2021.08.11

CARS

ちょっと古いVWゴルフに乗るのがカッコいい! クルマ好きを満足させるヤングタイマー・ゴルフの世界

ゴルフIでもなく、IIIでもなく、ひたすらにゴルフIIだけに特化したスペシャル・ショップには里帰りしたばかりという極上のGTIが並んでいた。自身がゴルフIIのオーナーでもあった!? モータージャーナリストの島下泰久氏がめくるめくちょっと古いゴルフの世界をリポートする。

ゴルフIIの専門店!?

ゴルフ専門店ではなく「ゴルフII」の専門店であるスピニングガレージが、神奈川県相模原市の今の拠点に移転してきたのは、約8年前のこと。敷地はとにかく広大で、外にも中にも商品化を待つゴルフIIが数え切れないほどの台数、並んでいる。

取材日は島下氏が愛車ゴルフIICLiを手放したまさに当日。膨大なストック車両も並ぶ。

何を隠そう、このスピニングガレージは私が3年前に90年型ゴルフIICLiを購入したお店である。今回、若き社長である田中延和さんに聞くと、ゴルフIIの中古車を取り巻く状況は、その頃と較べても変化してきているようだ。まず単純に、車両価格が高騰しているのである。

代表の田中延和さん

「最近はよく値札を見て『ゴルフIIなのに?』って言われます。あまりに入門用輸入車として扱われてきた反動ですね。昔やっていた1万円ゴルフみたいなことができなくなったのが約10年前。ここ5年くらいはさらに値段が上がってきていますね」

価格上昇は敷居を上げる一方で、良いこともある。ユーザーがクルマを乗り捨てることなく、しっかり直して乗るようになったのだ。

同社保管庫。珍しいゴルフ・カントリーの姿も。

「昔と違って今は、ちゃんと整備してあれば売却した後、また誰かが引き継いで乗ってくれると皆、分かっている。なので買い取りして欲しいという話も増えているんですよ」

今、ゴルフIIを手に入れようと考えた場合、車両価格は大体100万円辺りからと考えておけばいい。確かに一時期よりは高くなったが、今はそうやってしっかり手を入れる人が増えてきていることもあり、出回っている車両の程度は全体に良くなってきていると実感しているそうだ。

「ENGINE読者の方が乗りたいと思うような雰囲気、コンディションのクルマとなると、200万円くらいと思っていてください。この辺りだと『おーっ!』と膝を打つようなオーラ、あると思います。GTIだと300万円くらいですかねぇ」







店頭には前日に買取したばかりという見るからに程度の良さそうな91年型ゴルフGTIが並んでいた。販売価格は298万円の予定だという。

「1年半くらい前に納車整備をガッツリやって収めたクルマですが、どうしても持ちきれないということで戻ってきました。3オーナーくらいですが、皆さん本当に良い人で」

GTIを探している人の多くは、かつて夢見たけれど手が届かなかったという人。憧れを今こそ叶えようというわけだ。

「ガレージを建てた上で購入に来た方や、サビの出やすい地域から引っ越した上で、満を持して来られた方なんかも居ますよ(笑)」

GTI、それも程度の良いものはそうそう入ってくるわけではないが、今なら走行距離3万kmにも満たないような極上車でもない限り、価格は新車当時を下回っている。そろそろ最後のチャンス、かもしれない。

取材の前日に買取をしたという1991年型のGTI 16V。GTIでこのボディ・カラーは珍しい。大事にしていたという前オーナーにとってはまさに惜譲で、大阪からこのお店まで最後のドライブを楽しんでこられたそうだ。変更されているのはサスペンションとマフラーくらい。オドメーターは現在16万kmを超えた辺りというこの車両は、298万円で販売する予定。

ゴルフIIが好きだからこそ

こういうお店だから、お宝のようなクルマも入ってくる。最近できた、こうした極上車両のためのガレージの一番奥に鎮座していたのは、おそらく日本に1台のゴルフG60リミテッド。ラリーゴルフに搭載された最高出力210psのGラーダー(スーパーチャージャー)付きエンジンと4WDシステムのシンクロを組み合わせたモデルで、生産台数は70台に過ぎないという。ただし、これは販売予定はないとのこと。

「ずっとお店をやってきたんで、こういうクルマを持つくらいの贅沢はいいですよね(笑)」



世界に70台、日本にはおそらくコレ1台のゴルフG60リミテッド。Gラーダー付きエンジンとシンクロを組み合わせたレア車だが、これは非売品。ボンネットを開けるとグリル上部にシリアル・ナンバーが。

そもそもゴルフIIに商機を見出したとかではなく、大好きなゴルフIIを仕事にしたいというのが田中さんがスピニングガレージを始めた理由。スタッフも同様で、お客さんだったのにいつの間にか働いていた人、元ヤナセの人など、皆ゴルフIIが好きでここに居る人ばかりだ。

「ゴルフIIには一生乗りたいですからねぇ」

そんな本気でゴルフIIを楽しんでいる店主とスタッフがいるお店である。興味をもたれた方はゼヒ。本気なら良い出会い、待っているはずだ。

文=島下泰久 写真=宮門秀行

※取材車両の価格、在庫の有無はすべてエンジン8月号掲載時のものです。

(ENGINE2021年8月号)

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