2021.09.07

WATCHES

2021年注目の新作腕時計「パテック フィリップ」編

オンラインによるリモート開催となった世界最大の時計フェア「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2021」を振り返る第10弾。パテック フィリップからは、ドレス、スポーツともに意欲的に発表された話題作を取り上げ、時計ジャーナリストの菅原 茂氏とエンジン時計担当の前田清輝がその魅力を解説する。

新たにジュネーブで王者の貫禄を示す

新作発表の場を従来のバーゼルからウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブに移した高級時計ブランドは少なくない。筆頭はこのパテック フィリップだ。今年完全に新しいモデルとして披露したのは、パテック フィリップの腕時計では初となるインライン表示を採用した永久カレンダー「5236P」である。そして偉大なクラシック「カラトラバ」も、一新したデザインとまったく新しい手巻きムーブメントが注目の的だ。また、2021年をもってステンレススティール仕様の製作が終了する「ノーチラス 5711」は、オリーブグリーンのダイアルがフィナーレを飾った。



ノーチラス 5711/1300A(左) ノーチラス 5711/1A(右)
スポーティなデザインによってカジュアル・エレガンスを体現する「ノーチラス 5711」のステンレススティール仕様は今年の新作で終わりとなる。その注目の新作は、ダイアルにオリーブグリーン・ソレイユを採用。自動巻き。ステンレススティール、ケース径(10-4時方向)40mm、120m防水。右:401万5000円。左:通常ならゴールドに用いるバゲットカット・ダイヤモンドをステンレススティールにセットした贅沢なモデル。1086万8000円。


 


インライン永久カレンダー 5236P
特許取得の永久カレンダーは、12時位置の細長い窓で左から曜日、日付、月を横一列に表示し、4時位置の閏年周期と8時位置の昼夜表示が対を成す。また6時位置にスモールセコンドとムーンフェイズを組み合わせるが、ダイアル全体のデザインは極めてシンプル。自動巻き。プラチナ、ケース直径41.3mm、3気圧防水。1494万9000円。





カラトラバ《クル・ド・パリ》6119
1932年以来のクラシカルなケースやダイアルのディテールを生かしながら、ローマ数字ダイアルの「3919」モデルのケースに特徴的なギヨシェ彫りのクル・ド・パリ模様をベゼルに取り入れてデザインをリニューアル。39mmにサイズアップしたケースに新開発の手巻きムーブメントを搭載する。ホワイトゴールド、3気圧防水。339万9000円。


 
年次カレンダー 4947/1A
実用的な複雑時計として人気の高い「年次カレンダー」に加わったのは、ステンレススティールによる直径38mmのケースに5列のブレスレットを組み合わせたモデル。カラトラバ・タイプのケースでステンレススティール仕様は「年次カレンダー」では初めて。また、男女を問わないサイズやデザインも新しい。自動巻き。3気圧防水。551万1000円。

時計ジャーナリスト・菅原 茂はこう見た!
「インライン・パーペチュアルカレンダー」という言葉から思い出したのは、永久カレンダーの各表示が縦一列に並ぶ1990年代のブレゲ。回転ディスクを利用して窓で横一列に表示するパテック フィリップはさらに革新的だ。しかし実機を拝見すると複雑時計には思えない物静かな表情。ミニマムの美学を実現するために費やした途方もない技術に絶句。

ENGINE編集部・前田清輝はこう見た!
スポーツ、ドレス、コンプリのいずれも素晴らしいモデルが勢揃い。中でも新しい「カラトラバ」は、クル・ド・パリのベゼルにバーインデックスなど歴代モデルのディテールが組み合わされ、そのバランスが絶妙で一目惚れ。「ノーチラス」は、光によってグレーにも見えるシックなグリーンのダイアルにこれまた一目惚れ。手に入れられる人が羨ましい……。

文=菅原 茂/前田清輝(ENGINE編集部)

(ENGINE2021年7月号)

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