アイコンデザインは守るという意思と操作性も高めるという意思のせめぎ合いから生まれたデザイン。まさに機能美。
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最近立て続けに歌舞伎役者を取材したが、彼らは歌舞伎を単なる伝統芸能とは見做していない。古典の演目であっても、必ず"初めて演じられた舞台" はあるわけだし、ひょっとすると今でいうところの「ワンピース歌舞伎」のような革新的な演目が、古典として受け継がれている可能性だってある。革新しなければ残らないし、残ったからこそ古典になったのだ。

AUDEMARS PIGUET(オーデマ ピゲ)/ロイヤル オーク オフショア ダイバー
ヘアラインとポリッシュで仕上げを分けるキレのあるケース表現も不変ながら、ダイアルの力強いAPロゴで、新世代モデルであることをアピール。ダイアルと同系色のラバーストラップは、道具なしで簡単に交換できるインターチェンジャブル式になっており、ブラックラバーストラップも付属する。自動巻き。ステンレススティール、ケース直径42㎜、30気圧防水。280万5000円。

ケース径は変わらないが、搭載ムーブメントも進化。キャリバー4308は60時間パワーリザーブを備えており、フリースプラング式テンプを採用するなど、細部まで凝っている。
「ロイヤル オーク オフショア ダイバー」にも、同様の信念を感じる。1972年にデビューした「ロイヤル オーク」は、当時の感性からすると異端児だったが、そのスタイルを守り、磨いていくことでマスターピースとなった。ダイバーズウォッチを作るにあたっては、8角形ベゼルという型を守るために逆回転ベゼルをインナー式にしたのだが、それもまた革新から始まった新たな古典を、さらに新しい形で磨いた結果といえるだろう。
新作モデルはラグ部分を人間工学に合わせてカーブさせ、ドットインデックスやコンパクトな"AP"ロゴで顔周りをスッキリさせるなど、計器としての価値を高めるべく進化したが、伝統的なスタイルは不変。こういったものが、歴史の風雪に耐えて古典となる。だから惹かれるのだ。
文=篠田哲生 写真=近藤正一
(ENGINE 2021年8月号)
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