2020年にフォト・デビューし、2021年の上海モーターショーでワールドプレミアされた「ランボルギーニ・エッセンサSCV12」は、ランボルギーニのモータースポーツ部門、スクアドラ・コルセ、同じくデザイン部門のチェントロ・スティーレによって企画、開発されたモデルだ。
同様の例は、2018年秋にランボルギーニ・スーパートロフェオの開催に併せて発表された、「SC18アルストン」にも見られるが、両車の大きな違いは、アルストンがあるオーナーからのリクエストによるワンオフ・モデルだったのに対して、エッセンサは世界限定40台の生産計画を持つこと。またSC18アルストンはオンロード走行も可能だったが、このエッセンサはFIAのプロトタイプ・レーシング・カーの安全基準を満たしてはいるものの、実際にそれが参加できるレース・カテゴリーはなく、またオンロード走行も不可能であるため、実際にはサーキット走行を楽しむことが唯一の使用方法となる。


エッセンサのエクステリア・デザインは、まさにレーシング・カーそのものの過激さを持つものだ。現在ランボルギーニは、ウラカンによるワンメイク・レース、「トロフェオ」を開催しているが、かつて12気筒モデルのディアブロSVRやGTRで同様のレースが行われていたことを考えれば、タイミングによってはエッセンサによるレースが見られたのかもしれない。ランボルギーニによれば、エッセンサが走行中に生み出すダウンフォースは、250km/h時に1200kg。これはGT3のカテゴリーに属するレーシング・カーよりも大きな数字になるという。
そのための細かいディテールの変化は、画像で確認できるとおり。フロントのヘッドライトに六角形をモチーフとしたヘッドライトを採用し、サイドシルには垂直フィンを新たに装着、リアには大型のダブルプロファイル・リアウイングが組み合わされる等々の新しいデザインで、エッセンサはベースのアヴェンタドールとも、また大きく異なる造形を実現することになった。


リア・ミドシップに搭載されるエンジンは、6.5リッターのV型12気筒自然吸気と、ここまではお馴染みのスペックだが、最高出力はSC18アルストンやアヴェンタドールSVRの770psを大幅に超えて、ついに830psという数字に到達することになった。ミッションは6段シーケンシャルMTの「ISR」。カーボン・ファイバー製のモノコックにも改良が加えられ、パワー・ウエイト・レシオは1.66ps/kgを達成するに至っている。
サスペンションは、アヴェンタドールと同様にプッシュ・ロッド方式だが、そのセッティングはもちろんスクアドラ・コルセによって専用にチューニングされたもの。もちろんそれはサーキット走行にフォーカスされている。フロントに19インチ、リアに20インチ・サイズを装着するホイールはマグネシウム製。タイヤは専用のピレリ製となり、その着脱を容易にするためにフェンダーのデザインが考慮されているのも見逃せないところだ。
限定40台のエッセンサSCV12は、おそらくはまたすぐにソールドアウトしてしまうことは間違いないだろう。なぜならそれは、最後の自然吸気V12モデルとなる可能性も高いからだ。ランボルギーニが2021年中にさらなる12気筒のニューモデルを公開するのは半ば確かな情報。はたしてそのとき、伝統のV12エンジンの未来はどうなるのか。気になるところである。

▶「ランボルギーニのおすすめ記事」をもっと見る
文=山崎元裕
(ENGINEWEBオリジナル)
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
advertisement
2025.12.13
CARS
男性に迎えに来て欲しいクルマはこれ 藤島知子さん(自動車評論家)が…
2025.12.13
CARS
26歳令和の若者のクルマが、昭和のオジサンをワクワクさせてくれた …
2025.12.13
CARS
初代NSXからスタート!旧型スポーツカーを蘇らせるホンダ公式サービ…
2025.12.11
WATCHES
ピンクパンサー、次元大介、そして“E.T.”。この冬は機械式ムーブ…
2025.11.29
CARS
まるで生き物のようなV12エンジンの息吹を全身で味わう!日本上陸し…
PR | 2025.11.27
CARS
カングー乗りの人間国宝、林曉さん 漆工芸とカングーには、いったいど…
advertisement
2025.12.13
男性に迎えに来て欲しいクルマはこれ 藤島知子さん(自動車評論家)が選んだ令和のデートカーとは
2025.12.13
26歳令和の若者のクルマが、昭和のオジサンをワクワクさせてくれた 当時流行ったコンプリートカー風に仕上げた2代目トヨタ・セリカXX
2025.12.11
“ビジュくて、メロい”実際に購入してその進化のほどを実感!吉田由美(自動車評論家)が3位に選ぶクルマとは
2025.12.09
その金額を払うに相応しいだけの価値はあるか?山田弘樹(自動車評論家)が1位に選んだのはこのクルマだ
2025.12.15
直列6気筒+6速MTをFRで味わえる貴重すぎる存在!総合8位に選ばれた自動車評論家が絶賛したクルマとは【2025年買いたいクルマBEST 20】