェンジ版が導入された。新型のトピックは大きくわけて3つ。内外装の刷新とパワートレインの変更、そして運転支援システムの強化である。


デザイン面ではフロントバンパー下の形状が改められて以前よりもややアグレッシブな顔立ちになり、前後のエンブレムが新CIに沿ったものへと置き換えられた。ガソリン・エンジンはこれまでの1.4リッター直4ターボから、コモンレール式直噴システムを用いた最新世代の1.5リッター直4ターボ(150ps/250Nm)へ換装。トランスミッションはディーゼルも含めてすべてデュアルクラッチ式7段自動MTのDSGとの組み合わせとなった。


機能的なレイアウトのコクピットは各所のデザイン変更によりすっきりとした印象となった。前後席とも広々としていてゆったり寛げる。モバイル・オンライン・サービス“We Connect”は専用アプリを介しての施錠解錠やアシスタンス・コールに対応。“トラベル・アシスタント”とともに全車に標準装備される運転支援技術“IQ.LIGHT”はヘッドライトに備わる32個のLEDが自動で最適な配光を実現する。

グレード展開も整理され、セダンとヴァリアント(ワゴン)はいずれも1.5リッター直4ガソリン・ターボと2.0リッター直4ディーゼル・ターボを軸に、それぞれにエレガンス(標準)グレードとエレガンス・アドバンス(充実装備仕様)を設定。ヴァリアントのディーゼル搭載車にはスポーティな仕立てのRラインが加わる(以上、すべてFWD)。SUVテイストを強めたワゴン・タイプのオールトラックは2.0リッター直4ディーゼルターボ+4WDのみとし、標準とアドバンスの2グレードを用意する。


注目の運転支援システム“トラベル・アシスト”は新型ゴルフに先駆けての採用となる。従来型トラフィック・アシストの進化版であり、アダプティブ・クルーズコントロールとレーンキープ・アシストの協調制御の範囲が0-60km/hから0-210km/hに拡大された。


ディーゼルは力がモリモリ

試乗車はパサート・ヴァリアントTDI・Rライン。ステアリング・ホイール中央のエンブレムが外装のそれと同じ細い書体となり、センター・スタックのナビ画面直下にあったエアコン(温度/風量調整)用の3つのダイヤルがタッチ・コントロール式のパネルに改められて、室内の見栄えはかなりすっきりした。


Rラインはパサート・シリーズで唯一のスポーティ・モデルということもあり、標準装備のシャシー制御システム“DCC”でスポーツを選ぶと姿勢変化は最小限に抑えられ、スタビリティの高さが味わえる。一方で19インチのシューズは特に首都高のような継ぎ目の多い道ではバタバタとした印象がつきまとい、オーバースペックに感じた。190ps/400Nmを発生する2リッター直4ディーゼル・ターボは、どの回転域からでもモリモリと加速するドライバビリティの高さがあって頼もしい。7段になった変速機の100km/h巡航時のトップギア回転数は1600rpm程度と控えめだから燃費の向上も見込めるだろう。燃料タンクの内部形状が変更されたことによりタンク容量が7リッター増えたのも朗報だ。


新機能のトラベル・アシストを試してみると、特にレーンキープの洗練度が高まったように感じた。以前、現行型のゴルフ7を新車から2年ほど実用に供していたことがあり、その世代のレーンキープはステアリングのアシスト力の強さにかなりの違和感を覚えたものの、新型はカメラやセンサー類の性能向上もあって制御はごく自然。ステアリングに静電容量式センサーが備わったからだろう、手を添えておくだけでシステムが継続的に作動してくれるから、ステアリング保持の注意喚起にいちいち反応しなければならない煩わしさからも解放される。


現行世代も登場から6年が経ち、そろそろフルモデルチェンジの声も聞こえてきそうだが、取り回しや奇をてらったところのない使い勝手の良さ、安定感のあるフットワークは健在だった。それだけ基本設計が先んじていたともいえるが、今回のような細かなブラッシュアップの積み重ねが、実用車としての確かな実力をキープしている要因であることは間違いない。パサートの支持率の高さは、そんな実直さがあってのものといえるだろう。


文=桐畑恒治  写真=望月裕彦

■フォルクスワーゲン・パサート・ヴァリアントTDI・Rライン
駆動方式 フロント横置きエンジン前輪駆動
全長×全幅×全高 4785×1830×1510mm
ホイールベース 2790mm
トレッド 前/後 1580/1560mm
車両重量 1610kg
エンジン形式 水冷直列4気筒DOHC直噴ディーゼルターボ
総排気量 1968cc
ボア×ストローク 81.0×95.5mm
エンジン最高出力 190ps/3500-4000rpm
エンジン最大トルク 400Nm/1900-3300rpm
変速機 湿式デュアルクラッチ式7段自動MT
サスペンション形式 前/後 ストラット式/マルチリンク式
ブレーキ 前/後 通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ 前後 235/40R19
車両価格(税込) 584万9000円


(ENGINE2021年6月号)

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