2021.06.14

CARS

もう買えなくなるのが悲しい! 生産終了が決まったホンダS660最後の限定車をサーキットで堪能する

法規制の強化により生産終了が選択されたホンダのマイクロ・スポーツ、S660。その最後を飾るモデルとして登場したのが、このモデューロX バージョンZだ。最後に相応しい出来栄えを有するのに、もう買えないなんて切なすぎる……。

カッコいい新色ボディ・カラー

2022年3月の生産終了が決定しているS660にとって最後の特別仕様車となるモデューロXバージョンZに袖ヶ浦フォレストレースウェイで試乗した。走りに関する部分は既存のモデューロXと変わらないが、ボディ・カラーに新色のソニックグレー・パールが追加され、インテリアもアルカンターラやスェード、カーボン調パネルなどでより上質に仕上げられている。今回はノーマルのS660、モデューロのスポーツ・サスペンションとスポイラーが組み込まれたモデル、そしてバージョンZと比較試乗ができた。また、開発陣の自信の表れなのか、散水車でコースに水を撒き、あえてウエット路面とされていた。

ノーマルで走り始める。サーキットではサスペンションがややソフトに感じられ、ロールやピッチングも小さくはない。減速によってフロントが沈み込んだ姿勢でコーナーに突入していくとリアがめくれ上がったような状態になり、そこで不用意に舵を入れすぎると簡単にテールスライドを起こす。動きは速く、戻るときもやや唐突なのでギクシャクしがちだ。もっとも、VSA(横滑り防止装置)をオンにしておけば安心だし、ピッチングの動きを上手にコントロールしながら走らせていけば、驚くほど高いコーナリング・スピードを維持できて、小さくても本格派のミドシップ・スポーツのハンドリングを堪能できる。

内外装の大きな違いは、エンブレムの色、カーボン調を採用したインパネ各部の化粧パネル、スェードと合皮張りに変更されたドア・パネル、車名の入ったプレートなど。





モデューロの用品が組み込まれたモデルではロールやピッチングが減るので、安定性が劇的に増す。簡単にテールスライドは起こらず、起こっても挙動がゆっくりなのでコントロールしやすい。サーキットを楽しむにもこれで十分といったところだ。

モデューロの後付け用とバージョンZのサスペンションは、スプリングは共通で前者はショックアブソーバーが固定式なのに対して、後者は5段階調整式となっている。前者の設定は後者でもっとも減衰力が高い「5番」と同じというから、そのときのメカニカル・グリップはほぼ同等のはずだ。ところが、バージョンZで走り始めると、さらに1クラス上のハンドリングを見せつけられることになった。

可動式リア・スポイラーとホイール形状は通常のモデューロXと同じ。ホイールの色はバージョンZ専用となる。価格は315万400円だったが、すでに完売。





64psの自主規制が恨めしい

まず舵の効きがいい。滑りやすいウエット路面のコーナーに、速めのスピードで突入していってもフロント・タイヤがビタッと路面に押しつけられている感覚があり、ズルズルッと滑ってしまうようなことがない。ステアリングからは確かなグリップ感が伝わってきて頼もしい。リアの安定感も抜群だ。速度を高めるほどに安定性を増すその感覚は、ずばり空力性能向上によるもの。フロント・バンパー下のエアロガイド・フィンで床下に風を導き、綺麗に流速を落とさないように後方へ流してリアのディフューザーの効果を高めている。ホイールハウス内の乱流の抑え込み、ガーニー・フラップの付いた可動式リア・スポイラーなども相まってバージョンZは空力性能が追求されている。それが、さほど高い速度ではなくてもはっきりと体感できるのだ。恨めしいのは自主規制で抑えられた64psのパワーで、このシャシーなら感覚的には倍ぐらいあっても問題なさそうだ。

残念なことに2000台の生産を予定していたバージョンZはすでに受注を完了。さらにS660自体も完売してしまったという。幸福にも入手した人には大切に乗り続けてほしいものだ。

可動式リア・スポイラーとホイール形状は通常のモデューロXと同じ。ホイールの色はバージョンZ専用となる。価格は315万400円だったが、すでに完売。

内外装の大きな違いは、エンブレムの色、カーボン調を採用したインパネ各部の化粧パネル、スェードと合皮張りに変更されたドア・パネル、車名の入ったプレートなど。

文=石井昌道 写真=宮門秀行

(ENGINE2021年6月号)

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