2021.08.12

CARS

たった461台のジャガーXJR-S!! ちょっと古いジャガーに乗りたいなら、ジャガーのことを良く知っている人に話を聞くのが一番だ!

ちょっと古いジャガーは最近どうなのか? 壊れないのか? どんな点に注意して探せばいい? 自ら2台のジャガーを所有するエンジン編集部の荒井が専門店で売り物を見ながら聞きました。

たったの461台

埼玉県川口市にあるジャガー専門店、ジャガリア/(株)ワイズの駐車場には私を待ち構えていたかのように、黒いジャガーXJR-Sが停まっていた。内外装ともに新車のような輝きである。バンパーまで真っ黒で、とても精悍な佇まいだ。

「1990年、いわゆる前期型のXJR-Sです。ジャガーとTWRとの合弁会社、ジャガー・スポーツで461台生産されました。91年以降の後期型に比べて、前期型はエンジンをちゃんとコスワースで組んでいます。だから、吹き上がりが断然軽い。普通のXJ-Sに対して、トランスミッションや足回りなども違います」

ジャガリアの代表、後藤将之さんが12気筒エンジンを眺めながら、説明してくれた。

レーシング・ドライバーとして活躍するトム・ウォーキンショーが設立したTWR(トム・ウォーキンショー・レーシング)との合弁会社、ジャガー・スポーツから発売された。V12は5992ccに拡大され、最高速255km/hに達した。足回りも強化された特別な1台。



「XJ-Sは本当に価格がまちまちですね。91年のマイナーチェンジ前の前期型で下は150万円から上は350万円ぐらい。マイチェン後の後期型は下は同じで上は500万円ぐらいでしょうか。おにぎり型テールランプの前期型に人気がありますが、信頼性は後期型の方が高い。後期型でも6リッターV12になったモデルの方は、さらに手がかからないと思います。ただし、リアのブレーキがインボードからアウトボードになったりして、ジャガーらしい味はちょっと薄くなりました」



ジョン・イーガンの功績

続いて、1993年式のデイムラー・ダブルシックス(以下DD6)を見る。グリーンのボディが美しい。こちらも新車のような輝きだ。

「DD6は本当にピンキリです。基本的に手がかからないクルマではありません。XJ-Sと同じ12気筒なんですけど、XJ-Sは12気筒モデルを前提として開発されたのに対し、DD6のベースとなるジャガーXJは6気筒が前提の基本設計です。熱逃げがXJ-Sより悪いので、ホースとかリレーといったパーツに熱害が出ることがあります」

ジャガーは各車の内外装を高級化したモデルに、1960年に吸収合併したデイムラーのブランド名を使った。写真の1台はジャガーXJ6シリーズIIIをベースにしたもので、5.3リッターV12を搭載する。ウッド・パネルやレザーが贅沢に使われている。

熱害と聞くとオーバーヒートを想像するが、後藤さんによれば1983年以降のジャガーにオーバーヒートはないという。

「70年代に国営化され、レイランド・グループになったジャガー暗黒の時代に、クオリティが下がり、ジャガーは壊れるというイメージが出来てしまったんですね。1979年にジョン・イーガンがトップについてからは、品質が大幅に向上します。また、1983年に日本仕様が確立されたことも大きいですね。ラジエターが詰まったり、電動ファンが動かなくなったりしない限り、オーバーヒートはしません」









扱いやすいX300型

3台目は1997年式のXJ4.0。ドイツのチューニング・メーカー、アーデン社のスポーツ・サスペンションやホイールなどを備えている。オフホワイトのレザー・インテリアが綺麗だ。

「XJ40の進化型と言えるX300型のXJになります。2000年以前のジャガーのなかで最も壊れないモデルだと思います。X300型の次に出たX308型のV8モデルより壊れない。それでいて、ジャガーらしい流麗なスタイリングを持っています。扱いやすく、安心のビッグ・サルーンだと思います」

X300型のジャガーXJは1994年にデビュー。先代にあたるXJ40の角形ヘッドライトが不評だったため、丸目4灯へ先祖返りした。取材車は4リッター直(6245ps、391Nm)を搭載、コノリー・レザーなど装備を充実した日本専用モデルとなる。

内外装のパーツがない

ちょっと古いジャガーの動向を聞いた。

「XJ-Sはちょっと人気が上がってます。DD6は横ばいかな。ダブルシックスはバブル期にバンバン入ってきて、タマが多い。XJ-SはDD6より数が少ないのと、この年代のものを探す人はセカンド・カー探しなので、サルーンよりクーペやオープンを欲しがります」

最後にちょっと古いジャガーを買ってみようかな? という人にアドバイスをもらった。









「素性がしっかりしたものを探してください。記録簿なしは論外です。10万kmでもいいんです、記録簿があれば。それは整備しているということですから。汚いジャガーに乗りたい人はいないと思いますが、内外装の綺麗なものがいいと思います。XJ-Sだったらヘッドライトがないとか、ドア・ミラーがないとか、内外装パーツを直すのが大変です。綺麗な個体を買って、おカネは機関に回した方がいいです。壊れる、壊れないってハナシがありましたけど、30年も前のクルマですからね。ラジエター・ホースだって、フューエル・ポンプだって経年劣化している。そういうことをちゃんとメンテしないで乗ったら、どんなクルマも壊れます。ジャガーも、やることさえやっていれば、そんなに壊れるクルマではありません」

文=荒井寿彦(ENGINE編集部) 写真=望月浩彦

※取材車両の価格、在庫状況はエンジン8月号掲載時のものです。

(ENGINE2021年8月号)

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