2021.07.09

CARS

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ルノーからの最後の贈り物 カングーの最終モデルとして導入されたディーゼルMTモデルに試乗した


ガソリンとは別次元の燃費

僕は現行型がフランスでデビューして間もない2008年、今回の試乗車と基本的に同じ1.5リッター・ディーゼル・ターボ+MTという仕様に現地で乗ったことがある。郊外に足を延ばすと、たまに現れるラウンドアバウトをこなしつつ、それ以外は相応の速度でクルージングするのに、このパワートレインは絶妙だったことを思い出した。

日本の道を走っているのに、どこかフランスの田舎道の風景が思い浮かんでくるようなキャラクターの持ち主なのである。

それでいてあの頃と比べると、明確にスムーズかつ静かになっていて、巡航時はディーゼルだと気がつかない人もいるだろう。でも車載燃費計の数字は15km/リッター近くいった。乗り方を工夫すればWLTCモードで19km/リッターという、ガソリン車とは別次元のカタログ燃費に近づくことも可能だろう。

ロールを適度に許す、フランス車らしいゆったりとして走り。

カングーに乗っていると日本の道がフランスの田舎道に思えてくる。

1.5リッター直4ディーゼル・ターボは尿素SCRとディーゼル・パティキュレート・フィルター(DPF)でしっかりと排出ガスを浄化する。

カングーのキャラクターにとても似合う

車両重量は同じMTのガソリン車より90kg重い。増加分の多くが前輪に掛かっていると思われる。なのに山道に連れ出すと、ルノーのお家芸であるしっとりした接地感、背の高さを忘れさせる腰の低さのおかげで、思いどおりに走れる。この面での想像以上のポテンシャルの高さはディーゼルMTでも健在だった。

今回の試乗は雨の日が多かった。でもまったく不安は抱かなかった。前の週に乗った同クラスの日本車とは次元が違うと言えるほど。粘り強いエンジンのおかげで、トップギアで約2000rpmの100km/h走行ならクルーズコントロールを問題なく使い続けられることができた。

乗り心地は少し前のフランス車を思わせる、ゆったりした揺れを残すフィーリング。路面からの鋭い入力のいなしは絶妙だし、残ったショックは優しい掛け心地のシートが吸収してくれる。だからリラックスして距離をこなしそうという気持ちになれるし、そういうキャラクターに穏やかなレスポンスのディーゼルはとても似合う。

聞くところによれば、400台が用意された今回の限定車に注目する人は予想以上に多く、この記事が出る頃には完売御礼になっている可能性があるという。でもそれは現行カングーの人気の裏付けでもあるし、次期型にもこのパワートレインが用意されるのではないかという期待にもつながる。

そんな思いを抱くのも、やはりカングーという車種が明確な個性を持ちつつ万人に受け入れられる、稀有な存在だからだろう。定番商品の最後に用意された異色の限定車から、このクルマが何にも似ていないことを再確認する結果になった。

通常は約90度までしか開かないが、ロックを外す180度くらいまで開き、積み下ろし性能を高める。

カングーの魅力のひとつである。広大な荷室。トノカバーは前後方向に2つ折りできる。

助手席を収納すれば長尺物も収納できる。リア・シートは左6:右4の2分割。

◇ルノー・カングー の詳細はコチラ
https://www.renault.jp/car_lineup/kangoo/


Renault KANGOO LIMITED DIESEL MT
■ルノー・カングー・リミテッド・ディーゼル MT
駆動方式 フロント横置きエンジン前輪駆動
全長×全幅×全高 4280×1830×1810mm
ホイールベース 2700mm
トレッド 前/後 1520/1535mm
車両重量 1520kg
エンジン形式 直列4気筒SOHC8Vディーゼル・ターボ
総排気量 1460cc
ボア×ストローク 76.0×80.5mm
最高出力 116ps/3750rpm
最大トルク 260Nm/2000rpm
変速機 6段MT
サスペンション形式 前/後 ストラット式/トレーリングアーム式
ブレーキ 前/後 通気式ディスク/ディスク
タイヤ 前後 195/65R15 95T
車両価格(税込) 282万円

文=森口将之 写真=宮門秀行

(ENGINE WEBオリジナル)

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