2021.09.17

WATCHES

2021年注目の新作腕時計「ユリス・ナルダン」篇

オンラインによるリモート開催となった世界最大の時計フェア「ウォッチズ&ワンダーズ ジュネーブ2021」を振り返る第21弾。ユリス・ナルダンからは五感を刺激する技術とデザインを兼ね備えたモデルを取り上げ、時計ジャーナリストの菅原茂氏とエンジン時計担当の前田清輝がその魅力を解説する。

伝統のアワーストライカーが最先端技術で進化する

オートマタと連動してチャイムが時刻を打ち鳴らし、ビジュアルとオーディオで楽しませるアワーストライカーを1980年代に腕時計で復活させ、さまざまなモデルを発表してきたユリス・ナルダン。2019年に最先端の時計技術とフランスのデビアレ社の音響技術を融合した「クラシコ アワーストライカー ファントム」を発表して話題になったが、今年注目を集めているのが一段と進化を遂げた「ブラスト アワーストライカー」だ。そのスタイルは、常に革新的なテクノロジーで時計産業をリードしてきたユリス・ナルダンらしく極めて斬新で未来的。またひとつ傑作の誕生だ。





ブラスト アワーストライカー
前作から一転して未来的なデザインにユリス・ナルダンらしい美的センスがみなぎる。アワーストライカーはハンマーがゴングを打って自動的に正時、30分を知らせる。また任意の打刻も可能だ。打刻音はフランスの音響技術会社のデビアレ社の反響膜によって増幅され、高出力を生む。ケースバックにおけるブラストの特徴であるダブルXの開口部も重要な役割。この下の反響膜で増幅した打刻音がここからスピーカーのように放出される。自動巻き、自社製フライングトゥールビヨンUN-621、約60時間パワーリザーブ。ローズゴールド+チタン、ケース直径45mm、30m防水。予価1262万8000円。



ダイバーX スケルトン
「ダイバーX」と「スケルトン X」を融合した最新モデルも注目の的。合わせて200m防水の44mmケースにセットされたUN 371ムーブメントのデザインも一新し、X型ブリッジに支えられたメカニズムの随所を改良。また、ケースとベゼルは「フリークX」と同じブルーカーボニウムを採用。自動巻き。96時間パワーリザーブ。267万3000円。175本限定。

時計ジャーナリスト・菅原茂はこう見た!
ユリス・ナルダンの良さは、高度な技術をもって先端を歩みながら、たとえ前衛的であっても時計としてのスタイルはちゃんとキープしているところ。「ブラスト アワーストライカー」もそう。かつてのような人形が鐘を打つオートマタはないけれど、オープンダイアルから見渡せるメカニズムがその代わりを演じる。抜群の出力音をぜひ聴きたい!

ENGINE編集部・前田清輝はこう見た!
ここ数年、画期的な機構に加えてデザイン的にもアヴァンギャルドなアプローチを見せるユリス・ナルダンだけに、今年も魅力的なサプライズが用意された。中でも気になったのは「ブラスト アワーストライカー」。ダイアル側から音を鳴らすストライカー機構が見える構造に加えて、高めた音響性能がやはり視覚的にも楽しめるケースバックもユニークだ。

文=菅原茂/前田清輝(ENGINE編集部)

(ENGINE2021年7月号)

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